貨物利用運送事業の許可/始め方を全て解説 | 物流企業、国内複合一貫輸送 第一種貨物利用運送事業 第二種貨物利用運送事業

公開日:2018年10月7日 / 更新日:2024年3月9日

貨物利用運送事業を始めるには、第一種貨物利用運送事業第二種貨物利用運送事業があり、国土交通省の許可・登録を受けなければなりません。法・規則による種類の違い、許可の取り方や注意点をわかりやすく運送業専門の行政書士が全て解説します。令和に入り、ますますRORO船等を活用した国内複合一貫輸送(フェリー、コンテナ船、RORO船、貨物自動車、鉄道等複数の輸送手段が一体となってドアツードアの一貫輸送サービスにより貨物を輸送する方式)やモーダルシフトが叫ばれ、注目が高まっています。上場会社でも本来であればライセンスを持っていなければならない貨物利用運送を持たずに事業を推進している企業も多くあります。ここで正しく理解していきましょう。

貨物利用運送の種類

また、当トラサポでは、貨物利用運送事業の許可・登録をご希望のお客様のために、運送業専門行政書士を紹介します。
※第二種貨物利用運送事業は鉄道・内航海運・国内航空のみ対応可能です。(外航、国際航空は対応していません

貨物利用運送事業の解説[法律・規則]

「利用運送」や「取扱」と呼ばれる貨物利用運送事業ですが、その中には第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業があります。全体を捉えるのがなかなか難しいので、まずはざっくり解説していきましょう。

貨物利用運送事業とは

貨物利用運送事業とは自社で運送の仕事を取り、実際の運送は運送事業者に外注する仕事です。法律や商慣習の面から見ていきましょう。

貨物利用運送事業の定義

貨物利用運送事業とは、自社ではトラックを持たずに、運送の仕事を取って運送事業者に外注する仕事です。貨物利用運送事業者は荷主に対して一切の運送責任を負います。電話で仕事を受けて、外注業者に振ったら終わり、ということではありません。
仕事を振る先の事業者は、トラック、船、飛行機、鉄道とさまざまです。

貨物利用運送の定義

貨物利用運送事業の呼び方

「貨物利用運送」を「利用運送」と略して呼ぶことが多いです。運送業界では、よく「水屋(みずや)」と呼びます。古くからこの業界にいる人は「取扱(とりあつかい)」と言ったりもします。
貿易の業界では、国際物流のコーディネーターをフォワーダー(Forwarder)と呼んだり、厳密にはイコールでないですが「乙仲(おつなか)」と言われたりもしますね。

貨物利用運送事業の種類(第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業の違い)

貨物利用運送事業には第一種貨物利用運送事業第二種貨物利用運送事業があり、外注先とする実運送事業者は緑ナンバートラックを保持する運送会社(利用運送専業事業者の場合もアリ)です。
貨物利用運送事業を細かく見ると以下のように分類されます。
本ページは、この中の「第一種貨物利用運送事業(自動車利用)」について解説していきます。

<貨物利用運送事業の種類>

貨物利用運送事業法では、第一種貨物利用運送事業と第二種貨物利用運送事業ごとに細かく種類が分かれています。

【第一種貨物利用運送事業(登録制)】
自動車利用
船舶利用(内航・外航)
航空利用 (国内・国際)
鉄道利用
第一種貨物利用運送の輸送モードごとのイメージ

第一種貨物利用運送の輸送モードごとのイメージ

【第二種貨物利用運送事業(許可制)】
航空利用 (国内・国際)
鉄道利用
船舶利用 (外航・内航)
第二種貨物利用運送の輸送モードごとのイメージ

第二種貨物利用運送の輸送モードごとのイメージ

第一種と第二種には大きな違いがあります。キーワードは「ドアツードア」です。
第二種貨物利用運送事業は途中は船・飛行機・鉄道を使いますが、最初と最後をトラックで集荷・配送することで、ドアツードアの一貫輸送を実現します。
第一種貨物利用運送事業はドアツードアではなく、各モード(自動車、航空、鉄道、船舶)ごとの範囲のみを取り扱います。

貨物利用運送事業法の解説

貨物利用運送事業とは「貨物利用運送事業法」という、法律の第2条第6項で以下のように規定されています。

貨物利用運送事業法第2条第6項

    • この法律において「貨物利用運送事業」とは、第一種貨物利用運送事業及び第二種貨物利用運送事業をいう。

これだけでは何がなんだかわからないですよね。同じ第2条第1項で以下のように、もう少しわかりやすく「実運送」と「利用運送」とに分けて定義しているので見てみましょう。

貨物利用運送事業法第2条第1項

    • この法律において「実運送」とは、船舶運航事業者、航空運送事業者、鉄道運送事業者又は貨物自動車運送事業者(以下「実運送事業者」という。)の行う貨物の運送をいい、「利用運送」とは、運送事業者の行う運送を利用してする貨物の運送をいう。

つまり、仕事は自分で受けた後、実際に運んでもらう行為を実運送事業者に依頼するのが「利用運送」です。(自動車モードの利用運送における「実運送」は緑ナンバートラックで実際に荷物を運ぶ事業者のことです。)
実運送を「利用」するから「利用運送」というわけです。

実運送事業者を利用するというイメージ

実運送事業者を”利用する”というイメージ

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貨物利用運送事業法施行規則の解説

貨物利用運送事業法施行規則とは、貨物利用運送事業法に付随する省令です。
施行規則では法律で定めていない、もっと細かいルールを決めます。
具体的には、許可や登録の申請に必要な要件や記載事項、事業計画や集配事業計画について、変更登録や変更届についてなどが記載されています。
後ほど、申請書の作成や添付書類についてこの施行規則を元にしながら解説します。

貨物利用運送事業と貨物自動車運送事業の違い

“運送事業”とあるので紛らわしいですが、見分ける方法は以下の通り、簡単なのです。

<貨物利用運送事業と貨物自動車運送事業の違い>

【貨物利用運送事業】
自社でトラックは持たず、仕事を受けたらすべて外注運送事業者に任せます。
【貨物自動車運送事業】
自社で緑ナンバートラックを保持して、運送の仕事を行います。

後ほど法第19条(適用除外)のところで詳しく解説しますが、貨物自動車運送事業者も、自社で取った仕事を外注運送事業者に投げることがありますよね。
貨物自動車運送事業者は貨物自動車運送事業の許可とは別に、第一種貨物利用運送事業の登録を受けなければいけないのでしょうか?

この場合、貨物自動車運送事業者は第一種貨物利用運送事業の登録を取る必要はないのです!!
そうではなく、貨物自動車運送事業の許可の範囲で「貨物利用運送を行う」という認可を受ける必要があります。
従って、普通であれば貨物自動車運送事業者は貨物利用運送事業の登録を受ける必要はありません
しかし、「利用の利用」をしたい場合は貨物自動車運送事業者であっても第一種貨物利用運送事業の登録を受けなければなりません。↓↓↓詳しくはこの記事をご覧ください↓↓↓。

国土交通省の貨物利用運送事業Q&A

貨物利用運送事業は、第二種貨物利用運送事業が入ってくると、その概念が非常に難しくなります。そのため、国土交通省は詳細なQ&Aをまとめてくれています。このページは第一種貨物利用運送事業の解説にとどめるので、ここでは国土交通省のページへのリンクを張っておきます。

(参考)国土交通省の貨物利用運送事業Q&Aページはこちらを参照クリック

貨物利用運送事業の始め方[許可取得・申請方法]

さて、貨物利用運送事業というものがずいぶん理解できましたね!
ではいよいよ、自社で利用運送の許可を取るためにはどのような要件をクリアして、どのように申請すればいいのか、という皆さんが一番知りたいところを解説していきます

貨物利用運送事業の登録(許可)要件

貨物利用運送事業の登録を得るためには、一般貨物自動車運送事業ほどではないにしろ、様々な要件をクリアしなければなりません。ひとつずつ一緒に確認していきましょう。

定款の目的

定款利用運送の登録を受けるには「貨物利用運送事業」が定款目的(履歴事項全部証明=法人謄本)に入っていなければなりません。
これから会社を作るときは、資本金300万円以上とあわせて必ずこの目的を入れるようにしてください。

営業所

貨物利用運送事業を営むための営業所事務所が必要です。貨物利用運送事業の要件:営業所が必要
一般貨物自動車運送事業と同様、都市計画法等関係法令に抵触しないことが必要です。
従って、例えば市街化調整区域で第一種貨物利用運送事業を営むことはできません。
必要面積については定められていないので、常識的に仕事ができる広さがあれば問題ありません。

財産的要件

国土交通省は財産的要件として300万円以上の純資産を求めています。
純資産とは貸借対照表の以下の箇所の数字です。この数字が300万円未満の場合は増資をする必要があります
資本金がいくらあろうが、預金残高がいくらであろうが全く関係ありません。
※決算未到来の新しい会社の場合は資本金が300万円以上であることが必要です。

純資産の部の見方

純資産の部合計は300万円以上必要

経営者の欠格要件

経営者が以下の条件に当てはまる場合は、第一種貨物利用運送事業の登録ができません。逆に言うと過去2年以内になにもなければ、この条件は気にしなくてよいということになりますね。

経営者の欠格要件

  • ・1年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  • ・第一種貨物利用運送事業の登録又は第二種貨物利用運送事業の許可の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者
  • ・申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者

法第19条の適用除外

貨物利用運送事業法第19条は登録の要件ではないのですが、ネットで調べている方が多いので解説します。
”適用除外”という言葉が難しいのですが、この法律の適用の外ということであり、要するに”気にしなくていいよ”ということです。

    • 第19条(適用除外) この法律の規定は、貨物自動車運送事業法第2条第7項の貨物自動車利用運送については、適用しない。

ここで言う貨物自動車運送事業法第2条第7項というのは、”貨物利用運送事業と貨物自動車運送事業の違い”で解説したものです。「貨物自動車運送事業者(緑ナンバートラックを保持している会社)は、その許可の中で貨物利用運送を行うので、こちら(貨物利用運送事業法)のルールには縛られない」という意味です。
逆に、貨物自動車運送事業者が行う貨物利用運送については、貨物自動車運送事業法に縛られます。

法第19条適用除外のわかりやすい解説

法第19条適用除外のわかりやすい解説

申請に必要な書類

第一種貨物利用運送事業申請書イメージ

第一種貨物利用運送事業申請書イメージ

申請書、各種宣誓書の他に以下の書類を添付しなければなりません。

<第一種貨物利用運送事業の申請に必要な書類と不要な書類>

【必要な書類】
・会社の定款のコピー
・法人謄本(3か月以内のものの原本)
・最近の事業年度における貸借対照表のコピー
・役員名簿と役員全員の履歴書
【※以下の書類と思ってる方が多いですが、実は添付の必要がありません。】
・営業所の賃貸借契約書など
・営業所の図面
・会社の印鑑証明
・残高証明
・決算書の貸借対照表以外の書類

利用運送は取りたいんだけど、運送委託契約書を結ぶ相手がいない場合はどうすればいいの?

行政書士

契約の相手(下請け運送会社)を無料でご紹介、契約書への押印手配まで無料でサポートします!!

もし、運送委託契約書を結ぶ運送事業者または利用運送事業者のツテがないけど第一種貨物利用運送事業を申請したいというお客様は、無料で締結先をご紹介し、運送委託契約書の手配までのサービスがあります。

許可が下りるまでの期間

標準処理期間として、申請してから約2~3カ月間と定められています。

第二種貨物利用運送事業の約款についての注意点

一般貨物自動車運送事業は標準約款があり、貨物利用運送事業も基本的には同様です。

標準約款を使う限りは運輸局への手続きは不要です。

ただ、以下のにあるように第二種貨物利用運送事業の一部には標準約款がないモードがあります。

貨物利用運送事業の約款

  • 自動車
    ・標準貨物自動車利用運送約款【平成29年11月4日施行】
    ・標準貨物自動車利用運送約款【平成31年4月1日以降適用】
    ・標準貨物自動車利用運送(引越)約款【平成31年4月1日以降適用】
  • 鉄道
    ・標準鉄道利用運送約款【平成29年11月4日施行】
    ・標準鉄道利用運送約款【平成31年4月1日以降適用】
  • 内航
    ・標準内航利用運送約款【平成31年3月31日以前適用】
    ・標準内航利用運送約款【平成31年4月1日以降適用】
  • 外航
    ・標準外航利用運送約款【平成31年3月31日以前適用】
    ・標準外航利用運送約款【平成31年4月1日以降適用】
  • 航空
    ・標準国際利用航空運送約款【令和元年12月28日以降適用】
    モデル約款(国内航空:一般混載)【平成31年4月1日以降適用】
    モデル約款(国内航空:宅配便)【平成31年4月1日以降適用】
    モデル約款(国際航空:宅配便)【(参考)一般社団法人 航空貨物運送協会作成】【令和元年12月28日以降適用】

ここでわかるように、国内航空(一般混載)、国内航空(宅配便)、国際航空(宅配便)には標準約款が存在しません。

モデル約款を自社仕様にして、新規許可申請時や合併認可申請、分割認可申請時に忘れずに申請しましょう。

国土交通省貨物利用運送事業約款公開ページ

貨物利用運送事業者の一覧

契約する事業者が第一種貨物利用運送事業の登録を受けているかどうかわかる一覧はネット上では存在しませんが、運輸支局の輸送担当窓口で「住所」「会社名」を伝えれば、その業者が第一種貨物利用運送事業の登録を受けているかどうかを教えてくれます。

貨物利用運送事業の運賃料金表

貨物利用運送事業者は運賃料金を設定したら、30日以内に運賃料金設定届を運輸支局長に提出しなければなりません。

運賃設定届の様式ダウンロードはコチラをクリック

 

事業報告書と事業実績報告書

事業報告書

毎事業年度に係る事業報告書を、毎事業年度の経過後100日以内に管轄の運輸支局に提出しなければなりません。貨物利用運送事業に関わる損益計算明細をはじめとして、会社全体の損益計算書、貸借対照表等を提出します。

事業実績報告書

前年4月1日から3月31日までの期間に係る事業実績報告書を、毎年7月10日までに管轄の運輸支局に提出しなければなりません。1年間で何トンの荷物の依頼を受けたかの実績をまとめて報告するものです。

毎年の報告書、自分でやるのは面倒くさいので頼みたい!!

専門の行政書士に依頼すれば、事業報告書・事業実績報告書について、お客様の作業は5分もかかりません
全国対応しております!!
ぜひ、コチラからお気軽にお問い合わせください!!

行政書士への依頼

第一種貨物利用運送事業の登録を受けるには、各種要件をクリアして、各種添付書類を揃えなければなりません。要件の確認にはどうしても専門知識が必要です。
専門の行政書士に依頼すると手間が省けるだけでなく、利用運送事業の許認可について、大きな安心を得ることができます。

第一種貨物利用運送事業の新規許可申請承ります!!

第一種貨物利用運送事業の新規許可申請承ります!!

業務のご依頼はこちら【全国対応】
「トラサポのホームページを見た」とお伝えください
045-507-4081
受付時間:9時~19時(平日+土日祝)

ここでは、行政書士に依頼する場合の流れと必要な料金を解説します。
※第二種貨物利用運送事業は鉄道・内航海運・国内航空のみ対応可能です。(外航、国際航空は対応していません

依頼の流れ

<行政書士に依頼した場合の流れ>

条件をしっかり確認したあとは、安心の専門行政書士に依頼しましょう!

  • 1.運送委託契約の締結先実運送事業者を探して契約を結ぶ
 緑ナンバートラック運送事業者もしくは利用運送専業事業者と契約を結んでください。
2.営業所を探す
 都市計画法上、問題ない場所で営業所を探してください。
3.直近の貸借対照表を用意する
 純資産の部合計が300万円以上の貸借対照表を準備してください。
4.行政書士に依頼する
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5.申請
 管轄運輸支局にて行政書士が申請してくれます。
6.2~3カ月後に登録完了
 スムーズに審査が進めば第一種貨物利用運送事業の登録が完了します。登録免許税9万円を納付し、登録通知書を受け取り、運賃設定届を提出すれば完了です!!

第一種貨物利用運送事業の許可 費用

第一種貨物利用運送事業 許可申請:15万円(税別)
※別途:登録免許税9万円

第二種貨物利用運送事業は鉄道・内航海運・国内航空のみ対応可能です。(外航、航空、国際航空は対応していません
第二種貨物利用運送事業(鉄道) 報酬40万円~(税別。路線・拠点数により変更あり。登録免許税12万円別。)
第二種貨物利用運送事業(内航海運) 報酬50万円~(税別。路線・拠点数により変更あり。登録免許税12万円別。)

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