• 一般貨物自動車運送事業の車庫の選び方

一般貨物自動車運送事業の車庫の選び方

はじめに

お客様

一般貨物自動車運送事業の車庫を探してるのですが、なにか気を付けることはありますか?

行政書士

車庫を探すのも大変ですよね。
簡単に言うと「広さ」「場所」「前面道路の幅員」について気にしなければなりません。

お客様

今いくつか検討しているところがあるのですが、その場所で認可されるかどうか心配です。

行政書士

そうですよね。
でも車庫は市街化調整区域でも大丈夫ですし、用途地域も問われないので営業所に比べるとシンプルです。
では簡単に説明していきましょう。

場所の要件

車庫は営業所とは異なり、市街化調整区域でも大丈夫ですが農地(田・畑)は認められません。

山林、雑種地は問題となりません。

従って場所に関して言えば、営業所より認可を得るのは複雑なルールはありません。

ただ、役所の認可が下りても周囲の住民とも仲良くしなければなりません。

せっかく認可を取っても大型トラックが出入りすることに対する不満が周りの住民から毎日のように上がるようになると結局出ていかなければなりません。

慎重に選ぶ必要があるでしょう。

車庫の面積

車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上確保され、かつ、計画する事業用自動車のすべてを収容できるものであること。

が必要です。
車両が十分に置けるスペースがあること。具体的には、壁・境界・隣の車両との間隔が50cm以上空くことが必要です。

そのくらい間隔が空いていないと車両の日常のメンテナンスができないからですね。

月極め駐車場について

月極め駐車場に置きたい場合、月極めの1台置き駐車場の場合は縦1m横1mずつの余裕がないといけないのでなかなか難しいはずです。

もちろん169cmの車両を納めるために270cm幅の月極め駐車場であれば問題ありません。

しかし通常の都心の月極め駐車場は1区画の幅は2.5メートルが多いです。

2台分スペースを1台分として借りて幅の要件をクリアすることは問題ありません。

月極め駐車場ではNGと思っている方もいらっしゃいますが、それ自体は全く問題ありません。

<ケース1>

どうしても横と縦が1メートルずつ必要なので、月極め駐車場では狭いところが多いです。

<ケース2>

広い車両置き場を借りてそこに複数台数置けば、車両間スペースを共有できるので1台ごと個別に置くより省スペースですみます。

<ケース2>

車庫の形がいびつだと総面積的には車両を格納できそうでも、50cm間隔という条件をクリアできないため、実際に置ける車両台数はあまり多くとれません。

営業所との距離について

営業所の解説で記載したように営業所や他車庫(休憩睡眠施設が営業所併設でない場合)からの5~20キロメートルの距離制限があります。

営業所についての解説と同じですが掲載しておきます。

(1)営業所と車庫の距離

北海道運輸局管内 札幌市に営業所を設置する場合にあっては10キロメートル、札幌市以外の地域に営業所を設置する場合にあっては5キロメートル以内であること。
北陸信越運輸局管内 当該営業所からの直線距離が、新潟県、長野県にあっては5キロメートル以内、富山県、石川県にあっては10キロメートル以内に設置されるものであること。
東北運輸局管内 営業所の所在地からおおむね5キロメートル以内
関東運輸局管内 東京都(特別区に限る。)神奈川県(横浜市及び川崎市に限る。)は20キロメートル。茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都(特別区を除く。) 神奈川県(横浜市及び川崎市を除く)山梨県は10キロメートル
中部運輸局管内 営業所から直線で10キロメートル以内
近畿運輸局管内 営業所が大阪市内、京都市内、神戸市内、奈良市内、大津市内、和歌山市内等にあるときは営業所から10キロメートル以内、その他の地域(貝塚市内、宮津市内、洲本市内、大和高田市内、八日市市内、田辺市内等)は5キロメートル以内
中国運輸局管内 営業所から直線で10キロメートル以内
四国運輸局管内 営業所との距離が5キロメートル以内
九州運輸局管内 営業所から直線で5キロメートル(政令指定都市にあっては10キロメートル)以内

(2)休憩睡眠施設と車庫の距離

「休憩・睡眠施設」は関東運輸局管内では

営業所に併設されていない場合であって、車庫に休憩・睡眠施設を併設するときは、当該休憩・睡眠施設の所在地と休憩・睡眠施設を併設しない車庫の所在地との距離が10キロメートル(東京都特別区、神奈川県横浜市及び川崎市の地域に営業所を設置する場合にあっては、20キロメートル)を超えないもの

要するに「休憩施設がある車庫」と「休憩施設がない車庫」の距離も10km(もしくは20km)以内でないといけないということですね。

不思議と関東運輸局以外の所ではこのような規定はありません。

ただ、休憩施設は営業所か車庫のどちらかに併設されなければならず、休憩施設だけ単独で存在するということはできません。

前面道路の幅員について

前面道路とは事業用車庫から一番近くの公道です。

すなわち公道に至るまでに私道がある場合、その私道を通り過ぎた先の公道になります(文字通り「前面道路」とは違い、目の前の出入口道路ではない場合があるということです)。

前面道路幅員の幅は車両の幅より大きければよいというわけではありません。

たしかに現実問題としては、車両の幅より大きければ自動車は通行できますが、さまざまな規制によって通ってはいけない場合があるのです。

一般貨物自動車運送事業の許認可審査の際、主に確認されるのが「車両制限令」という法令です。

前面道路の幅員が車両制限令に違反していないことが必要です。

  • ・北海道と四国以外の運輸局では国道の場合は原則どこでも大丈夫です。
  • ・基本的には6.5mの幅員があれば2.5mまでの車両であれば問題ありません。

当該道路の車両制限令上の種別は幅員証明に記載されている場合もありますが、記載されていないことも多いです。

その際は、道路管理者に直接確認してください。もし車両制限令の指定がない道路だと言われたら「ではここの道路は幅何メートルまでの車両が通行できますか?」と確認しましょう。

もし、幅員が狭い場合もなんとかする方法があります。困った場合はぜひご依頼ください。

車両制限令の解説

車両制限令で規制する道路には大きく2種類あります。

  • (1)市街地の道路 ▶ 車両制限令第5条
  • (2)市街地区域外の道路 ▶ 車両制限令第6条

市街地の方が交通量が多いので当然規制は厳しくなります。

では基準が厳しい順に並べて細かく解説していきます。

<車両制限令第5条第3項>
(通常道路)

通行可能車両幅 :(車道幅員 - 1.5m) ÷ 2

<車両制限令第5条第3項>
(一方通行の道路)

通行可能車両幅 : 車道幅員 - 1m

<車両制限令第5条第2項>

通行可能車両幅 :(車道幅員 - 0.5m) ÷ 2

<車両制限令第5条第1項>

通行可能車両幅 : 車道幅員 - 0.5m

<車両制限令第6条第2項>

通行可能車両幅 : 車道幅員 ÷ 2

<車両制限令第6条第1項>

通行可能車両幅 : 車道幅員 - 0.5m

横浜は特殊な地域で、港湾道路の幅員証明が出るところと出ないところがあります。

しかも賃借人によっても出るか出ないかが決まります。

原則、横浜市は港湾局内では港湾事業のための使用しか許さないというスタンスなのです。

車庫を借りる前にまず幅員証明が出る場所かどうかの確認も必要です。

使用権原

他事業者と重複しての使用は認められません。

同じ敷地を異なる事業者が分けて登録すること自体は構いません。

車庫は概ね許可や認可から1年以上は使用可能な状態が求められています。

(1)自己所有の場合

自己所有の場合は原則、建物謄本が必要です。

建物謄本が出ないような場合は売買契約書等が必要です。

(2)賃貸の場合

基本的には賃貸借契約書を添付します。

もしくは使用承諾書を大家さんに記名押印してもらいます。

賃貸借期間が1年に満たない場合でも自動更新の記載があれば基本的には問題ありません。

自動更新の記載がない場合は1年を満たすように契約書の記載を変更してもらうか、1年以上借りる旨の上申書を添付したりします。

賃貸借契約書の使用目的が「資材置場」や「乗用車の駐車に限る」となっている場合などは事業用車庫として認められない場合がありますので、そのような場合も契約書の修正や、改めて貨物自動車運送事業の車庫としての使用承諾書を建物所有者等からもらう必要があります。

その他に注意しなければならないこと

前面私道の通行承諾が必要

平成27年6月1日より公示基準に下記が加わりました。

「前面道路が私道の場合にあっては、当該私道の通行に係る使用権原を有する者の承認があり」従って、公道までに私道を通らないといけない場合はその私道についても承諾を得なければいけないことになります。

公道から駐車場に至るまでに数メートル~数十メートルの私有地道を通らないとたどり着けない場合も少なくありません。

その私有地道が車庫所有者と同じ所有者であればなにも問題ありませんが、異なる場合もあるでしょう。

その場所に車庫があるのだから通行して良いのが当たり前だと思いますが実際にそのような案件でトラブルになった事案もあったようです。

事業用車庫専用であることが必要

敷地内の同じ区画を事業用自動車の置き場、白ナンバー乗用車、軽自動車の置き場などと兼用することはできません。

また、資材置き場などの区画も事業用車庫の面積に含めることはできません。

従って、事業用車庫内の区画で警察の車庫証明を取得することは運送法令違反となります。

有蓋車庫は必要なし

昔とは違い有蓋(ゆうがい)車庫は不要です。

有蓋車庫とは屋根のある車庫のことです。

昔は車両整備のための設備が必要だったこともあり、「有蓋車庫」が求められていました。

現在の基準でも有蓋車庫にて申請する場合、有蓋車庫は建築基準法や消防法上適法な有蓋車庫でないといけません。

その有蓋車庫の要件が非常に厳しかったわけです。

よく「農業用倉庫」で申請なさろうとする方がいらっしゃいますがそれは建築基準法上違法となり、要件を満たさないこともあるので、ご注意ください。

住民協定などに注意

他に住民協定やその地域独特の規制によって不可の場合が稀にあります。

それらの調査については、まずは実際に現地に行くことと、

地元に詳しい不動産屋さんに確認すること。そして各市町村に確認し、運輸行政に確認したりするのが良いでしょう。

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