日本一詳しく!貨物自動車運送事業の監査と巡回指導、行政処分について行政書士が完全解説2〜行政処分編(1)〜
運送事業は何十トンの鉄の塊を毎日何十台も走らせます。何より大切なのは“安全”です。事故をしたりすると、運輸支局が監査にきます。車両停止処分や場合によっては営業停止にもなりかねません。監査と巡回指導の対策をしたい方は必見です。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】行政処分編
怖い怖い監査の後は、痛い痛い行政処分。
しかし、実際には何台のトラックがどれくらい止められてしまうのでしょう。
また、行政処分を受けたあとはなにをすればよいのでしょう。
順番に解説していきます。
行政処分とは?
行政処分には大きく3つ、そして行政処分ではないのですがその他2つがあります。
わかりやすく解説していきます。
行政処分等の種類
- 自動車その他の輸送施設の使用停止処分
- トラックを動かすことを禁止する処分です。
- 事業の全部又は一部の停止処分
- トラックの使用停止より大きい行政処分は「営業所を止められること=事業停止」です。
- 許可の取消処分
- 許可が取り消されれば、もうすべての仕事はできなくなります。
そして、役員は欠格要件となり5年間は新規許可申請の会社役員や個人事業主としての申請者となることはできません。
※2019年11月からは、役員だけでなく資本関係にある会社の役員なども欠格要件となっています。 - (その他)警告
- 警告書が渡されますがトラックは止められません
- (その他)勧告
- 勧告書が渡されますがトラックは止められません
監査から行政処分までの期間
行政処分の決定通知が下されるのは、運輸支局の監査担当がどれだけ業務多忙かによります。
早ければ数カ月、長ければ数年かかることもあります。
「しばらくなにも連絡がないから、行政処分なくなったのかな?」
と思いたくもなりますが、絶対に行政処分は下されるので、ソワソワせずにそういう意味では安心して待っていてください。
その間に、違反事項を重点的にその他も含めてしっかり改善しておきましょう。
監査の後の流れ
監査のあとに監査担当がその違反事項が本当に違反に値するのか、全体のどのくらいの割合で違反しているのか、もっと文書を確認して証拠を補強する、どの違反事項にあたるのか、など整理します。
監査の後~トラックを止められるまでの流れ
- 1.改善指示書が来る
- ここで違反内容がほぼ確定されます。先ほどサンプルで提示した自認書の内容が整理清書されたものとなります。
- 2.弁明の機会付与の通知が来る
- このときに、ほぼ確定の処分内容が一緒に送られてきます。
- 行政処分というのは、具体的に300日車など何日分のトラックが止められるかということです。
弁明に行くかどうかは自由です。弁明に行かないと無視しているようで処分が重くなるのでは、と怖いのでとりあえず顔見せの意味で行っている人が多いと思いますが、違反事項についてなにも反論することができないのであれば行かなくてよいです。あくまで弁明の”機会をくれている”だけなのです - 3.輸送施設の使用停止及び付帯命令書が来る
- これが行政処分と言われているものです
この命令書内に
「ただちに法令の定めるところに従って事業を改善し、事業の適正なる運営を図り、再びこのような違反行為を行わないようにするとともに、この違反に対する事業の改善の具体的措置について、○年○月○日以降に呼出監査を行うので、呼出監査の通知があった場合には、改善報告書及び関係帳票類を持参のうえ○○運輸支局まで来局されたい。なお、呼出監査を拒否した場合又は改善報告書において改善状況が確認できない場合は、特別監査を行うほか、自動車等の使用停止処分等の措置をとることがあることを申し添える」
とあります。
だから、それまでにちゃんと改善しておかないと”特別監査”が来るかもしれない、という怖い状況なのです。- 4.ナンバー領置等実際の不利益処分
- 実際にナンバーを返しにいく(領置)。場合によっては営業停止となる
監査でどのような違反が指摘されると行政処分となるか
刑法と同じで、運送業監査でも同じで「これをやると違反だよ」というリストがあります。
それらを違反すると行政処分となるのです。
行政処分の基準は頻繁に変更となるので、最新のものは国土交通省の自動車総合安全情報を参照するのが良いです。
過積載に対する処分
過積載運行をしたものは、初めての違反でも車両停止処分になり、再違反については車両停止期間を延長し、3回目の場合は輸送の安全確保命令を併せて発動、4回目以降はさらに特別監査を行い、事業許可の取消し等、厳しく処分されます。
これは後で説明する車両停止処分とは別個追加で決められています。
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