【インタビュー】トラサポの提供するサービスについて聞きました

公開日:2023年2月14日

運送業専門行政書士を目指したきっかけは?

行政書士開業1年目でどんな仕事でも受任していた時期がありました。そのとき、たまたま先輩行政書士からの紹介で神奈川運輸支局前の事務所を引き継ぐことになりました。そこで運送業許認可と自動車登録の仕事がメインになっていきました。

だから入口は偶然の出会いです。

しかし、運送業のお客様の仕事を積み重ねていると、周りに運送業の仕事をやっている行政書士がほとんどいないことに気が付きました。私が開業した平成19年は建設業許可や遺言相続の業務を取り扱う行政書士が圧倒的に多かったです。

元々、他の人がやっていないことをやるのが好きだった私は、まずは神奈川県で一番になるべくどっぷり運送業の仕事に浸かっていきました。勉強すればするほど奥が深く、2年目からはコンプライアンス面で巡回指導や監査対策も始めました。そうするともっと深く運送業者さんとつながるようになってきて、益々この仕事が面白くなりました。

運送業の社長さんは本当にまっすぐでマジメな方ばかりです。言葉は乱暴なところがあってもその裏にある心がまっすぐなんですよね。だからその人たちが好きなんです。

私も行政書士として様々な業務に携わりましたが、やはり最終的にはそのお客さんを好きになれるかどうかは、仕事を続けて行く際にとても大きいと思います。儲かる儲からないでは続けていけません。その人の役に立ちたい、という気持ちがなければ私は仕事ができない性格なので、そのような人たちに会えたことはとても幸運だったと思います。

運送業の会社相手にどのような仕事をされていますか?

主に運輸局への行政手続きと、トラック協会巡回指導サポート、運輸支局の監査対応です。他人から報酬をもらってトラックを使ってモノを運ぶ「貨物自動車運送事業」をするには国土交通省の許可が必要です。その申請から関係は始まります。

許可を取った後も、車庫を引っ越したいとか営業所を引っ越したいとか、他県に拠点を作る場合は営業所と車庫をまとめて申請する必要があり、それらは認可申請と言います。

お客様からどんな場所でどんなトラックでどのようなスケジュールで進めたいのか、どんな業態かも含めて入念にヒアリングします。申請書を埋めるためのヒアリングだけでなく、認可後の拡大計画なども聞き、その場限りでない未来を見た申請内容をお客様と作り上げます。そこから現地調査では、車庫の寸法を30mメジャーで計測し、事務所の中も計測して図面を描きます。車庫は草ぼうぼうなこともあるので、それをかき分けて計測することもあり、結構泥臭い仕事です。

申請書を作り、運輸支局に申請して許可や認可を待ちます。役所に申請したあと、細かい修正や確認が役所からたくさん来ますのでそれに対応します。細かい所はお客様に負担がかからないようにするのも行政書士の役割です。

ナンバーを変更するときに普通は陸事までトラックを持ち込まないといけませんが、出張封印という資格を持っている行政書士は、お客様の車庫などでナンバー取付けができるので、仕事を休まなくても土曜日などにまとめてナンバー変更することも可能です。

どういうお客様が多いですか?

規模で言うとほとんどは30台以下のお客様です。中には数百台のトラックを持っているお客様や、誰もが知っている超巨大企業のお客様もいますが、ほとんどは中小零細企業と言われる運送会社です。

私自身は横浜なので9割が横浜か川崎のお客様ですが、普通に東京はもちろんのこと千葉や埼玉などはよく行きます。九州や近畿などもたまに行くことあり、対応地域としては全国です。しかしトラサポを始めてからは、新しいお客様は現地のトラサポメンバーにお任せしてしまいます。

お客様の運んでいるモノは多様です。横浜という土地柄、海上コンテナ事業者は他の土地より多いかもしれません。建材、食材、雑貨、家電、引越屋さん、あとは同じ一般貨物である霊柩車のお客様も多いです。大型で長距離運送で電話するといつも地方にいる人もいますし、地場だけの人もいます。多様なお客様からいろいろな苦労話や行政や荷主への愚痴をたくさん聞けるのでとても勉強になります。

仲の良いお客様とはご飯を食べたりすることもあります。メダカが増えたからメダカを水槽ごとくれたお客様もいます(笑)。仕事と関係なく、下らないことも含めて喋るのはとても楽しい時間です。

運送業者は荷主あっての仕事ですし、発荷主だけでなく、着荷主がいることでとても大変だと聞きます。私自身は運送業者ではないですが、そのような現場のキレイゴトで済まない気持ちもたくさん聞いてたくさん共感して、可能な限りストレスなくコンプライアンスを守ることが私の仕事だと思っています。だからこそ私もお客様のことを知りたいと思って好きになるし、そんな堅苦しい事ばかりは言いません。私も自分のことも好きになってもらって、良い感じの信頼関係でもって一緒に過ごしていきたいです。

新規許可申請サポートは具体的に何をするのでしょうか?

ヒアリングから現地調査、申請書作成から申請して許可が下りるところまですべて手続きします。運送業の新規許可は他の許認可と異なり、申請したあとにもたくさんやることがあります。運輸局によっても異なりますが、3~6か月間、適切なタイミングで追加の手続きをしたり、お客様に案内をしなければなりません。だから審査を待っている期間も意外と気が抜けないのです。新規許可で一番お客様と一緒に頑張らないといけないのが、役員法令試験です。50分で30問中、8割の24問を正解しなければなりません。社長は普段、法律なんて触れてませんから過去問題を見てもさっぱりわかりませから家庭教師をします。私の場合はみっちり4時間ほど行います。
そうすると、はじめは「先生、これ受かる気がしないわ・・・」と弱気な人も一緒に勉強して、過去問題を解説し、正解を導き出すテクニックを伝授して実際の問題が解けるようになると、どんどん自信が付いてきます。4時間後には「なんか行ける気がしてきました」と言ってくれます。言わば4時間で「戦士」を育て上げるのです。そうすると他の許認可では味わえないお客様との絆が生まれます。私が運送業の仕事が好きな大きな理由の一つでもあります。
約5カ月後に順調に緑ナンバーがつくと、やっぱりお客様は喜んでくれます。そこからガンガン仕事を取って盛り上がってくれるのを想像するのはとても嬉しい瞬間です。

コンプライアンスサポートは具体的に何をするのでしょうか?

巡回指導員や監査担当が見るのは、運送業者の帳簿です。具体的には、運転日報、点呼記録簿、日常点検記録簿、運転者台帳、また運転者への指導教育記録簿が中心です。それらの帳簿が正確に記録されているか、労働時間が適法かを見られます。

我々行政書士は、それらの帳簿についてやるべきことをやっているか、記入すべき箇所に漏れはないかを重点的にチェックします。3年以内に雇い入れた運転者については、初任運転者の適性診断や特別指導がされているか、運転記録証明を取っているかなどをチェックします。

13時間の拘束時間や4時間連続運転についても疑わしいドライバーについて日報やチャート紙をチェックします。もう借りてない車庫の認可がそのままだったり、逆に借りているのに認可を受けてない車庫の申請をしたり、事業報告書など未提出であれば提出したりします。

そのようにして、巡回指導員や監査担当が見るところで抜けているところがあれば、NASVAでの適性診断や病院での健康診断を予約してもらったり、拘束時間が長いドライバーがいれば、その仕事をどうにかできないかを一緒に考えます。

お客さんができることとできないことを一緒に整理して、なんとか改善できるように進めて行きます。中には完全に改善できないこともありますが、そのときはダメージを最小にできる方法を一緒に考えます。

なぜトラサポを始めたのですか?

行政書士開業して運送業許認可と自動車関係手続き専門で10年を超えたときに決意しました。

「全国で運送業ができる行政書士を増やそう!」

運送業ができる行政書士は本当に少なく、各都道府県で数人ずつしかいません。

トラサポを始めて4年経った今(2022年)もその状況は変わりません。それどころか、2019年の運送業法改正により、運送業手続き素人行政書士がそれに係るチャンスが激減し、ベテランは毎年変わったり申請難易度が高くなる手続きについていけずに関わるのをやめてしまうこともあり、その人数はもっと少なくなっています。

例えば建設業許可ができる行政書士は多いので、その中で情報交換ができ、一定レベル以上の行政書士に出会えることが少なくありません。

しかし、運送業ができる行政書士はとても少ないので、ネットで見つかる行政書士にレベルがとても低い人が多いですのはとても残念なことです。運送業専門とうたっている行政書士も一匹狼なのでどうしてもそれ以上に辿り着くことが困難です。この不幸なミスマッチは、すべて運送業が普通にちゃんとできる行政書士が少ないことが原因なのです。

運送業ができる行政書士が増えれば、レベルの低い行政書士に出会ってしまう運送会社を減らせるし、「運送業手続きは行政書士に任せるのが当たり前」という世の中に近づきます。だから、運送業がちゃんとできる行政書士を増やしたいのです。我々トラサポの世代で、そのように価値観を転換させるべく毎日努力しています。

最後に運送業支援に込める想いや将来像を教えてください。

運送業を取り巻く環境は年々厳しくなっています。法令ルール、経費上昇、求人倍率、景気、社会情勢、すべてがあまりいい方向に進んでいません。その中でも一般貨物新規許可業者数は増えている現実があります(2021年末で過去最高5万7856社)。

世界中どこでも物流は経済や、文化の中で最も重要なインフラの一つです。

だからこそ厳しいルールを守らなくてはならないわけですが、運送業者にとっては本業とは異なるそういう面倒なものから可能な限り解放されるように行政書士としてサポートしたいと思います。行政書士として直接、安全や利益に貢献できるわけではありませんが、適切な運送事業者として存在することは社長や会社だけでなく、ドライバーとその家族のすべての安心につながります。その安全の基盤の一つが法令順守です。事業者の安心のために、高い専門性をもって運送業者のルールの面での安心をサポートすることによって、物流の安全と関係者の安心をサポートします。言わば運輸局から運送会社を守る用心棒です。

トラサポはM&A会社、トラック会社、トレーラーハウスディーラー、保険会社などと連携して運送業界を広い面でサポートしています。運送会社がいつも付き合っている行政書士が事業者の悩みの入口となり、協力会社と力をあわせて運送会社をトータルサポートし、この厳しい状況の中でも誇りを持って仕事をし続けられるようお手伝いしていきます。