副業ドライバー採用の注意点、社会保険はどうすればいいのか?

公開日:2019年4月18日

人生100年時代、そして、長時間労働がどんどん厳しくなる中、ドライバーの給与水準はなかなか上がらず、2社掛け持ちドライバーも出てきています。会社側もそのような人を面接することもあるでしょう。ドライバー副業の注意点などをまとめました。

ドライバーの副業について

ドライバーの副業について

副業ってなに?定義は?

「副業」にはっきりとした定義はありませんが、主な仕事があって、それよりも少ない時間でやる仕事のことを副業と言うということでよいでしょう。

副業ドライバーと言ったら、昼間は本業で自動車の製造ラインで働き、夕方3時間とか土日だけ運送会社でドライバーとして働く人を言います。

副業ドライバーになる上で注意することは?

副業ドライバーになるのに、運転免許以外に特段の資格は必要ありませんが、本業の会社で副業禁止となっていないかは確認の必要があります。
副業禁止となっているのに、副業をしたからと言って、すぐに解雇ということになるかどうかはわかりませんが、副業を推奨しているのでなければ、しっかりと会社に話を付けた上で、副業をするべきでしょう。

適性診断は本業会社の方で受けているでしょうから、副業会社の方で受ける必要はありません。

副業ドライバーを「個人事業主」として契約することはできません。
常時選任運転者は、あくまで「会社の従業員」でなければなりません。(派遣社員、出向社員は認められます)

2社掛け持ちドライバーは法的に可能か?

昼間はAという運送会社、夕方はBという運送会社で働く。
そんなケースは許されるのでしょうか。

答えは「許される」です。

ただし、当然ですが、昼間9時間働いて、夜も9時間働くような仕事のやり方をやっていたら、体を壊しますし、どちらの仕事も疲れが溜まってしまい、事故の原因となります。
確かに、最大拘束時間16時間というルールは1社の業務で問われる問題ですが、だからと言って、残りの8時間を他のところで仕事して、寝ないで本業の会社に行くなんてことは、法的にはOKでも体力的に安全面を考えるとNGとなります。

副業はあくまで副業。主となる仕事の方に支障がでない範囲でやりましょう。

ただし、どちらの会社でも運転者台帳は作成しなければなりませんし、常時選任運転者としての要件は満たさなければなりません。

社会保険はどうなるの?

厚生年金と健康保険を併せて「社会保険」と言います。
この2つは会社で加入する場合はセットです。

勤務先が法人であれば必ず加入義務があります。

勤務先が個人事業主であり、従業員が5人未満であると加入義務対象ではありません。
しかし、通常は5名以上のドライバーいるでしょうから、ほとんどの場合、社会保険加入義務事業者です。

原則、週30時間以上の勤務となるのであれば、そのドライバーは、社会保険加入対象となります。
その場合、両方の会社で社会保険に加入するということになります。

保険料の計算方法も1社だけの場合と変わります。
両方の事業所の報酬を合算した金額を元に保険料が計算され、その金額を、事業所ごとに報酬額に比例して、案分した金額をそれぞれの事業所で支払うこととなります。
従って、今の会社の保険料も変わることもあります。

また、ドライバー本人がやらなくてはいけない手続きがあります。
メインとする事業所を管轄する年金事務所に『所属選択・二以上事業所勤務届』を出さなくてはなりません。
その届出を出すと、両方の会社に副業による保険料改定の通知が届き、副業に就いたことが知らされます。

雇用保険・労災保険はどうなるの?

雇用保険は週20時間以上の勤務なら原則、加入対象ですが、2社重複の加入とはなりません。
従って、副業として働く会社は雇用保険の徴収は不要です。

逆に労災保険は、加入に条件がなく全員加入なので、雇った時点で会社が労災保険を負担しなくてはなりません。
ただ、業務中にケガなどした場合の労災給付は、その業務中の会社の労災保険が使われるので、副業会社の場合の給付は、給付金額が少なくなり、十分な補償が受けられない可能性もあります。

副業は会社にバレるのか?

先ほど話に出た、『所属選択・二以上事業所勤務届』により、両方の会社に通知が行くのでわかりますね。

また、会社で特別徴収される「住民税」の金額はその人の合計収入によって決まります。つまり、本業会社での給料で算定される金額より、多くの住民税で算定されます。
そして、住民税は社会保険と異なり、メインの会社1社にて特別徴収されます。
従って、合法的に副業をする人は必ず本業の会社に副業がバレてしまうのです。

まとめ

副業でドライバーをやるときの注意点などがわかったと思います。
副業するのはよいですが、しっかり申告すべきことは申告し、なにより過酷な労働時間にならないように気を付けながら、副業をしましょう。