【相談事例】第一種利用事業者が一般貨物事業者を合併するときに注意すべき点はなんですか?
ご相談内容
子会社の物流会社を合併します。弊社は現在、第一種貨物利用運送事業のライセンスのみ持ち、全国に営業所を構えています。一般貨物自動車運送事業許可は合併の認可申請が必要と聞きました。合併認可申請についての注意点を教えてください。また、それ以外の注意点があれば教えてください。
行政書士の回答
おっしゃる通り、一般貨物自動車運送事業者を合併するときは運輸局の合併認可を得る必要があります。また、子会社の物流会社が一般貨物だけでなく第一種貨物利用運送事業も持っているのであれば、その承継の手続きも必要です。その際、外注先に実運送がいる場合は意外な盲点となるケアが必要なので注意が必要です。
一般貨物自動車運送事業の合併認可申請の注意点
会社を合併する際は合併計画書、合併契約書等準備して法務局に合併の登記を申請します。被合併会社(合併されて消滅する会社)が運送業の許可があるは、法務局への登記申請の前に運輸局から認可を得る必要があります。
合併の際に営業所や車庫に変更が無ければ、図面や使用権原書類は必要ありません。
問題になることが多いのは必要資金です。
新規許可と同様に半年分の運転資金が必要です。新規許可は5台での運転資金で約2000万円が必要ですが、多くの台数、営業所がある場合はその分必要な預金金額等流動資産が増え、1億円の必要資金が必要になることも珍しくありません。
それくらいの流動資産がないと合併認可が受けられません。
流動資産の確保が難しい場合は、まずはお問合せフォームからお気軽にご相談ください。
合併の認可は、役員法令試験に1回で合格すれば、スムーズに進んだ場合には3~4カ月で下ります。
受付時間:9時~19時(平日+土日祝)
第一種貨物利用運送事業の承継届
被合併会社が第一種貨物利用運送事業のライセンスを持っている場合、こちらは事前の合併認可ではなく、事後の承継届という手続きになります。
従って、今回のように9月1日が合併登記日なのであれば、8月内に承継届の準備をして、9月に入ったら30日以内に届け出ると良いです。
第一種貨物利用運送事業の承継手続きには残高証明も法令試験も必要ありません。貸借対照表の純資産の部が300万円以上は必要です。
ただ、「利用の利用」の概念があるために次の節のことに注意が必要です。
一般貨物と第一種貨物利用運送事業の両方を持っている会社の外注先の取扱い
利用運送というのは外注を使う業務です。
一般貨物自動車運送事業のライセンスでは外注には実運送事業者しか使えず、第一種貨物利用運送事業者を使えません。
もし、第一種貨物利用運送事業者を外注に使う場合は自社も第一種貨物利用運送事業者のライセンスを取らなければなりません。
第一種貨物利用運送事業者だけ持っている会社は、外注として実運送会社も第一種貨物利用運送事業者も使えます。
しかし、両方のライセンスを持っている場合は以下のように複雑なことになります。
両方のライセンスを持っている場合の外注先の取扱い
- 実運送の外注会社 → 一般貨物ライセンス内利用運送を使う(しか使えない)
- 第一種貨物利用運送事業者の外注会社 → 第一種貨物利用運送事業者ライセンスを使う(しか使えない)
会社としては一つなので契約もライセンスを気にせずにしますが運輸局の取扱いは別物です。
つまり、外注先を運輸支局に提出する際も同様の区分で手続きする必要があります。
両方のライセンスを持っている場合の外注先の手続き方法
- 実運送の外注会社 → 一般貨物自動車運送事業の変更届
- 第一種貨物利用運送事業者の外注会社 → 第一種貨物利用運送事業者の変更届
これが正解なのです。
しかし、運輸支局は第一種貨物利用の届出をとても軽く見ていて、その会社が一般貨物を持っているかどうかを気にせずに誤って受理してしまうことが多いです。
そのため、「利用運送だから第一種利用の届出」でずっと出しているという状態もあります。
長年経過してからそれを是正するのはとても大変な作業になるので、はじめから正しく手続きしていきましょう。
なぜ大変かというと、第一種貨物利用運送事業の届出より一般貨物の届出の方が添付書類が多いからです。昔の資料をひっくり返すのはとても大変な作業になると思います。
第一種貨物利用運送事業の営業所が一般貨物利用運送営業所になる場合の注意点
以上のような背景から、第一種貨物利用運送事業の営業所が一般貨物利用運送営業所になる場合には法令で定められていない手続きが必要となります。
合併会社のうち実運送を外注として使う営業所は、強制的に一般貨物ライセンス内利用運送営業所としての登録が必要ということです。
第一種貨物利用運送事業のみ外注として使う営業所は一般貨物ライセンス内利用運送営業所にする必要はない(というかできない)ので第一種貨物利用運送事業者営業所としてそのまま承継事後届出にて移行します。
一般貨物の合併認可申請では、存続会社について合併後の事業計画を記載した申請書を提出します。その合併後の事業計画に「合併後に(も)実運送を外注として使う営業所」を一般貨物ライセンス内利用運送営業所として記載する必要があるのです。
ここはなかなかの盲点なのでとても注意が必要です。
第一種貨物利用運送事業は承継届だから後でやろう、と悠長に構えていると、営業所が多いほど痛い目に遭います。
保管施設の手続きも同様のケアが必要です
保管施設を届け出ている場合も同様に一般貨物と第一種貨物利用運送事業にわけて、もしくは両方の手続きが必要となります。
その際、一般貨物は第一種貨物利用運送事業手続きより添付書類が多いので注意が必要です。
外注先の登録は営業所単位でなく会社単位でなされる
前節にて、実運送を使う営業所と第一種貨物利用運送事業者を使う営業所というように、営業所単位で外注を区別していましたが、実は運輸局側はそのような区分ではデータベースを持っていません。
運輸局はどの営業所の運輸支局で外注先(利用する運送会社)を届け出ても「会社として」登録します。つまり全国の営業所として同じ運送会社を外注先として登録している状態となるということです。
従って、どの営業所がどの外注先を使っているかは申請者が判断して、然るべき手続きをすることになるということになります。
利用の利用の営業所の取扱い
存続会社の営業所のうち、第一種貨物利用運送事業者のみを外注に使う営業所は「利用の利用」ということで、一般貨物ライセンス内利用営業所になることができません。
従って、そのような営業所は合併後に第一種貨物利用運送事業の承継届で手続きすることになります。
外注に実運送も第一種貨物利用運送事業も両方いる場合は両方登録する
実際は外注が第一種貨物利用運送事業者だけということはほとんどないでしょう。
基本的には実運送事業者が外注になっていると思います。
従って「第一種利用 → 一般貨物」の営業所への移行は必須となるパターンが多く、もし外注に第一種貨物利用専業事業者を使っている場合は、一般貨物だけでなく、第一種貨物利用運送事業営業所としても両方の手続きが必要になります。
まとめ
第一種貨物利用運送事業者が一般貨物事業者を合併する際は、実運送を外注として使う営業所は第一種貨物利用運送事業承継事後届ではなく、一般貨物合併認可申請内にて処理しなければなりません。
これから物流企業のM&Aを考えている方は、運送業許認可の承継手続きは複雑に絡み合っているのでぜひ合併や分割、譲渡譲受の手続きについて経験豊富なトラサポに頼ってください。
弁護士や司法書士手動で進んでいる場合、しばしば許認可についての検討が甘いケースが見られます。合併日を3か月後に決めたあとに「合併の申請お願いします」と言われてもとても間に合いません。そして運送業でケアするポイントは許認可だけにとどまりません。事前計画のところから、ぜひ運送業専門行政書士を巻き込んでご相談ください。
トラサポでは上場企業の全国規模での合併や分割案件のアドバイザー業務も実績あるので、大企業の方も安心してご相談ください。
トラサポは運送業新規許可はもちろん、そのあとのコンプライアンス帳簿サポートの経験も豊富ですので、不安のある方は他の行政書士からの乗り換えでも構いませんので、ぜひ頼ってください。
新規許可申請は他の行政書士に頼んでしまったから頼みづらいなんてことは気にしなくて大丈夫です。
餅は餅屋にぜひお任せください!!
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