【相談事例】霊柩寝台の許可で独立したいのですが個人でも可能ですか?
ご相談内容
茨城県の葬儀会社に勤務して、寝台車の運転手もしています。このたびお客様からの引き合いもあり、霊柩寝台会社として独立開業しようと考えています。個人で霊柩寝台の緑ナンバー運送業許可を取得するにはどのような要件をクリアしなければなりませんか?また、法人と個人のどちらで取得した方がよいですか?
行政書士の回答
寝台業界は個人で独立というケースがとても多いです。寝台車1台準備すれば開業できますし、おそらく相談者の方も今の葬儀会社や知り合いの葬儀社からの仕事のめどがついているのでしょう。個人で霊柩寝台許可を取るのと法人で取るのにあまり違いはありませんが、そのあとの経営運営という点では違いもあると思います。
霊柩寝台許可を取る方法
霊柩寝台の緑ナンバー許可を取るための要件や流れを説明します。
霊柩寝台緑ナンバーの許可は実は一般貨物自動車運送事業許可です。トラック運送緑ナンバーと同じ許可なのです。
なにが違うかというと、霊柩限定という条件つきの許可になるのです。また、霊柩限定は基本的には営業所がある都道府県を営業区域制限となる許可となります。
この区域制限は、たとえば相談者の茨城県であれば、茨城県から絶対出てはいけないということではありません。発地か着地のいずれかが茨城県内であれば構いません。たとえば青森県にお住まいの方が茨城県に来ているときに不幸にも亡くなった場合に、病院から依頼があり、茨城県で載せて青森県まで行くのは合法です。逆もまた同じく合法です。
そしてこの営業区域は隣接都道府県にも広がる場合があります。たとえば茨城県古河市西町は埼玉県と栃木県に接しているので、茨城県だけでなく埼玉県と栃木県も営業区域とできるお得な地域となります。
その霊柩限定一般貨物自動車運送事業許可の要件を解説します。
霊柩寝台車は1台でも緑ナンバーを取得が可能です。トラックの場合は5台ですが霊柩寝台の場合は1台でも許可が取れます。
他に必要なものは、営業所、車庫、運転資金です。
営業所は建築確認として事務所用途として建築されたものであれば大丈夫です。
車庫は基本的にはNGになることはありませんが、前面道路の幅員が十分に広くないといけません。
それ以外には運輸局の許可がおりるおりないとは別の問題もあります。
それは周辺住民との関係です。この多様性の時代でもご遺体を扱う仕事が住民から敬遠されるのは事実としてあります。事務所や車庫として貸してくれる大家さんもすべてではありません。長期にその場所で事業が継続できる場所を選ぶ必要があります。
個人でも霊柩寝台緑ナンバー運送許可はとれるの?
これは本当によくある質問です。事業をするのに法人でなく個人だと許可が取れないと思っている方はとても多いです。
結論から言うと、個人でも許可は取れます。
要件は法人で取る場合とほとんど変わりません。
必要なお金は同じですし、役員法令試験を受けることも同じですし、試験内容も同じです。
霊柩寝台の運送業許可が下りるまではどれくらいの時間がかかるの?
国土交通省が提示している標準処理期間としては3~5ヶ月となっています。運輸局によっては3か月を切って許可になるところもありますし、関東運輸局は5か月以上かかることが普通です。
従って、準備期間を1か月と見れば、3カ月~半年かかるということになります。
個人と法人ではなにが違うの?
法人の方が社会的信用が大きかったり、融資で有利だったり、企業によっては法人格が無いと契約しない、ということもあります。
しかし、個人の信用で仕事が来るのであれば法人にする必要はないでしょう。
法人にすると経費の制限がありますし、確定申告ではどうしても税理士に頼らざるを得ないでしょう。個人事業主であれば頑張って自分で確定申告をすることもできるでしょうが、法人の確定申告をすべて自分でやるのはとても大変だと思います。
また、法人で役員が複数人いる場合は、役員法令試験は登記されている役員の誰が受けてもいいのでその点は少しメリットかもしれません。
外注しているのを自社でやるようになったらどれくらいでペイしますか?
寝台車自体の価格によると思いますがそれを500万円とします。
外注を2日に1回出しているとすると1回4万円、1カ月で60万円。その中には人件費も含まれているので浮くのが半分だとしたら残りは30万円。約1年半でペイすることになります。
更に、自社に常に霊柩寝台車が配備されていれば今まで受けられなかった仕事も受けられるようになるので費用対効果としては十分すぎるのではないでしょうか。
また、運送業専門行政書士に依頼することで、ご自身や素人行政書士に依頼した場合に比べて、許可が下りるまでの期間が実は1~3か月の違いが出ます。1か月で30万円浮いた上に、申請準備や審査途中の運輸局の対応で大変になることを考えると、運送業専門行政書士に50万円ほど払ったとしても十分にペイすることになるでしょう。
なぜそんなに違いが出るのかと理由は簡単です。申請書が未完成で不備が多いからです。最悪の場合は事前調査が足りずに申請を取り下げないといけないこともあります。そうすると1~3か月では済まずに4~5か月の差になることもあります。そのために事務所や車庫を借りていて、その場所が要件満たさない場所であればそのムダな空家賃の金額も計り知れません。
霊柩事業者にも運行管理者は必要なの?
ほとんどの霊柩寝台事業者には運行管理者国家資格者は必要ありません。1つの営業所に5台以上の緑ナンバー霊柩寝台車が所属するようになると運行管理者国家資格者の配備が必要となります。
それとあわせて同じく5台以上になると整備管理者資格者が必要となります。
3台くらいまで増えたときに、さらに事業拡大が見えているのであれば頑張って運行管理者試験勉強をするのがいいでしょう。
寝台車の車種はアルファードがいいの?
アルファードの後部座席を外して、ストレッチャーレールを取りつけて霊柩車として構造変更することはよくあります。やはりトヨタ車は丈夫で長持ちすることも選ばれる要因です。
しかし東京都内など道が細いところではアルファードは不便なのでセレナやVOXYなどの少し小さい自動車をベースにして霊柩寝台車を作るケースもよくあります。
霊柩寝台車を作る会社はいろいろありますが、必ず実績のある会社を選ぶようにしてください。やはり餅は餅屋です。
宮型霊柩車が使えない自治体があると聞きましたが?
昔はそういうことがあったと聞きますが、今はそのような自治体は聞きません。
ただ、地元の霊柩事業組合などで自主的に新規参入事業者を拒んでいるということは聞いたことがあります。万が一そのような場所の場合は、それはきっとお客様の方が業界の人なのでわかっていると思いますがご注意ください。
それよりも、宮型霊柩車はやはり周辺住民の抵抗を受けることが容易に予想されますから、周辺住民の理解を得ることはとても重要です。
軽自動車の寝台車で仕事することは可能なの?
軽自動車でも霊柩寝台許可は取れます。厳密に言うと「許可」でなく「届出」です。こちらは一般貨物自動車運送事業許可ではなく、貨物軽自動車運送事業という枠組みであり、貨物軽自動車運送事業経営届出という手続きをすることになります。
こちらの手続きは一般貨物自動車運送事業とは比べ物にならないほど簡単ですし、半年もかからず1日で終わります。
ただ、軽自動車では当然葬儀会場やご遺族のお宅に行くことはできないでしょう。病院間や遺体安置所など、ご遺族に見えないところでのご遺体搬送に使うことがメインとなるでしょう。
しかし、軽自動車は初期投資が少ないのでスモールスタートには良いのではないでしょうか。葬儀屋の副業ではじめて、軌道に乗ってから一般貨物緑ナンバー霊柩寝台事業者に挑戦するのもアリではないでしょうか。
霊柩緑ナンバー取得後にはなにをすればいいの?
一般貨物自動車運送事業(霊柩限定)許可を運輸局からもらってもそれで終わりではありません。
次の手続きをする必要があります。
・運輸開始前確認報告(社会保険書類等提出)
・事業用自動車等連絡書の発行
・車検証書換と同時にナンバー取り換え
・運輸開始届提出
・運賃設定届提出
また、運輸開始届提出後の2~3か月を目安にトラック協会の初回巡回指導(特別巡回指導)が決ます。
巡回指導では運転日報や点呼記録簿の確認、ドライバー教育の確認等がなされます。
その巡回指導の判定がD・Eだとまた半年後に巡回指導が来てしまいます。
しっかり準備しましょう。
まとめ
個人でも霊柩事業をはじめることは可能です。
預金が600万円ほどあれば霊柩寝台の事業許可(一般貨物自動車運送事業)の要件を満たし、運輸支局に申請してから3~6カ月で緑ナンバーをつけて仕事をすることが可能です。
私が新規許可で関わった霊柩事業者様は葬儀業も兼業しており、ほとんどの方が事業拡大で発展しております。
営業方法によって会社の規模はどんどん大きくなる業界なのだといつも教えていただいています。
トラサポでは行政書士の中でダントツの霊柩事業顧客実績があるので、個人の方も法人の方も葬儀社様も安心してご相談ください。
トラサポは運送業新規許可はもちろん、そのあとのコンプライアンス帳簿サポートの経験も豊富ですので、不安のある方は他の行政書士からの乗り換えでも構いませんので、ぜひ頼ってください。
新規許可申請は他の行政書士に頼んでしまったから頼みづらいなんてことは気にしなくて大丈夫です。
餅は餅屋にぜひお任せください!!
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