【最新版】これで完璧!貨物自動車運送事業法11月から大改正のまとめ

公開日:2019年10月12日 / 更新日:2020年5月9日

新規許可の要件が大幅アップ。既存業者も事業報告書未提出や巡回指導E判定だと認可申請ができない、など事業計画変更手続きに高いハードルが新設されました。「知らなかった」では済まされない改正内容を全てわかりやすく解説します。

最新版!!11月から改正内容のマトメ

運送業専門行政書士鈴木隆広■この記事を書いた人:運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋13年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【住所:神奈川県横浜市都筑区池辺町3620】
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改正の背景

許可取り消しがあっても、新会社で許可を取ってほとんど無傷で事業継続できてしまった会社があり、問題になっていました。
また、大型トラックやバスの事故がどんどん増え、社会問題になっています。運送事業者へのコンプライアンスの要請は年々強まっています。
それを受け、重大事故を起こしたり、事業報告書未提出、巡回指導でE判定の事業者は事業拡大の認可申請をできなくするなど、想像をはるかに超えた厳格化が2019年11月1日より実施されます。

2018年12月に法改正があり、各規則改正のパブリックコメントが2019年5月20日に発表されました。意見募集も完了し、とうとう全体的に11月1日にスタートです。

改正法はいつから適用されるか

11月1日以降申請の案件から適用されます。
10月31日以前に申請してるけど、11月1日でも許可や認可が下りないからと言って、11月1日時点で新しく厳しい基準になるということはないので安心してください。

新ルールは11月1日以降申請案件にて適用される

標準処理期間の変更点

標準処理期間は以下のように変わります。

平均して1カ月延びると考えればよいでしょう。

変更となる標準処理期間

  • 【新規許可】 3~カ月(2019年10月31日まで:3~4カ月)
    【認可】 運輸支局権限 1~カ月(旧1~2カ月) その他権限 1~カ月(10月31日まで:1~3カ月)
    ※その他権原というのは、都道府県をまたがる移転などの申請のことです。
    【譲渡譲受、合併、分割、相続】 1~カ月(10月31日まで:1~2カ月)

譲渡譲受などは、法令試験のために最長2カ月というのは形骸化していたので当然の延長です。

新規許可申請の変更点

欠格要件

今回の改正で法第5条にて、欠格要件がかなり厳しくなりました。
これは、許可取り消し処分を廃業届により逃れる手法を防ぐために改正されました。

欠格期間

申請法人や役員等の欠格期間が2年から5年に大幅に長くなりました。
許可取消し処分などを受けると、5年間は新規許可を取ることができません。

対象

現在は、法人の役員について常勤役員のみが欠格事由の判断対象となっていましたが、非常勤役員も欠格事由の判断対象となることとなりました。
つまり、監査役についても欠格事由となれば、他の会社にも連鎖的に影響を及ぼす可能性があるということになります。

また、親会社、子会社、グループ会社が欠格要件の場合にも新規許可がなされないこととなりました。

欠格要件の関係範囲が大幅拡充

既存事業者が欠格事由になったらどうなるの?

  • ・貨物自動車運送事業法第33条により、そのような事業者には国土交通大臣は行政処分や許可取消しをすることができるとあります。今まではそんな話は聞いたことありませんが、今後はもしかしたら悪質なグループ会社については、適用されることになるかもしれません。

資本要件

変更となる資本要件

  • ・人件費、燃料費、油脂費、修繕費2ヶ月からヶ月
  • ・車両費、施設購入・使用料6ヶ月から12ヶ月
  • ・任意保険に対物200万円以上の条件が追加

人件費と車両費、施設費は資金計画のほとんどを占めるので、これらによって必要な残高証明が2~3倍になることとなります。
具体的には今まで最低構成だと600万円ほどだったのが、1500万円ほどの残高証明が必要になると思われます。

今現在は多くの運輸局で2回目の残高証明の日付については柔軟な対応がされていますが、日付指定だったり1回目から2回目残高証明日までの通帳コピーの提示という運用になることも考えられます。
※現時点で、近畿運輸局は日付指定、中国運輸局は通帳コピー提示です。

損害賠償能力に関して、今まで定められていなかった対物の任意保険の限度額が200万円以上であることとなるので、必要な保険料が上がります。

賃貸期間

営業所・車庫・休憩施設が賃貸借によるものである場合に、概ね契約期間が「1年」以上の賃貸借契約書等の添付を求めているところ、必要期間が「2年」となります。
※認可申請についても同じ。

営業所、車庫の写真添付

今まで近畿運輸局など、一部の管轄では写真添付でしたが、全国的に写真添付が必要となりました。
運輸局の意図としては、他の用途に使っていないかの確認が大きいと思われます。

申請台数の注意点

最低5台という要件は変わっていませんが、増車についての取扱いが変わったので、ルール通りであれば以下のような申請が不可能となります。

・新規許可申請時に5台で申請
・運輸開始届後にすぐ12台など増車(ただし、「5台で申請後10台増車して合計15台」は可能。つまり、30%以内または10台以下の増車は可能)

細かくは「認可となる増車」の項をご覧ください。

認可申請の変更点

認可申請については、建物等の使用期間が2年に延びたこと以外は要件としては厳しくなっていません
しかし、「認可できない条件」がものすごく厳しくなりました
また、増車届も認可申請となるケースが出てきました。

こんな会社は認可申請ができなくなります!

厳密に言うと、「申請が受理されても認可されない」ということになるわけですが、とにかく事業拡大となる認可申請ができなくなるわけです。
事業拡大というのは「車庫を増やす」「営業所を増やす」「営業所の面積を増やす」などのことを言います。

認可申請できない事業者の条件

    • (1)行政処分終了からか月経過していない(これまでは3か月(重大違反は6カ月)でした)。
    • (2)申請に係る営業所に関して、申請日前一定の期間(ほとんどの運輸局は3カ月前)又は申請日以降、認可までの間における巡回指導の結果がE判定以下。
      ※ただし、指摘を受けた全ての項目について、改善報告が完了している場合は大丈夫です。
    • (3)申請に係る営業所に関して、申請日前3ヶ月間又は申請日以降、認可までの間に自らの責による重大事故を発生させている
    • (4)申請に係る営業所を管轄する運輸支局管内における申請者の保有する全ての事業用自動車のうち、1台でも自動車検査証の有効期間が切れている
      ※ただし、特別な事情の場合は許されます。例えば、整備工場等において修理中の車両であって、修理が完了次第有効な自動車検査証の交付を受ける予定がある場合において一時的に有効期間が切れてしまっている場合等を想定しています。
    • (5)事業報告書、事業実績報告書、運賃・料金の届出をしていない
      ※近畿、四国運輸局では確認するのは直近の報告についての提出有無と書いてあります。
    • (6)運賃と役務に対する対価としての料金とを区分して収受する明確に規定されている約款を使用していない(つまり、平成29年11月改正の約款に対する必要な手続きをしていない事業者)

事業報告書、事業実績報告書、運賃変更届のご依頼フォーム

認可となる増車

以下の条件の場合は今まで増車届(即日)だったのが、認可申請となります。
つまり、このルールが厳格に適用されるのであれば、今まで新規許可を5台で申請し、運輸開始届後に12台増車していたものができなくなるということです。

このルールは許可処分逃れの強力な施策なのですが、通常案件についても大きなインパクトがある改正です。

増車が認可申請となる条件

      • ・変更に係る事業用自動車の数と申請日前3ヶ月以内において増加した事業用自動車の数との合計が、申請日から起算して3ヶ月前時点における当該営業所に配置する事業用自動車の数の30%以上の増加となるとき(増車する合計数が10両以下であるときを除く。10両以下の増車であれば30%以上でも届出で大丈夫。)
      • 5両未満となる減車( 災害、事故、故障により車両が使用不能となり、代わりの車両が確保されるまでの間、「5両→4両」、「4両→3両」 等に減車する場合のみ申請可能)※経営上の都合によるものや、代わりの車両を確保する時期が未定のものはそもそも申請できません。
      • ・引き続き5両未満となる増車(「3両→4両」等で、最低車両台数5台になる具体的な計画がある場合のみ申請可能。※5台になる具体的な計画がなければ申請できません)
      • 親会社、子会社、グループ会社が欠格要件(密接関係者が許可の取消しを受け5年を経過しない者である場合)に該当する場合
      • ・変更に係る営業所における行政処分の累積違反点数が12点以上である場合
      • ・変更に係る営業所について、申請日前1年間に、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導による総合評価において、E判定の評価を受けている場合

申請書への営業所、車庫の写真添付

公示基準には明確に記載されていないのですが、おそらく認可申請でも営業所や車庫の新設の場合に添付が必要となるでしょう。
運輸局の意図としては、他の用途に使っていないかの確認が大きいと思われます。
※現在も近畿運輸局等では必要。

届出の変更点

変更届にはあまり影響はないですが、許可取消し処分逃れ対策により、事業廃止届・事業休止届と増車届で大きなインパクトがあります。

事業廃止届と事業休止届

今まで事業廃止・事業休止は事後届出でしたが、11月1日からは30日前の事前届出となります。

これにより、監査後の許可取消処分逃れはほとんど不可能となります。
なぜなら、監査後すぐに事業廃止届・事業休止届を出したとしても30日間は有効とならないので、その間に許可取消し処分を下してしまうこともできますし、なによりも改正ルールにより、許可取り消し処分とならずとも欠格要件となるようになるからです。

重大事故を起こし、監査前に廃業届・休止届を出しても同様の理屈で逃れられません。

許可取消し処分逃れでなくても、廃業に時間がかかるので、0台に減らすのが難しくなります。
しかも5台未満に減車するのは認可となるので、1台残して全台減らすのもすぐにはできません。
廃業をする場合にトラックを売る計画について、減車の連絡書がすぐ発行されないので、今までとはスケジュールを変えないといけません。

増車届

5台以上の増車は今までと変わりませんが、急激な増車は認可申請となります。

増車が届出、認可いずれになるかの具体例

      • (例1)3カ月前10台、申請後12両 → 差2両、割合20% ⇒ 届出
      • (例2)3カ月前10台、申請後15両 → 差5両、割合50% ⇒ 届出(差が10両以下のため届出)
      • (例3)3カ月前37台、申請後48両 → 差11両、割合29.7% ⇒ 届出(割合が30%未満のため届出)
      • (例4)3カ月前36台、申請後47両 → 差11両、割合30.5% ⇒ 認可(差が11両以上かつ割合が30%以上のため認可)
      • (例5)3カ月前10台、申請後20両 → 差10両、割合100% ⇒ 届出(差が10両以下のため届出)
      • (例6)3カ月前5台、申請後15両 → 差10両、割合200% ⇒ 届出(差が10両以下のため届出)

認可となる増車の条件については「認可となる増車」を参照。

行政処分中の増車届

今までも行政処分中は増車届が受理されず、行政処分が終われば受理されました。
11月1日以降もそれについては変わらず、行政処分が終わった時点で増車届を出すことができます。

今までリスク回避のためにグループ会社を作っていた会社への影響

今までは、許可取消し処分となると一巻の終わりなので、別法人を作ることが最大のリスク回避策として存在していました。
しかし、11月1日以降は許可取消し処分となる会社の全車両を、関係会社に移すことは不可能となると思った方がよいです。

今までは、監査が終わったあとに事業廃止届・事業休止届を提出してしまえば、許可取消し処分を受けず、欠格事由に当たることはありませんでした。
11月1日以降は監査後に事業廃止届・事業休止届を出しても欠格事由に該当することになります。
例えば、死亡事故を起こしてしまい、監査前に事業廃止届・事業休止届を提出したとしても、事業廃止届・事業休止届は30日前までの事前届出となったので、その間に監査に入り、違反事項が多ければ許可取消処分とすることが可能となります。

グループ会社の1つの会社が許可取消となったら連鎖的に監査等を受ける可能性があります。

グループ会社の1つの会社が欠格要件となったら5年間は、全グループ会社は増車するのに認可が必要となる運用となる可能性があります。

新しい法第5条欠格要件の全体イメージ

運送約款

運賃及び料金の収受に関する事項については、国土交通省令で定める特別の事情がある場合を除き、運送の役務の対価としての運賃と運送の役務以外の役務又は特別に生ずる費用に係る料金とを区分して収受する旨が明確に定められているものであることが求められます。

これは普通に平成29年11月以降の標準約款を使用し、「待機料金と積込・取り卸し料」に対応した運賃料金表を使用していれば問題ないと思います。

その他

車両の点検、社会保険について、記載箇所が貨物自動車運送事業法に格上げされたので、今までより一層、巡回指導や監査でのチェックが厳しくなると予想されます。

全く効果を発揮していないと思われる荷主勧告ですが、ようやく法律に「荷主の責務」として明記されました。
貨物自動車運送事業法第63条の2が新設されました。

第63条の2(荷主の責務)

  • ・荷主は、貨物自動車運送事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮をしなければならない。

そして、貨物自動車運送事業法第64条第3号にて「荷主勧告をしたときは公表すること」が明記されました。
国土交通大臣は、第一項の規定による勧告をしたときは、その旨を公表するものとする。

運輸開始届後の初回トラック協会適正化実施期間による指導の期間は1~3か月内で変わりません。

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各運輸局の公示基準(2019年11月1日以降版)

【北海道】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更認可申請事案等の処理方針
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び認可申請等の標準処理期間について

【東北】
【東北】許可申請事案及び事業計画変更認可申請事案等の処理方針について
【東北】許可及び事業計画変更認可申請事案等の処理方針の細部取扱について
【東北】許可及び事業計画変更認可申請事案等の標準処理期間

【関東】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請の処理方針について」の細部取扱について
一般貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について

【中部】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について

【北陸信越】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び 事業計画変更認可申請等事案の処理方針について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び 事業計画変更認可申請等の審査基準及び処理期間について

【近畿】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理について
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の処理について」の細部取扱について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請事案に係る標準処理期間について

【中国】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業に係る許可申請事案の処理方針について
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業に係る許可申請事案の処理方針について」の細部取扱について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の標準処理期間について

【四国】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可申請事案の処理方針について
「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更等の処理方針」の細部取扱について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更認可申請等の処理方針に係る標準処理期間について

【九州】
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可事案の処理方針
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可事案の処理方針の細部取扱について
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の事業計画変更等に関する処理方針
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可及び事業計画変更の認可申請等の標準処理期間について

  • 一般貨物自動車運送事業許可申請ポイントを、マンガでわかりやすく解説!

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