運送業許可について運送業専門行政書士が網羅的に解説

公開日:2022年9月3日 / 更新日:2022年9月26日

トラサポはトラックの貨物自動車運送事業専門のサイトですが、日本の法律の中には運送業許可と言われるものがたくさんあります。

それらは移動する区域によって大きく陸・海・空があります。

空は航空運送事業つまり飛行機、海は船舶運航事業者つまり船、そして陸の鉄道事業と自動車運送事業があります。

飛行機航空運送事業

空:飛行機航空運送事業

海 船舶運航事業者

海 船舶運航事業者

貨物鉄道

陸:貨物鉄道 鉄道事業

自動車運送事業

陸:自動車運送事業

陸海空といろいろな運送事業がありますが、このページでは主に自動車運送事業許可の種別について解説します。

運送業専門行政書士鈴木隆広【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】

自動車運送事業許可を決める法律の全体像

自動車運送事業を定める大元の法律は道路運送法です。
道路運送法から貨物自動車運送事業法と貨物利用運送事業法(元は貨物運送取扱事業法)が派生しました。
人を乗せる旅客は道路運送法に残り、貨物については貨物自動車運送事業法と貨物利用運送事業法で許可制度を定めることになりました。

自動車運送事業許可の全体像

自動車運送事業許可の全体像

(定義)道路運送法より
第二条 この法律で「道路運送事業」とは、旅客自動車運送事業、貨物自動車運送事業及び自動車道事業をいう。
2 この法律で「自動車運送事業」とは、旅客自動車運送事業及び貨物自動車運送事業をいう。
3 この法律で「旅客自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業であつて、次条に掲げるものをいう。
4 この法律で「貨物自動車運送事業」とは、貨物自動車運送事業法による貨物自動車運送事業をいう。
5 この法律で「自動車道事業」とは、一般自動車道を専ら自動車の交通の用に供する事業をいう

道路運送事業には、旅客自動車運送事業つまり人を運ぶ運送事業許可と、貨物自動車運送事業つまりモノを運ぶ運送事業許可があります。自動車道事業は道路を管理等する事業なので実際は運送事業というイメージとは違います。

つまり、旅客と貨物の2つを定義する第2項の自動車運送事業が、一般にイメージする「運送事業」です。

旅客自動車運送事業許可の全体像

旅客自動車運送事業は道路運送法で以下のように定義されています。

旅客自動車運送事業許可の全体像

旅客自動車運送事業許可の全体像

(種類)道路運送法より
第三条 旅客自動車運送事業の種類は、次に掲げるものとする。
一 一般旅客自動車運送事業(特定旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業)
イ 一般乗合旅客自動車運送事業(乗合旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
 →俗に路線バス、乗合バスと言われるもの。バス停がある市営バスとかが主です。
ロ 一般貸切旅客自動車運送事業(一個の契約により国土交通省令で定める乗車定員(11人)以上の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
 →俗に貸切バスと言われるもの。スキーのツアーバスや団体旅行バス。乗合バスは個々のお客様と契約(220円とかバス代支払う)しますが、貸切はあくまで1つの団体との契約となります。
ハ 一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約によりロの国土交通省令で定める乗車定員未満の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
 →俗にタクシーと言われるもの。乗車定員11人未満の自動車を貸し切る形態です。法人タクシー、個人タクシー、介護タクシーがあります。
二 特定旅客自動車運送事業(特定の者の需要に応じ、一定の範囲の旅客を運送する旅客自動車運送事業)
 →旅館や幼稚園、企業など1台につき1つの特定のお客様だけを載せる形態のバスです。基本的には貸切バスの弟みたいなものです。特定のお客様なので許可要件はものすごく緩和されていますし、更新もありません。

貨物自動車運送事業法許可の全体像

貨物自動車運送事業は貨物自動車運送事業法で以下のように定義されています。

貨物自動車運送事業許可の全体像

貨物自動車運送事業許可の全体像

(定義)貨物自動車運送事業法より
第二条 この法律において「貨物自動車運送事業」とは、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業及び貨物軽自動車運送事業をいう。
2 この法律において「一般貨物自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。次項及び第七項において同じ。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
→俗に言う「緑ナンバー」トラック。霊柩車もここに含まれます。
3 この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業をいう。
→一つの企業のみを顧客にする運送事業です。許可要件も一般貨物とほとんど同じなので、あえて取る企業はとても少ないです。
4 この法律において「貨物軽自動車運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車に限る。)を使用して貨物を運送する事業をいう。
→軽自動車黒ナンバー、バイク便緑ナンバー
5 この法律において「自動車」とは、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項の自動車をいう。
6 この法律において「特別積合せ貨物運送」とは、一般貨物自動車運送事業として行う運送のうち、営業所その他の事業場(以下この項、第四条第二項及び第六条第四号において単に「事業場」という。)において集貨された貨物の仕分を行い、集貨された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分を行うものであって、これらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うものをいう。
7 この法律において「貨物自動車利用運送」とは、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者が他の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送(自動車を使用して行う貨物の運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送をいう。

その他の運送事業周辺許可

以上で主な運送事業の解説はしましたが、まだ周辺の許可や港湾運送というものもあります。

貨物利用運送事業

俗に「水屋」と呼ばれる業態です。自分ではトラックを持たずに仕事を取ってきて、実運送事業者に運送はお願いする事業です。

以下、貨物利用運送事業法より抜粋です。

6 この法律において「貨物利用運送事業」とは、第一種貨物利用運送事業及び第二種貨物利用運送事業をいう。
7 この法律において「第一種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう。
8 この法律において「第二種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車(道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項の自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)をいう。以下同じ。)による運送(貨物自動車運送事業者の行う運送に係る利用運送を含む。以下「貨物の集配」という。)とを一貫して行う事業をいう。

もっと丁寧な解説は以下の利用運送解説ページでしているので是非ご覧ください。

港湾運送事業許可

港湾運送事業法で決められている運送事業としての許可制度は以下のものがあります。※国土交通省「港湾運送事業の概要」より転載。

一般港湾運送(事業)【1種元請、ステベ】
荷主又は船社の委託を受けて、委託者に代わって貨物の受け渡しを行い、受渡行為に先行又は後続する船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送を一貫して行う事業

また、はしけ運送(事業)3種 (港湾における船舶又ははしけによる運送行為)、いかだ運送(事業)5種 (港湾において木材をいかだに組んで運送する行為、水面貯木場への搬入又は搬出、荷捌き、保管)というものもあります。

まとめ

陸海空の運送事業と言われる許認可制度の全体像を解説してきましたがご理解いただけましたか?

ここで出てきた自動車は旅客も貨物もすべて緑色のナンバープレートが付くので、俗に「緑ナンバー」「青ナンバー」と呼ばれます。営業ナンバーと呼ばれることもあります。(軽貨物は黒ナンバー。ぶら下がり介護タクシーは白ナンバーなど例外はありますがそれらは除く)

この中でもトラック輸送は国内貨物輸送についてトンベースで9割、トンキロベースで5割を運ぶ圧倒的な主役です。

それが一般貨物自動車運送事業であり、国民にとって重要な事業のために国土交通省により許可制度が設定され管理されています。

トラサポはそんな一般貨物自動車運送事業者様が、コンプライアンスを守りながら本業に集中できるように行政手続きや監査巡回指導の面から精一杯サポートして参ります。

トラック5台以上での一般貨物自動車運送事業の許可取得について更に調べたい方はこちらのページをご覧ください。

霊柩車での一般貨物自動車運送事業の許可取得について更に調べたい方はこちらのページをご覧ください。

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