一般貨物自動車運送事業の営業所要件・休憩睡眠施設の選び方
運送業の管理拠点となる営業所の要件を丁寧にやさしく解説します。用途地域で注意すべきこと、スーパーハウスでの許可の取り方、「これは絶対外せない!」というポイントも沢山。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」
神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】
はじめに
一般貨物自動車運送事業の営業所を探してるのですが、なにか気を付けることはありますか?
部屋があればどこでも一般貨物自動車運送事業の営業所として登録できるわけではありません。
どのようなことに気を付ければいいでしょうか?
基本的には
「使用権原があること」「都市計画法に抵触していないこと」「車庫との距離」「業務を遂行するのに支障がないこと」
をクリアする必要があります。
う~む、なかなか難しいですね。。。知らない言葉ばかりです。
そうですよね。でもこのルールを知っておかないと、「借りたはいはいいけど登録できなかった」ということになりかねません。
それは怖いですね。どうしたらいいでしょうか?
お客様が知らないのは当然です。今からできるだけわかりやすい言い言葉で解説していきますね。
運送業の営業所認可の要件
運送業の営業所を運輸支局で得るためには、いくつかの要件をクリアしなければなりません。
場所(用途地域など)、施設要件、面積要件、休憩施設の要件、車庫との距離について解説します。
場所の要件
(1)用途地域をチェック
用途地域が都市計画法・建築基準法等に関して適法であることが必要です。
市街化調整区域は原則NG
まず、市街化調整区域は原則設置不可能です。
(市街化調整区域内でもトレーラーハウスであれば認められるケースが増えてきています。)
しかし、市街化調整区域内でも線引き前からの建物で大丈夫なものもあるでしょうし、連たん制度を適用して大丈夫になる場合もあるでしょう。
その他、市街化調整区域だから即NGと決まっているわけではありませんので、各自治体に個別相談が必要です。
工業地域、商業地域などでは用途地域で問題になることはまずないでしょう。
○○住居専用地域は要注意!
自治体によって対応は異なりますが、微妙な判断が求められるのが第一種低層住居専用地域などの○○住居専用地域です。
○○住居専用地域は「兼用住宅で、非住宅部分の床面積が、50㎡以下かつ建築物の延べ面積の2分の1未満のもの」は認められるとあります。
しかし、面積だけ要件を満たせばいいのではなく、あくまで住宅が基本なのでバス・トイレ・キッチンなどが求められたりしますし、住宅部分と壁等での明確な区分があることを求められることもあるでしょう。
○○住居専用地域の場合は特に建築行政との事前の打ち合わせが重要となります。
場合によってはリフォームや本来その土地にはあってはいけない構造物の撤去が必要なこともあるでしょう。
(2)農地(田・畑)はNG
建物が建っている場所が農地ではいけません。
雑種地課税でも地目が農地だと認められません。
その場合、土地所有者の協力を得て農地転用をすることが必要です。
逆に地目が農地であっても農地転用済(未登記)、もしくは非農地証明が出るようなところであれば大丈夫です。
地目が農地のままでも立派な建築物が立っており、そのあとの農地転用と地目変更をせず、固定資産税の課税は農地でない項目でされているようなケースも多くあります。
そのような場合は厳密に言うと、もしかしたら農地法に抵触しないケースもあるかもしれません。
管轄の農業委員会や建築行政担当などへの確認が必要です。
(3)住民協定等
他に住民協定やその地域独特の規制によって不可の場合が稀にあります。
それらの調査については、まずは実際に現地に行くこと。
協定の掲示がある場所もあります。
また、各市区町村に確認し、運輸行政に確認したりするのが良いでしょう。
施設要件や面積要件
設備的に何が必要というものもありませんし、面積がどれくらいないといけないということもありませんが、普通は複合機や机、書棚はなければおかしいでしょう。
書棚がなければ日報や点呼記録簿などはどこに保管するの?という話になりますからね。
公示基準には「睡眠を与える必要がある乗務員1人当たり2.5平方メートル以上の広さを有すること」とありますが、睡眠を与える必要のある運行がない場合は面積要件を求められていません。
睡眠施設を設ける際のみ必要人数×2.5平方メートル確保してください。
睡眠施設が必要ない場合はお茶が飲めるくらいのテーブルとイスが置ければ十分です。
営業所と休憩睡眠施設
別個の部屋である必要もありませんし、パーティションで明確に区切る必要もありません。
アパートやマンションの一室でも業務に支障がなければそれ自体がダメということはありません。
パーティションについては担当者によっては設置を求める人も見られます、その場合は相談の上で設置するかどうかを決めればよいと思います。
同じ部屋を2つの会社の営業所として登録
2社での登録も構いません。
ただし、明確にスペースが区分されていることが求められていますので、どのように区切ればよいかは運輸局と相談してください。
スーパーハウスでの営業所登録
スーパーハウス、コンテナハウスは要件をクリアできるか、という話があります。
実際問題、一般貨物自動車運送事業許可要件では「建物の登記事項証明書」は求めていませんし、建築確認の確認済証などの提出は求められていません。
ただ、一定の大きさ以上のものであれば建築基準法上の「建築物」にあたるので「建築確認」が必要になりますが、スーパーハウスで建築確認を取って登記するということは滅多にないでしょう。
そのような場合、厳密に言うと建築基準法上は違法になる可能性がありますが運輸局としてはそれ自体は問いません。
実際にはスーパーハウス、プレハブを購入したものでもほとんどは問題なく認可されます。
営業所と車庫の距離
全国の距離制限をまとめました。各地で結構違いますね。
(1)営業所と車庫の距離
北海道運輸局管内 | 札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル、札幌市以外の地域に営業所を設置する場合にあっては5キロメートル以内であること。 |
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北陸信越運輸局管内 | 当該営業所からの直線距離が、新潟県、長野県にあっては5キロメートル以内、富山県、石川県にあっては10キロメートル以内に設置されるものであること。 |
東北運輸局管内 | 営業所の所在地からおおむね5キロメートル以内 |
関東運輸局管内 | 東京都(特別区に限る。)神奈川県(横浜市及び川崎市に限る。)は20キロメートル。茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都(特別区を除く。) 神奈川県(横浜市及び川崎市を除く)山梨県は10キロメートル |
中部運輸局管内 | 営業所から直線で10キロメートル以内 |
近畿運輸局管内 | 営業所が大阪市内、京都市内、神戸市内、奈良市内、大津市内、和歌山市内等にあるときは営業所から10キロメートル以内、その他の地域(貝塚市内、宮津市内、洲本市内、大和高田市内、八日市市内、田辺市内等)は5キロメートル以内 |
中国運輸局管内 | 営業所から直線で10キロメートル以内 |
四国運輸局管内 | 営業所との距離が5キロメートル以内 |
九州運輸局管内 | 営業所から直線で5キロメートル(政令指定都市にあっては10キロメートル)以内 |
(2)休憩睡眠施設と車庫の距離
「休憩・睡眠施設」は関東運輸局管内では
と規定があります。他の管轄ではもっと短い距離のところもありますし、明確に規定されていない管轄もありますので必ず調べてください。
ここでいう距離とはあくまで直線距離です。
実際の道路がどれだけ曲がりくねっていても関係ありません。
また、都道府県を跨いでも構いません。
例えば営業所が神奈川県内、休憩施設及び車庫が東京都内でも距離制限範囲内であれば問題ありません。
その場合、どのルールが適用されるかと言うと、営業所がある場所のルールが適用されます。
<車庫相互間の距離>
北海道運輸局管内 | 営業所に併設されず車庫に併設される場合で、複数の車庫を設置するものは、車庫相互間の距離が5キロメートル(札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル)を超える場合は、それぞれの車庫に設置していること。 |
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関東運輸局 | 車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、当該休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10キロメートル(東京都特別区、神奈川県横浜市及び川崎市の地域に営業所を設置する場合にあっては、20キロメートル)を超えないものであること。 |
※上記以外の運輸局は公示にて明記されていません。
使用権原
(1)自己所有の場合
自己所有の場合は原則、建物謄本が必要です。
建物謄本が出ないような場合は売買契約書等が必要です。
(2)賃貸の場合
基本的には賃貸借契約書を添付します。
もしくは使用承諾書を大家さんに記名押印してもらいます。
賃貸借期間が2年に満たない場合でも自動更新の記載があれば基本的には問題ありません。
自動更新の記載がない場合は2年を満たすように契約書の記載を変更してもらうか、2年以上借りる旨の上申書を添付したりします。
賃貸借契約書の使用目的が「倉庫」となっている場合などは営業所として認められない場合がありますので、そのような場合も契約書の修正や、改めて貨物自動車運送事業の営業所としての使用承諾書を建物所有者等からもらう必要があります。
あくまで建物所有者が当該建物を「貨物自動車運送事業の用途」として使用を認めてくれていることが必要です。
名称のルール
特に決まりはありません。会社に営業所がひとつだけで、その名称を「東京営業所」として登録も可能です。
「営業所」という文字も必須ではありません。「横浜物流センター」でも構いません。
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