【相談事例】巡回指導指摘事項いくつまでならギリギリC判定になれますか?
ご相談内容
前回E判定を受けてしまい、また巡回指導が来ます。3回連続E判定での監査は受けたくないのでなんとかC判定にしたいのですがNGは何個まで許されますか?もちろんA判定を目指しますが現実的にはなかなか難しいです。ギリギリC判定の基準を正確に把握しておいたいです。
行政書士の回答
運行巡回指導の判定はAからEまでなされます。NGの個数によってランクが決まりますが、重要項目がNGだとそれだけで1つランクが下がってしまいますし、事業者によっては確認項目が違うこともあります。御社の経営体制をヒアリングしながら、どの項目をクリアすればいいか一緒に考えていきましょう。
D・E判定は半年ごとの巡回指導対象になってしまう
令和5年4月1日から、トラック協会巡回指導の判定がDかEの事業者には半年ごとに巡回指導が行くようになりました。
巡回指導員は去年は前回A~Cの事業者はほとんど行かずにD・E事業者をまわるのでいっぱいいっぱいだったと聞きます。
それ以外は、Gマーク申請事業者や新規許可事業者の巡回指導です。
だから逆に言えば、A~Cの事業者は今まで2~3年に一度だった巡回指導が5年とかもっと延びることになることが予想されます。
トラック協会のパンフレットにもあるように、D・E判定が3回続くと運輸支局の監査からの行政処分の対象となります。
だからなんとかギリギリでいいのでC判定に持っていきたいわけです。
トラック協会巡回指導でチェックする内容
トラック協会はこのようなカルテを持ってきてチェックします。
全部で38項目あります。
読めばわかるものが多いと思います。
運行管理規程、整備管理規程は昔のままだと「最新のものにしてください」と言われるので、トラック協会で購入すると間違いないでしょう。
事業計画等7.8の項目は無許可営業、名義貸しについてです。これがNGになると一発30日事業停止になる可能性があるので要注意です。外注の個人事業主運転手に自社緑ナンバートラックを運転してもらっているという状況は問答無用で名義貸しに見られるので、個人事業主への外注支払いは絶対しないように注意が必要です。
法定点検(3カ月点検、12カ月点検)は忙しくて逃してしまうこともあるでしょう。そのような場合は遅れてもいいので回数分は揃えておきましょう。
巡回指導前にこの38項目表を見て、やればいいだけのものはやっておきましょう。
結局、NG何個までがC判定になるのですか?
AからE判定は以下のようなNG項目割合で判断されます。
個数でなく%で判断されます。
全体が38項目で4つNGならば計算式は、
(38-4)÷38=約89%
89%は80%以上90%未満なのでB判定となります。
切り上げ、切り下げ、四捨五入などはせずに、小数点のままで判断します。
89.99%だとしてもそれは90%未満です。
しかし、そのNG4つの中に、重用項目があったとしたら1ランク下がるのでC判定となってしまいます。
たった4つのNGでC判定なのですからかなり厳しいです。
重要項目というのは以下の9つになります。
巡回指導の重要項目(1個NGで1ランク下がってしまう項目)
- 運行管理者が選任され、届出されているか
- 過労防止を配慮した勤務時間、乗務時間を定め、これを基に乗務割が作成され、休憩時間・睡眠のための時間が適正に管理されているか
- 点呼の実施及びその記録、保存は適正か
- 乗務員に対する輸送の安全確保に必要な指導監督を行っているか
- 特定の運転者に対して特別な指導を行っているか
- 特定の運転者に対して適性診断を受けさせているか
- 整備管理者が選任され、届出されているか
- 定期点検基準を作成し、これに基づき適正に点検,整備を行い、点検整備記録簿等が保存されているか
- 所要の健康診断を実施し、その記録・保存が適正にされているか
たとえば、たった1人だけ健康診断を受け忘れていたり、仕事が忙しくて受ける暇が無かった、という場合、もしNGが38項目中でそのたったの1つだったとしてもB判定になってしまいます。
そんな殺生な、、、と思う気持ちはわかりますが、安全のために特に重要な項目なので仕方ありません。この9つを重点的に整備していきましょう。
その計算方法で言うと、C判定ギリギリは70%以上ですから、11個NGつまり27個OKであれば大丈夫となります。
(38-11)÷38=約71%
しかし、11個もNGの場合に重要項目のNGが無いことはほとんどありません。
すると個数ベースでB判定にならなくてはなりません。
B判定はOKが80%以上ですから、NG7個まで、つまり31個OKまでとなります。
(38-7)÷38=約81%
このNG11個と7個の4個の差はとても大きいです。。。
巡回指導チェック項目は38項目とは限らない!
巡回指導は基本的には38項目がチェックされるのですが、事業者によっては38個より少ない項目で確認されます。
よく削除される項目として「運行指示書」があります。
これは巡回指導員が「運行指示書が必要な運行はありますか?」という質問に対して、事業者が「うちは泊まり運行ありません」と答えると、その項目は〇になるのでなく、確認対象外になってしまうのです。
そうなると全体で37項目となります。
37項目の場合は38項目のときと同じで、重要項目含めて7項目NGまでがC判定です。
除外される可能性がある全て項目について解説すると以下の用になります。
場合によって除外される項目
- 運行指示書
→2泊3日運行など(乗務前及び乗務後点呼が対面でできない場合)がなければ除外 - 事業報告書及び事業実績報告書を提出しているか
→新規許可業者で報告期限が未到来であれば除外対象 - 事故記録が適正に記録され、保存されているか
→事故を起こしていない事業者は対象外 - 自動車事故報告書を提出しているか
→事故を起こしていない事業者は対象外 - 運行記録計による記録及びその保存・活用は適正か
→運行記録計(タコメータ)搭載義務車両が無い場合は対象外 - 就業規則が制定され、届出されているか
→10人未満の事業所の場合は以下の項目が対象外 - 運行管理者講習
→選任された年度内余裕あれば対象外 - 整備管理者講習
→選任された年度内余裕あれば対象外
これがすべて除外されるとすると、全体で30項目がチェック対象となります。
また、本社以外の営業所は以下の項目が除外されます。
・(本社以外)事業報告書・実績報告書
・(本社以外)役員変更届
これがすべて除外されるとすると、全体で28項目になります。
もし、28項目だと1つの重みが増えてしまい、C判定になるために5項目しかNGを出せなくなります。
34項目チェックの場合までが7個と6個がC判定、つまり80%の境目です。
35項目チェックの場合は7個NGでもちょうど80%でC判定となります。
霊柩事業者はチェック項目がもっと少ない
霊柩事業者で緑ナンバー車両5台未満の場合は、運行管理者等の項目がすべて対象外となります。いろいろ除外され、神奈川県であれば26項目が基本チェック項目数となります。
もし全体で26項目であれば、重要項目含めて5個NGがギリギリC判定です。
判定は巡回指導当日のものが確定されるの?後日改善したら改善後が確定されるの?
原則として、巡回指導当日の判定で確定されます。
当日に巡回指導員が複写式の用紙に手書き(神奈川県の場合)で違反項目を記載して、事業者に渡します。
本当は健康診断を受けているけど、当日1人分だけ受診票がなく、後日提出で確定判定を変更してくれるというような場合もありますが、それは巡回指導員との相談になります。
指摘された後に改善したら、改善後の判定が運輸支局に報告されればいいのですがそうはいきません。
巡回指導を甘く見ずに、しっかり準備しましょう。
とにかくなんとしてでもC判定まで持っていきましょう!
巡回指導で見られるのは過去いつまでの帳簿ですか?
基本的には直近1ヶ月分の日報、点呼記録簿などを見られることが多いです。
3カ月点検、12カ月点検は1年分、つまり1台につき4枚が必要です。
健康診断も1年分です。
毎日の記録義務がある帳簿は1カ月、それ以外は1年というのが基本的な考え方となるでしょう。
もちろん保存義務期間までは求められても文句は言えないのは当然です。
まとめ
ほとんどの一般貨物自動車運送事業者はNG7個までがギリギリC判定となります。
チェック項目が除外される事業者はNG5個までがギリギリC判定の場合もあります。
運良く重要項目がNGでない場合は11個で基本のギリギリC判定となります。
しかし、霊柩事業者や新規許可事業者の場合は、総数が異なるので注意が必要です。
いずれにしても、しっかり準備して巡回指導を安心して迎えましょう。
不明点がある場合は最寄りのトラック協会に相談にいくのもいいでしょう。
トラック協会はそのために存在しているので遠慮なく相談してください。
また、もっと親身に顧問も視野に入れて運送業法の専門家に頼りたい、という場合は、ぜひトラサポメンバー行政書士にご相談ください。
トラサポは運送業新規許可はもちろん、そのあとのコンプライアンス帳簿サポートの経験も豊富ですので、不安のある方は他の行政書士からの乗り換えでも構いませんので、ぜひ頼ってください。
新規許可申請は他の行政書士に頼んでしまったから頼みづらいなんてことは気にしなくて大丈夫です。
餅は餅屋にぜひお任せください!!
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