緑ナンバーとは?意味と必要な業態を行政書士が解説!| 運送業許可
緑ナンバー(一般貨物自動車運送事業許可)が必要なケース、なくてもできる仕事について解説します。そもそも自社の業態は緑ナンバーが必要なのか?白ナンバーでも大丈夫なのか?荷主企業、メーカー企業、個人事業主など全ての方の疑問にお答えします。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】緑ナンバーとは?[意味と法律]
緑ナンバーは別名、営業ナンバーや青ナンバーと言います。
正式名称は「一般貨物自動車運送事業」と言います。
緑ナンバーとは?それは、一言で言うと以下の説明になります。
「トラックで他人・他社から運賃をもらってモノを運ぶ仕事」
【該当ケース】運賃をもらって、建材屋さんからペンキを工事現場までトラックで運ぶ仕事
【非該当ケース】パン屋さんがスーパーに自社製品を納品するようなトラックでの仕事
緑ナンバーには本当は人を運ぶ「旅客自動車運送事業」もありますが、トラサポではモノ(貨物)を運ぶ事業のメインである一般貨物自動車運送事業について取り扱っているので、一般貨物について解説します。
根拠となる法律(貨物自動車運送事業法第2条第1項)
- 一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じて有償で、自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものを言います。
緑ナンバー許可が必要か、白ナンバーのままでよいのか、詳しく知りたい方は、「許可が必要な仕事と許可が不要な仕事はなにが違うのですか?」のページをご覧ください。
上場企業、その子会社の方から「うちは緑ナンバー必要なの?」というご相談がとても増えています。
上場会社はその関係会社含めてコンプライアンス遵守がとても大切です。一分の隙もあってはいけないので、具体的な業務フローを詳細にヒアリングして、緑ナンバーが必要かどうか、また、緑ナンバーを取らなくて済むような方法を一緒に検討することが増えてきました。
特に本来は第一種貨物利用運送事業のライセンスを持っていなければならない企業様は上場会社・その関係会社でも取得しないまま現在に至っているところが驚くほど多くあります。
第一種貨物利用運送事業の存在というのは世の中でとても軽いです。それは現実問題としてほとんど監査~行政処分が行われないからです。また、行政処分があったとしても実害がほとんど無いということが背景にあります。
これからの時代、コンプライアンス違反は株主に見つかった場合は株価下落や業務継続不可能な状態に陥ってしまうこともあります。専門家に顧問としてついてもらい、細かいところまで確認してもらうのがよいでしょう。
自社が緑ナンバー必要か誰に確認するのがいいのか?(運輸局・弁護士・行政書士)
緑ナンバーが必要かどうかは、突き詰めればシンプルに「トラックで他人・他社から運賃をもらってモノを運ぶ仕事」それ以上でもそれ以下でもありませんが、定義というのはシンプルであればあるほど解釈に幅が出てくるので判断が難しくなると思います。
また、同業者やテキトーなネット記事などからの偽情報に踊らされてしまうこともよくあります。
ご自身の事業でライセンスが必要かどうかは経営の根幹にかかわることですから、運輸局や専門の行政書士に必ず相談してください。「だろう」運転で判断すると、事業が大きくなればなるほどあとで修正できなくなってしまいます。
ただ、運輸局はコトナカレ主義で生きてるので、基本的には「緑ナンバー取ってください」と言うでしょう。しかし、やり方によっては緑ナンバーを取らずに合法的にそのビジネスを行える場合もありますから、やはり運送業を本当に専門として仕事している行政書士に相談することをオススメします。
ちなみに、弁護士に相談するという人もいると思いますが、弁護士は法律の専門家ですが決して許認可の専門家ではありません。許認可の専門家はやはり行政書士なのです。
家電メーカーが製品を運んでもらうケース
家電メーカーのH社が冷蔵庫やエアコンなどの自社製品を工場から販売先まで運搬するケースを考えましょう。
【合法】H社の白ナンバートラックでH社の社員が運ぶ。一般貨物運送会社K社に依頼して運んでもらう。
【合法】営業部からH社内の物流部に依頼して、H社の白ナンバートラックでH社の社員が運ぶ。この会社は部門別会計をしているため、営業部から物流部にお金が移動する。この場合はお金は移動していますが、結局同じ会社内でのやりとりであり、自社の荷物を自社が運んでいることになるので、一般貨物自動車運送事業の許可は不要です。
【違法】H社の100%子会社のJ社がJ社の白ナンバートラックで運ぶ。子会社でも別会社なのでJ社は緑ナンバーが必要です。子会社は自分の会社と同じだと思っている方も少なからずいますが、法人としてはあくまで別法人となるので「他人」となるわけです。
食材輸入会社が原材料を運んでもらうケース
小麦粉や果物などの食品を輸入するD社が工場や卸市場に運ぶケース
【合法】D社の白ナンバートラックでD社の社員が運ぶ。一般貨物運送会社S社に依頼して運んでもらう。
【違法】D社の100%子会社のL社がL社の白ナンバートラックで運ぶ。子会社でも別会社なのでL社は緑ナンバーが必要です。
【微妙】食品加工会社P社が自社白ナンバートラックで、食材を買い取らないまま食材を自社工場まで運賃をもらった運び、P社工場で加工したあとに最終製品工場であるC社工場に運賃をもらって運ぶ。P社は食品加工料と運賃をD社からもらう。これは加工料と運賃の金額のバランスによって違法性が問われると思います。
車検屋さんがお客様の自動車を運ぶ
自動車の整備・車検を請け負うF社が受け付け場所、工場、運輸支局の間を自動車を移動させる。
【合法】積載車に載せず、自走で運ぶ。自走で運ぶ分にはどんな目的でどの拠点間を運んで、運賃をもらっても合法です。
【微妙だけど合法に近い】受付場所から工場まで積載車に載せて運ぶ。工場で整備が終わったら車検のために3台積み積載車で運輸支局の検査レーンまで載せていく。そのときに運賃はもらう。これはすべて車検や整備に付随し、その業務を完遂するために必須の仕事となるので、合法と判断される可能性が高いです。
【違法】車検で預かったが結局お客様がその車を販売することとなった。一度預かった車は点検はせず、提携会社の中古車販売会社B社の店舗まで運賃をもらって積載車で運んだ。これは自社の整備業務などに全くかかわっておらず、単に運搬だけする行為なので運送業許可が必要。ただし、その頻度によっては違法とまでは言えない可能性もあるでしょう。
【違法】車の運搬だけ運送業者Z社に依頼する。運賃はお客様からもらい、一部をF社がもらって運賃はF社からその運送会社に支払う。もしF社が第一種貨物利用運送事業の登録を受けていない場合は違法となります。他人の荷物を自社が運送を引き受けて、運送会社Z社を下請け業者として利用して運送を依頼する場合は、自身が利用運送事業のライセンスを持っている必要があります。ただし、F社は運送会社Z社を紹介するだけで、契約とお金の流れがお客様とZ社の直接やりとりであれば合法となります。
灯油の卸売り業をしている会社
灯油の卸売り業をしているG社は、客先のタンクに入れに行ったり、顧客のタンクを預かってG社で充填して客先に納める、という様々な形態の売り方がある。
灯油の所有権移転タイミングが顧客によってまちまちで、契約書によって厳格に決まっています。
G社は灯油を仕入れて一旦自社の所有物にします。自社所有物の間はG社白ナンバーで運んでも全く合法となります。ただ、客先に到着せずとも、注文を受けた段階で所有権が顧客に移転する契約の場合、受注の時点から「他人の物を運ぶ」ことになるわけなので、運送業許可の許可が必要となります。その運搬を下請けの運送事業者に依頼するときは、G社は第一種貨物利用運送事業のライセンスが必要になります。
【合法】灯油(自社所有権の間)の運搬のすべてを運送会社に依頼する。
【合法】所有権移転前(所有者がG社)の間にG社の白ナンバートラックで客先まで運搬する。
【違法】客先に置いてある空タンクをG社白ナンバートラックでG社工場まで運搬し、運賃をもらう。
【違法】運搬、設置、回収すべてを白ナンバートラック個人事業主に依頼する。これは疑問の余地なく違法です。
【違法】発注がかかって、G社工場で顧客タンクに充填した時点で所有権が顧客に移転したものを、運賃をもらってG社白ナンバートラックでG社従業員が運ぶ。これは所有権が既に自社でないもの=他人のモノを運ぶので有料であれば違法となります。運賃はもらわずに本当に無料サービスなのであれば違法ではありません。つまり、顧客自身がG社工場に取りに来た場合と料金が変わらないのであれば違法とは言えません。もしそこに差異が生じているならば、それは実質運賃を収受していることとなるので違法となる可能性が高いでしょう。この場合の運搬を運送会社に依頼する場合、G社は利用運送のライセンスは必要でしょうか?この場合は「既に他人の荷物の配送をお願いする」荷主なので、G社は利用運送のライセンスが必要となります。御社が運搬業務を取りまとめて下請け運送事業者を使って配送する場合は利用運送のライセンスが必要です。
【合法】契約の形態が、顧客先のタンクに入った時点で所有権が移転するとなる場合。これはまだG社の所有物であるものを運ぶので、G社白ナンバートラックで運んで運賃をもらうのは合法です。この運搬を緑ナンバー運送事業者に依頼することについて考えると、G社が運送事業者に運んでもらう時点ではまだその灯油は「他人のもの」となっておらず、G社は自分のモノを運んでもらう荷主となるので第一種貨物利用運送事業のライセンスは必要ありません。
運賃をもらわず無償で運ぶのなら緑ナンバー無くても大丈夫?
本当にボランティアで無償で行うのであれば緑ナンバー無くても大丈夫です。
しかし、請求書の上で「運賃」「運送費」「配送費」という項目が無いだけで、それ以外にお金をもらっているのであれば緑ナンバーが無くても良いということにはならないでしょう。
たとえば建設業者さんがマンションの建築の中の一部である内装工事を請け負うとします。その際、他の会社が使った資材を運ぶように元請け事業者から言われたとします。その対価として名目はともかく、普通の建設工事費より多いお金をもらうとするならば、それは緑ナンバーが必要となります。もちろん、その頻度によって緑ナンバーが必要かどうかの判断は変わりますが、通常的にその運搬業務をお金をもらってするのであれば緑ナンバーが必要になります。逆に、仕事をもらったのだからリアルに無償でその作業を受けるのであれば緑ナンバーは不要です。しかし、無償でそんな大変な作業を受けるのは下請法などに抵触するかもしれませんから、ムリに受ける必要はありませんよ。
まとめ
緑ナンバーの要否は「他人のものをお金をもらって運ぶかどうか」によって判断されます。
複雑な場合だと、外形的には同じように見えても、先の灯油のように所有権移転のタイミングによってその判断が異なる場合もあります。
運搬は緑ナンバー運送会社にすべて依頼しているからと言ってすべてが合法になるわけでもありません。自社が第一種貨物利用運送事業のライセンスを取らなければならないケースもあります。
この先ますますコンプライアンス遵守は重要になります。
貨物自動車運送事業法では一般貨物自動車運送事業を無許可で行った場合は、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」とかなり思い罪となっているのでご注意ください。
トラサポでは上場企業のお客様のコンプライアンス相談実績も豊富ですので、ぜひご安心してご相談ください。
受付時間:9時~19時(平日+土日祝)
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2. 緑ナンバーの取得[条件・方法・費用・全13工程]