• 【相談事例】運送業個人事業主の父がなくなり娘の私が引き継ぐことになりました。相続はどうすればよいでしょうか?|事業承継、運送業相続認可申請

【相談事例】運送業個人事業主の父がなくなり娘の私が引き継ぐことになりました。相続はどうすればよいでしょうか?|事業承継、運送業相続認可申請

公開日:2023年9月17日

ご相談内容
【福岡県に営業所があるお客様】父が運送業を個人事業主で営んでおりました。私も経理で仕事を手伝っておりました。私の兄弟は3人いますが、事業を手伝っているのは私だけです。。トラック台数としては5台ですが実際稼働しているのは3台です。その父が1か月前に突然脳梗塞で倒れ亡くなりました。バタバタしながらも葬儀はなんとか終わりましたが、これから遺産相続の手続きもしなければなりません。相続手続きで調べていると、運送業許可についても相続の手続きが必要と知りました。運輸局に届け出ればよいのでしょうか?また、いつごろまでにしなれければいけないのでしょうか?

行政書士の回答
運送業の許可は、個人事業主の場合、おっしゃる通り相続するための手続きを運輸局にしなければなりません。しかし、届出で済むのでなく認可という大変な手続きが必要です。しかもお父様が亡くなった日から60日以内に福岡運輸支局を通して九州運輸局に申請しなければなりません。お父様が亡くなり、悲しみに暮れている中で遺産相続の手続きなどでさそかしお疲れでしょうが、運送業を続けるのであれば、この60日の中で頑張って申請しなければなりません。

60日以内に相続認可申請が受理されなければならない

お父様が亡くなって気持ちの整理も終わらない中、遺産の相続手続きも大変な時期でしょう。

しかし、運送業法はとても非情で「亡くなってから60日以内」に運輸支局に認可申請をしなければなりません。

相談してくださったのが亡くなった1カ月後なので残りあと30日しかありません。

「たったの30日??そんなバカなことある!?」とお思いでしょうが法律で決まっていることなので「知らなかった」で救済されません。

60日を1日でも過ぎたらそこで緑ナンバートラックは仕事ができなくなってしまいます。

相続認可のルール(貨物自動車運送事業法第31条)

  • (相続)
    第三十一条 一般貨物自動車運送事業者が死亡した場合において、相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により当該一般貨物自動車運送事業を承継すべき相続人を定めたときは、その者。以下同じ。)が被相続人の経営していた一般貨物自動車運送事業を引き続き経営しようとするときは、被相続人の死亡後六十日以内に、国土交通大臣の認可を受けなければならない。
    2 相続人が前項の認可の申請をした場合には、被相続人の死亡の日からその認可をする旨又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした一般貨物自動車運送事業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす。
    3 第五条及び第六条の規定は、第一項の認可について準用する。
    4 第一項の認可を受けた者は、被相続人に係る第三条の許可に基づく権利義務を承継する。

完璧な申請書類でなくても受理されるのに最低限必要な50%の精度でも良いので申請することが大切です。

しかし、相続認可申請書は手引きを見ればわかると思いますが、ほぼ新規許可申請と同じ申請書を作らなければなりません。

ただでさえ、お父様が亡くなってから1カ月少ししか経過しておらず落ち着かない中でそんなことをしている余裕はないでしょう。

ぜひそういうときこそ専門家を頼っていただきたいと思います。

それでまずはお父様が亡くなった悲しさと真正面から向きあって、できる限りのグリーフワーク(悲しみを向きあう時間を取ること)をしてください。

60日以内に認可されないとどうなるの?

さきほどの第31条をよく読むと、「その認可をする旨又はその認可をしない旨の通知を受ける日までは、被相続人に対してした一般貨物自動車運送事業の許可は、その相続人に対してしたものとみなす」とあります。

つまり、申請さえすれば認可が下りるまでは100日経過したとしても大丈夫です。ご安心ください。

役員法令試験は受けなければならないか

新規許可申請ではないのですが、役員法令試験は相続する方が合格しなければなりません。

受ける試験は新規許可申請の試験と同じものを受けます。

そして、こればかりは他の人が代わって受けることができません。

運輸支局に申請した翌月以降の奇数月に実施される法令試験に合格する必要があります。

チャンスはたったの2回です。2回不合格になるとその時点で相続認可は認められず救済措置は無く、無許可営業という状態になってしまいます。

福岡県は九州運輸局なので全国でも有数の高難度法令試験の地域です。

過去問題は運輸局ホームページから入手できます。

大変な時期だからこそ、本当にしっかり勉強してぜひ1回目の試験で合格してください!

もしくは、相談してみないとわかりませんが、あまりの心労で試験を受けるどころではない場合、コロナの感染が疑わしい場合などは、延期ができないか相談してみましょう。

2回目で追い込まれてしまうと追い込まれて気が気でなくなってしまうと思います。

必要資金

相続認可申請の添付書類に「相続人個人の残高証明書」があります。

これが一番のネックになると思います。

トラック5台だと必要な運転資金は運輸局ルール上では約1500~2000万円となります。

遺産の相続手続きが終わっていて相談者様個人の銀行口座にそのくらいの金額がある可能性もあるかもしれませんが、1500万円というのはとても大きな金額であり、もしかしたらいろいろかき集めてもその金額に届かないかもしれません。

事業としての売掛金や未収入金がある場合、それを相続財産として計上できる場合もあるので、いろいろな流動資産の承継を含めて運輸局に相談することが必要です。

もしかしたら不動産の売却なども考えなければなりません。

個人事業主にそんな現金あるはずないよ!!

という声もあるかもしれませんが、ここは法律等で決められたルールなのでどうしようもありません。

それが用意できないのでれば事業廃止を真剣に考えて、荷主に迷惑をかけないよう片づける準備をする必要もあるでしょう。

相続するトラックは3台で良いのですか?

稼働しているトラックが3台ということなので、3台だけ相続したい、というお話がありましたがそれはできません。

普通のトラック運送事業は島嶼以外では5台以上をキープすることが絶対です。

3台であればさきほどの資金計画が1000万円程度になり、用意しなければならない残高証明が少なくなる!となればいいのですがそうはいきません。

5台は絶対にキープしなければなりません。

ドライバーを5人揃えないといけないかどうか、それはまた別問題です。

もし、現時点でなにかしらの理由により緑ナンバーが本当に3台しかない場合は運輸局と相談事案となるでしょう。

元気なうちに法人成りすることをオススメします

以上のことを考えていると、個人事業主が亡くなったときに事業継続性が一気に危うい状態となります。

運送業個人事業主が元気なうちに「法人成り」しておくことを強く強くオススメします。

法人成りというのは、株式会社などを作り、今お持ちの運送事業許可を譲渡することです。

それにも譲渡譲受認可申請が必要なので、今までの流れと同様に、役員法令試験の合格と必要資金の1500~2000万円程度の法人名義での残高証明が必要なので簡単な選択肢ではありませんが、事業をずっと続けていくのであれば、やはり法人成りをすることが確実でしょう。

まとめ

個人事業主の運送業者が亡くなった場合、死亡後60日以内に必ず運輸支局に申請しなければなりません。

しかし、相続認可が認可されるためには様々なハードルをクリアしなければなりません。

亡くなったあと精神的にもいろいろな整理作業の中でそれを行うのはとても大変なことです。

ぜひ、元気なうちに法人成りしておいていただきたいです。

私が関わっている個人事業主がたくさんいる組合の組合員も、ここ数年で多くの人が法人成りの手続きをしています。

もし、法人成りが間に合わない場合は、60日以内の超特急申請が必要になるので、そういう大変なときこそ信頼できる専門家を頼ってください。

自社で申請する場合は、運輸局や登録事務所とよく相談しましょう。

行政書士に依頼する場合は安心できる運送業専門行政書士に依頼しましょう。

また、亡くなったときにいきなり相談しても忙しくてすぐに対応できないこともあるでしょうから、元気なうちから顧問契約などで付き合っておくことをオススメします。

トラサポは運送業新規許可はもちろん、そのあとのコンプライアンス帳簿サポートの経験も豊富ですので、不安のある方は申請の途中からでも構いませんので、ぜひ頼ってください。
新規許可申請は他の行政書士に頼んでしまったから頼みづらいなんてことは気にしなくて大丈夫です。
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