適正原価調査のお願いの書き方 | 国土交通省からオレンジの封筒が来た
国土交通省からオレンジの封筒が届いた!開けてはみたものの何枚もよくわからない紙が入っていて、これは本当に出さないといけないの?なんのための調査なの?どうやって書くの?出さなかったらどうなるの?私も4時間かけて1営業所4t平ボディ想定で記入していろんな疑問を解決しました。そんなことを運送業専門行政書士が解説します。
※本ページに対する質問やクレーム等は一切お受けしません。質問はポータルサイトや運輸支局輸送窓口にお問合せください。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」
神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】「適正原価調査のお願い」ってなに?
(国交省サイトより転載)
令和7年6月に貨物自動車運送事業法が改正され、トラックドライバーの適切な賃金を確保し、業界全体の質を高めることを目指して、事業許可の更新制、適正原価制度が新たに導入されることになりました。この調査は、適正な原価を定めるために、トラック事業者の原価構造の実態を把握することを目的として実施するものです。
以下は私の個人的考えです。
まず、この調査は「実態調査」なのか「適正原価を知りたい」のかがまったくわかりません。
この精度のアンケートを全営業所に送り付けるのは統計調査手法上、まったくもってナンセンスです。
その上、霊柩事業者にも送っているのですから気が知れません。
とは言え、これは法律でムリヤリ規定されている報告義務のあるものとされるので作成して提出しましょう。
基本的には実態を書くように書いていますが、この調査の性質上、この数字をもとに「適正原価」を算出するはずですし、そうでなければ本当に単なる時間と税金のムダです。だから実際には支払っていないお金や実際は収受できていないお金についてもあなたが「適正だ」と思えば記載しないとおかしいものとなります。この書類は社員やパートに「なんとなく作っておいて」で社長がチェックしなくてよいものではありません。作らせるのはいいですが、必ず社長がチェックして「うちの会社は未来に向けてこれくらいのお金を収受し支払わなければ良い運送会社として経営を続けられない」という強い気持ちで作成してください。
私は個人的、また運送業界のためを思うのであれば運送会社自らがそのようにすべきだと考えますが、各設問で「実際の情報を書いてください」とあるところについては各自で判断するようにしてください。と免責の為に書かせてはいただきます。
答え方がわからないときの問合せ先
まずは適正原価調査のポータルサイトに行き、そこに書いてあるよくある質問を確認しましょう
問い合わせ先メールアドレス ask@mlit.site
問合せ先FAX番号 03-6273-0485
提出期限はいつか
基本的には封筒に書いてある期限までに提出すればよいです。
多少過ぎても問題ないので提出しましょう
(国交省サイトより転載)
【ドライバン等・霊柩車】令和8年2月20日(金)まで
【その他の特殊車両】冷蔵車・冷凍車、ダンプ車、タンク車、バルク車、コンテナ輸送車、コンクリートミキサー車、トラック搭載型クレーン車、一般廃棄物輸送車(塵芥車、衛生車、平ボディ等)、車積載車(キャリアカー)、重量物輸送車:令和8年2月27日(金)まで
絶対に提出しないといけないの?
(国交省サイトより転載)
はい、回答は義務となっています。
本調査は、貨物自動車運送事業法第60条第1項および貨物自動車運送事業報告規則第3条に基づき「臨時報告」を求めるものとして実施されるものです。対象となる事業者は、必ずご回答ください。
待機時間などの時間単価はどうすればいいの?
正社員の給与は実際の給与を書くようにありますが、適正原価の調査ということは、「自社として本当は払いたい給与」「自社として本来あってほしい労働時間」を書くべきだと私は考えます
また、もらえてない料金についても同様で、欲しい金額を書くべきでしょう。
それが「本当に適正な原価」につながるはずです
考えてみてください、ここで「本当はもっと欲しいんだけど」と思っているその低い実際の金額を書いたら国土交通省はそれを「適正な原価」としてしまう理由を作ってしまいます。極端な話、社会保険にまともに入っていない会社が正直に書いて、それが国土交通省が「これでも黒字になってるんだな」としてしまったらどうなるか、そういうことも考える必要があると思います。
どの車両について記載すればいいの?
(記載要領より転載)
〇ドライバン等を保有し、特殊車両を保有していない場合
→ ドライバン等について1台ご回答ください。
〇ドライバン等と特殊車両を保有している場合
→ ドライバン等とそれぞれの特殊車両の車型につき、1台ずつご回答ください。
〇ドライバン等を保有せず、特殊車両だけを保有している場合
→ それぞれの特殊車両の車型につき、1台ずつご回答ください。
〇ドライバン等を保有せず、特殊車両も保有していない場合
→ その他車型について1台ご回答ください。
・車両共通の優先選定基準は以下の通りです。
※可能な限り以下の基準にあてはまる車両をご選定ください。ただし、保有する車両が以下の基準のいずれにも該当しない場合(中古車・リース車両)でも、以下条件に近い車両を1台選定の上、ご回答いただきますようお願いいたします。
①最も稼働率の高い車両(1日当たり平均稼働時間8~15時間)であること
②購入した車両(リース車両ではない)であること
③新車で調達した車両(中古車で調達していない車両)であること
④新規登録から5年以内であること
・回答者は運行実態について、運行管理者、ドライバー等からヒアリングをして、ご確認ください。
トラクタ、トレーラを保有している場合は、トラクタ1台、トレーラ1台について上記条件にあう車両について作成してください
調査書の書き方解説
見ればわかるものは解説は飛ばし、記載方法が不明瞭な箇所について解説やコメントをします。
10 一般貨物自動車運送事業損益明細表で過去2期連続で、経常損益(経常利益)が黒字(プラス)ですか。
1期が赤字、1期が黒字の場合は「2期連続黒字でない(赤字)」を選んでください
12 一般貨物自動車運送事業損益明細表から、「千円」単位で転記してください
営業収益(合計) 運送事業の売上全体を記載してください
施設使用料 一般貨物自動車運送事業損益明細表だけでなく一般管理費に記載してある家賃・車庫代・倉庫代など全てを計上してください
施設賦課税 決算書にはなぜか少額計上されている決算書も多いですが、運送事業に関わる全ての税金を計上してください
営業損益、経常損益:運送業しかやっていない会社は決算書の数字をそのまま書けばよいですが、他事業をしている会社は少し難しいですね。事業報告書の通りに書いても良いですし、この機会にしっかり運送事業部門別決算にしてもいいかもしれません。

13 直近の確定申告で提出をした損益計算書(P/L)から、「千円」単位で転記してください。
売上高(会社全体) 運送業だけしかやっていない会社は、12の営業収益(合計)と同じ数字になります。運送業以外の事業をしている会社はそれらすべて含めた売上高を記入します。
営業損益、経常損益も同様、全体の数字を記入してください。
14 決算書作成にあたり、税理士・公認会計士が関与していますか。
法人で税理士などが関与していない会社なんてほとんどありませんよね、なんでこんなムダな選択肢を作るのでしょう・・・。
恐らくですが、貸切バスでは決算書の内容について税理士の証明印を押す書類があります。その布石なのでしょう。
たまに青色申告相談所で作ってもらってる会社はそういう税理士がいないので更新のときに大変になるので、今から税理士と契約しておきましょう。
15 【過去1年間】輸送の安全確保のために必要な経費のうち、該当するものを選択の上、「万円」単位の概算経費(税込)及び研修棟に要している時間を記入しくてださい。※「該当しない」場合、未記入で構いません。
運行管理者 一般講習 2年に一度 約5000円 5時間
整備管理者 選任後研修 無料 3時間
ドライバー年間12項目 オンライン講習 1人約12000円/年
初任運転者適性診断 NASVA 4800円 1時間40分
【法定以外】安全性有料営業所(Gマーク)認定申請費用 トラック協会への申請料自体は無料ですが行政書士などに外注する場合の相場の金額を入力しましょう
【法定以外】自動点呼システム導入費用 現時点導入していなくても将来導入が義務付けされる可能性があるので計上しておきましょう
【法定以外】熱中症対策費用 ミネラルウォーター、スポーツ飲料、冷却材、空調服などの金額を計上しましょう
【法定以外】ドライバーの研修時間 これは年間12項目以外の安全教育など含めていいと思います。年間受講時間は、ドライバー人数×年間平均受講時間により、概算時間をご計算ください。
16 トラック運送事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資のうち、以下の条件に該当する取組について「万円単位」の概算額(年間の平均支出額(償却額)/税込)をご記入ください。
現時点で具体的な計画がなくても近い将来取り組まなければいけなくなると思うので予想額で良いので計上しましょう。
システム導入に係る投資原資のように、複数年にわたる投資原資となる場合には、1年間の減価償却費に換算し、1年間の費用額としてください。
17 附帯作業料の収受実態についてご回答ください
この項目は実態を選べばいいでしょう。
大切なのは、付帯作業料金を追加でほしいと思っている場合は「収受できていない1時間当たり収入損失額(税込)」を記載すべきと言うことです。
この金額はどうすればいいかというとそれはやはり人件費をベースにそこに会社の利益を載せる金額を請求するべきです。月間給与が40万円の場合、時給は約1800円ですが、会社がその金額を従業員に支払う場合、中小零細企業の場合でも売上ベースでは2倍以上もらわないといけません。最低でも1時間3600円を請求しなければいけません。
18 積込・取卸作業料の収受実態についてご回答ください。
この項目もまずは実態を選べばいいでしょう。
ただし、1時間当たり収受額は500円などのお情け程度の金額はいけません。ここもやはり1時間あたり3600円はもらわなければ健全な会社とは言えません。
20 運転者が積込・取卸作業をしない場合(荷主・倉庫業者等が作業する場合)、積込・取卸時における「運転者の立会い及び積付作業(養生・固縛等)の時間費用」を収受していますか。
この項目もまずは実態を選べばいいでしょう。
ただし、これも1時間当たり収受額は500円などのお情け程度の金額はいけません。ここもやはり1時間あたり3600円はもらわなければ健全な会社とは言えません。
たぶんこのあたりで1時間ほどかかってると思います、お疲れ様です!!
22 【指定時間前の待機時間】貨物取卸の指定時間がある場合、到着から取卸し開始までの待機時間が発生することがありますか。
運行計画上、早い時間に到着できるが、荷主等の都合により、取卸時間をより遅く設定された場合の待機時間をいいます。例:運行計画上、8時に到着できるが、荷主の指示により17時に取卸した。8時から17時までが、調査対象の待機時間です。
27 高速道路やフェリーを利用した場合、当該利用料金を実質的に収受している割合をご回答ください(運賃に含められている場合を含めます)。
荷主等からの発注件数のうち、高速道路やフェリーを利用した運行について、荷主等から料金等収受できている割合をご回答ください。
36 適用、収受している割増料金をご回答ください。
現在、適用していなくても、適正原価として必要と思うのであれば記載すべきだと思います。
44 車両の附属備品等の費用のうち輸送の安全確保のために必要な経費をご記入ください。
運行記録計(デジタコ)は貨物トラックもおそらく数年で貸切バスと同様に義務になる流れなので台数分のデジタコ費用を計上しましょう
ドライブレコーダーも同様です
54 【年間】この車両の車検整備費用、定期点検・一般修理費等をご記入ください。
〇平均積載率は、重量、容積等の基準の指定はありません。設定されている運賃体系を考慮したうえでご回答ください。
〇総走行距離とは、実際の走行距離。
〇実車距離とは、貨物を輸送した距離。
〇実働日数とは、車両が稼働した日数。
〇実働時間は、1日当たりの運転者の拘束時間に近い数字となります。
一般修理費等ってとても難しいですね。大きな部品が壊れたら数百万円かかるんですけどね。
ちょっと多めに記入すればいいのではないでしょうか。
57 【月間】この車両の積載率、総走行距離等について、ご記入ください。
【1日】平均実働時間は拘束時間-休憩時間です
60 【年間】この車両が特殊車両通行許可を得ている場合、平均の申請手数料等をご記入ください。
自治体手数料+行政書士報酬を記入します
行政書士報酬は車両の特殊性や経路数、未収録道路の数によってかなり異なりますが、なんとなくの相場観を言えば「1台ごと3万円。1経路増えるごとに5000円×台数」という感覚でここでは書いておいていいと思います。たとえば20t超車両が20台あってすべて経路10経路の通行許可が必要なのであれば3万円×20台=60万円と10経路×20台×5000円=100万円の合計160万円です。(あくまで参考で、実際は複数台割引などあるかもしれません)
61 この車両の主な運行に係る所要時間、距離等の平均値をご記入ください。
年間を通して、特定の「輸送品」がない場合、最も多い輸送品をご回答ください。
各運行で時間も距離も相違しますが、最も回数が多く、代表的な運行を選択して、ご回答ください。
原則「1箇所積み、1箇所卸し」を前提に回答・回答パターンは原則「1箇所積み、1箇所卸し」をご回答ください。
まとめ
この調査はものすごく量が多い上に「そこまで答えないといけないかい?」という疑問を抱かざるを得ない内容ではありますが、やっぱりマジメに書いて出さなければいけません。国土交通省はこの数字をもとに運送業界の未来を大きく左右する適正原価を算出するのです。だから実態に即しながらもあなたが「適正」つまり「今後の物価上昇も考えたらこれくらいはもらわないとやってられん!」という数字を書いていくべきです。
また、適正原価収受や5年許可更新制スタートに向けては毎年激変する貨物法関連にアンテナを張っておかなければなりません。トラック協会の情報にアンテナを張ると共に、運送業専門行政書士であるお近くのトラサポ行政書士に顧問を依頼するのが御社の運送業経営を長く平和に保つために一番の策だと思います。





































































