日本一詳しく!貨物自動車運送事業の監査と巡回指導、行政処分について行政書士が完全解説4〜行政処分編(3)〜

公開日:2021年10月8日

運送事業は何十トンの鉄の塊を毎日何十台も走らせます。何より大切なのは“安全”です。事故をしたりすると、運輸支局が監査にきます。車両停止処分や場合によっては営業停止にもなりかねません。監査と巡回指導の対策をしたい方は必見です。

運送業専門行政書士鈴木隆広【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋13年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】

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行政処分編(3)

行政処分後に起きること・やらなければいけないこと

刑法犯は裁きを受けて、刑期を全うしたらそれで法律上は無罪放免となりますが、行政処分はトラックなどを止められて無罪放免ではありません。
行政処分が明けたあとにもいろいろとやらなければならないことがあるのです。

<行政処分後の流れ>

監査を受けたらすぐに問題点を改善し、行政処分後の改善報告の準備をしましょう!

  • 1.改善報告書の作成
改善報告書を作成するためには、
・なにが違反となっているのか
・どうやったら改善できるのか
がわからなければ改善できません。
見当はずれの対策をとっていたらムダな苦労になってしまいます。ぜひこのようなところは専門家にご相談ください。
2.呼出監査
呼出監査に向けて改善していかなければなりません。
行政処分が終わったからと言って終わりではないのです。
ここで完全に改善しておかなければ終わらないのです。
ほっておいたら、再違反・塁違反となり、処分が何倍にもなってまた襲ってきます。
「改善できないから無視だ」
ということだけはしないようお願いします。

どうやって改善すればいいの?

監査での違反事項指摘文書を読んでも、多くの事業者様は「なにを指摘されているのか正確にわからない」と言います。
役人は杓子定規の抽象的な言葉を使うので、具体的になにが違反となっているか事業者にはわかりづらいのです。
私もお客様と一緒に改善方法を確認していくと、「監査の時、たしかこんなこと言ってたような気がする」というお客様の声を受け、「監査担当はそんなこと言わないだろう・・・?」と疑い、実際に運輸支局の監査担当に確認しに行くと、お客様が誤解して受け取っていることがとても多いです。

従って、まずは「なにが正しくて、今回なにが違反とされたのか」を整理するところが最も大切です。
その確認をサボって一生懸命独りよがりで改善したつもりになっても、それは運輸支局の求めるものではないかもしれないのです。

監査行政処分後の交通整理

もちろんトラサポメンバー行政書士が全力でサポートします(有料)。

※注意※
専門家が絡んでも、魔法の杖を持っているわけではありませんよ。ムリなものはムリですし、やらなければいけないことはやらなければいけない、と強く申し上げます。要するに我々は正解を示すだけしかできないのです。その中で様々なルールを現実問題どのように適用するかというところでご相談の上、一緒に正しい方向に進んでいくわけです。

国土交通省のデータベースによりインターネットで公開されてしまう

国土交通省は、各地方運輸局長等が自動車運送事業者に対して行った行政処分情報を定期的にとりまとめ、過去3年間の自動車運送事業者に対する行政処分情報を掲載しています。

事業者の行政処分情報検索ホームページ(国土交通省)

コンプライアンス意識がどんどん高まっているこの世の中なので、取引先が御社と付き合う際に、このページで御社の名前を探す可能性も少なくはないでしょう。

増車や認可申請ができなくなります

行政処分が決定されると、その時点からナンバー領置が終わるまで増車はできません。

行政処分前後の申請制約
逆に考えれば、行政処分決定前であれば、車庫面積に余裕があれば行政処分が下される前に短期リースをしてくれる会社などからトラックを借りて増車することがしたりする対策を取ることができます。

事業用短期リースしてくれる会社は以下のようなところがあります。(この会社の社長や従業員さんとは直接の知り合いです)
私のお客様に紹介したら良い評判を頂きました。

「ちょっトラック」(グリーンオートリース)

また、事業計画拡大となる認可申請は3か月間申請ができなくなります。
もし申請しているものがある途中で行政処分が決定となった場合、その申請は取り下げとなります。
2019年11月から、3カ月以内に30%以上の増車となる増車届は認可事項となります。
また、現在基本3か月の認可できない期間が6カ月に延びる予定です。

ナンバー返還~再封印

運輸支局の監査担当窓口に「自動車番号標領置証明書」と「再封印依頼書」を持っていき、ナンバープレートと車検証原本を返してもらいます。

区役所等で仮ナンバーを借りて、トラックを運輸支局に持っていきナンバーを取り付け再封印します。

領置終了~再封印の流れ

領置終了~再封印の流れ

改善報告書の作成

行政処分の通知書には「行政処分等を行った日から3月以内に報告を行うよう措置するものとする」とありますが、運輸支局の監査担当も相当忙しく、その報告が3か月より何カ月も経てから求められることも多々あります。
改善報告書は、書類上だけで提出すれば終わりではありません。
逆に書類は当たり前の改善方法を簡潔に書くだけです。
結局、運輸支局の監査担当は、日報や点呼記録簿などの帳簿を確認して、本当に改善できているかを徹底的に確認するわけです。
従って、要するに「実情ちゃんと改善するしかない」のです。

行政処分を軽くするにはどうしたらいいの?

監査が来るとわかってからでもできること

監査は事前に来ることを教えてくれることもあります。
そのときに「今さらなにもできることはない・・・」とあきらめるのはやめましょう!!
残り数日だとしても、まだできることはあります。
過ぎ去った日の帳簿でも、偽造さえしなければそこから完璧に仕上げてもよいのです!!

監査直前の数日間でもできること!!

    • ・3カ月点検をしていなかったら急いで整備工場に3か月点検をしてもらう
      ・万が一、運行管理者や整備管理者がいない場合、すぐに雇って1回でも対面点呼、日常点検確認させる
      ・役員変更届、事業報告書、実績報告書など提出していなかったらすぐ運輸支局に提出する
    • ・運転者台帳の記載漏れや写真貼り付け漏れをなくして完璧にする
    • ・健康診断を受けてない従業員がいたら急でも良いから受けさせる
    • ・運転日報の記載漏れがあれば後日からでも良いので記憶を思い出して記載する(特に休憩の場所と時間)
    • ・点呼記録簿の記載漏れや運行管理者スタンプ押し忘れなどがあれば後日からでも良いので記憶を思い出して記載する(特に指示事項)
    • ・日常点検チェック表にチェックがしていなければチェックをする
    • ・36協定を労基署に提出していなければ急いで作って提出しましょう
    • ・運転者への教育(年間12項目)をしていなければ、急いで指導教育計画表の作成と教育の実施をしましょう

もし、これらが全てやっておらずに違反事項として指摘されたら、何十日もトラックが止められてしまいます。
3カ月点検、運行管理者整備管理者不在なんて30日間営業停止です。
「監査が来ると知ってからやったら逆に怒られませんか?」
という質問を受けますが、遅くなったとは言え、正しいことをやろうとしているので、そんなの怒られるはずがありません。
ただし、偽造するとかなり重い罰則を受けるので、偽造は厳禁です!!

帳簿は手書きじゃないとダメですか?

「日報はドライバーの手書きでないといけませんか?」という質問をよくされます。
いやいや、すべてパソコンで作っても問題ありません。
この働き方改革を進めている時代、手書きでなければいけないなんてことはありません。

「帳簿は印刷する必要がありますか?」

点呼記録簿、運転日報など、紙で印刷することは義務として定められておりません。
監査員に求められた場合に印刷できる状態であれば大丈夫です。
ただ、運行管理者のチェックなどは電子的にわかるような仕組みを作っておいてください。

とにかく毎日ちゃんとやること

当たり前ですが、毎日ちゃんとやることが一番大切です。

100%を目指す必要はありません。
80%でも良いのです。

一番よくないのは「どうせ100%できないルールを設ける役人が悪い。だったらやらない」という考えです。

確かに、役人が考えるルールは現実に合っていないことも多いと思います。
しかし、現状なにも苦労しないで守れるルールを作っても、それは安全につながるでしょうか?
「より安全」を目指すためには、少し大変なくらいのルールである必要があります。
また、ルールを自分たちを締め付けるものとは考えずに、「よい会社となるための目安」と考えたらどうでしょうか?
行政ルールをそのように使えるように考え方を変えると、あなたの会社はもっともっと良い会社となっていくでしょう。

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