トレーラーハウスによる市街化調整区域での運送事業営業所認可
市街化調整区域で一般貨物自動車運送事業の営業所認可を取るのは原則不可能ですが、トレーラハウスであれば可能な場合があります。市街化調整区域に車庫があり、同じ場所で合法的に対面点呼をしたい事業者様は必見です。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】本当に一般貨物自動車運送事業営業所として認可されるの?
はい、認可されます。
トラサポ主宰の行政書士鈴木事務所では埼玉県で2件、千葉県で3件、神奈川県で2件、トレーラーハウスでの認可がおりた実績があります。
そもそもトレーラーハウスで申請するということは
「市街化調整区域に営業所を置きたい」
という前提だと思います。
上記5件はそのとおりですべて市街化調整区域での申請でした。
トレーラーハウスの料金
トレーラーハウスを一般貨物自動車運送事業の営業所として認可するためには、事前に設置する場所を管理する自治体と折衝が必要です。
自治体との折衝は日本トレーラーハウス協会が実施します。
その後の運輸支局への申請や折衝は行政書士が実施します。
トレーラーハウス営業所の料金
- 事前調査費用
- 約20数万円。日本トレーラーハウス協会の事前折衝料金がかかります。
- トレーラーハウス自体の料金の目安
- 中古は150万円~。新車は250万円~600万円。台車だけトレーラーハウスデベロップメント株式会社で購入し、その上に自社で購入したプレハブを載せるというリーズナブルな方法もありますので相談してみてください。
- 行政書士への依頼
- 運輸支局への申請を行政書士に依頼する場合は営業所新設認可申請で25万円~。
トレーラーハウスを認可営業所にするメリット
市街化調整区域で営業所として認可を得るのは一般貨物自動車運送事業者にとっては悲願の夢でした。
もちろんそれは我々行政書士にとってもそうでした。
やはり車庫のところに営業所も休憩施設も欲しいです。
そうすれば人と車両の管理も楽ですし、なにかあってもすぐに対応できますし、対面点呼も普通にできます。
でも地代のことを考えるとやはり車庫は市街化調整区域が割安です。
コストと実際の運用面で市街化調整区域に営業所を設けることは大きなメリットがあります。
昔は休憩施設であれば管理棟という名目でできたりしていましたが、特積みの特例を使う以外はもうほぼ絶対にムリなのだと思っていました。
特積みだっていまどきそんな路線を正式に組んで行うようなところは宅配便をやるところ以外は現実不要でしょう。
というか、順番的に「市街化調整区域で認可をとりたい」だから「特積みで許可が欲しい」とおかしくなってしまい、そのような動機ではやはりなかなか許可がおりません。。。
物流weeklyの平成21年12月の記事を読んでびっくり
そんなとき、物流weeklyの記事にて、千葉の株式会社サイコーさんのところで一般貨物自動車運送事業の営業所として市街化調整区域の中で正式に認可されたのです。
この記事を読んだときは鳥肌が立ちました!
当事務所でかかわった一般貨物自動車運送事業者様も古い建物を撤去し、新しくキレイなトレーラーハウスで従業員も喜んでいるとトレーラーハウスの導入に満足感をお持ちでした。
なぜトレーラーハウスだと市街化調整区域でも大丈夫なの?
市街化調整区域とはそもそもなにか、という話からはじめましょう。
市街化調整区域というのはその名の通り、”市街化”をあまりしないようにしようと決められた地域なのです。
ですから、原則建物をたててはいけないのです。
市街化行政区域になにか建てる場合は「開発許可」という大変な手続きが必要となります。
市街化調整区域に線引きされる前からの既存の建物は大丈夫だったりしますが、それでもやはり住宅の用途であれば運送事業所の事務所としては、用途変更というこれまた大変な手続きをしなければ認められないので登記されている建物であってもNGとなります。
そうしたらどうすればよいかというと、「建物」でなければ置いていいということになるわけです。
これはスゴイことですよね。
その「建物」というのはなにかというと、それが建築基準法でいう「建築物」というものになります。
トレーラーハウスは建築物ではない
トレーラーハウスはいくつかの条件をクリアすることで建築基準法で言う「建築物」にあたらないままでいられますので、そもそも「建築物」ではないから建築基準法違反になりようがない、ということになります。
そのような理由で、トレーラーハウスは市街化調整区域でも適切に設置することでちゃんと認められるわけです。
(今は、”車両”であることを明確にするために多くの自治体でナンバープレート取り付けを求められています)
ちなみにプレハブやコンテナ、物置きも原則は建築物扱いとなりますので、本来であれば市街化調整区域には建築確認を取得せずにはおけないものとなります。
よく置いてありますが、厳密に言うとNGですし、市街化調整区域でプレハブなどが認可取れる可能性はほとんどゼロです。
トレーラーハウスにまつわる建築基準法の話
「建築確認のための基準総則 集団規程の適用事例」にこう書いてあります。(抜粋)
建築確認のための基準総則 集団規程の適用事例
- ・バス、キャンピングカー及びトレーラーハウス等の車両(以下「トレーラーハウス等」という。)を用いて住宅・事務所・店舗等として使用するもののうち、以下のいずれかの観点により、土地への定着性が確認できるものについては、法第2条第1号に規定する建築物として取り扱う。
- ◆建築物として取り扱う例
○トレーラーハウス等が随時かつ任意に移動することに支障のある階段、ポーチ、ベランダ、柵等があるもの。
○給排水、ガス、電気、電話、冷暖房等のための設備配線や配管等をトレーラーハウス等に接続する方式が、簡易な着脱式(工具を要さずに取り外すことが可能な方式)でないもの。
○その他、規模(床面積、高さ、階数等)、形態、設置状況等から、随時かつ任意に移動できるとは認められないもの。
・なお、設置時点では建築物に該当しない場合であっても、その後の改造等を通じて土地への定着性が認められるようになった場合については、その時点から当該工作物を建築物として取り扱うことが適切である。 - 【 解 説 】
・「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」の該当例は、以下のとおりである。
◆「随時かつ任意に移動できるとは認められないもの」の該当例○車輪が取り外されているもの又は車輪は取り付けてあるがパンクしているなど走行するために十分な状態に車輪が保守されていないもの。
○上部構造が車輪以外のものによって地盤上に支持されていて、その支持構造体が容易に取り外すことができないもの(支持構造体を取り外すためにはその一部を用具を使用しなければ取り外しができない場合等)。
○トレーラーハウス等の敷地内に、トレーラーハウス等を移動するための通路(トレーラーハウス等を支障なく移動することが可能な構造〔勾配、幅員、路盤等〕を有し、設置場所から公道に至るまで連続しているもの)がないもの。
・トレーラーハウスに関する建築基準法の取扱いについて(昭和62年12月1日住指発第419号) - ・トレーラーハウスの建築基準法上の取扱いについて(平成9年3月31日住指発第170号)
要するにいつでもすぐに動かせる状態にしなければならないわけです。
実際の設置については、トラサポと提携しているトレーラーハウスデベロップメント株式会社様と共に今まで多くのノウハウを蓄積しておりますから安心してご相談ください。
農地(田・畑)には置けません
市街化調整区域には置けますが、農地に置けるわけではありません。
土地の謄本にて田や畑となっている場合は原則要件を満たしません。
ただし、農地転用は済んでいて土地謄本の地目を変更していないだけの場合もあるので、農地転用済か確認するとよいです。
※その場合も法的には法務局への地目変更登記が必要です。
申請の流れ・実績ある行政書士へのご依頼方法
建築行政への説明、運輸行政への認可申請の際の通常営業所申請以外で必要な多数の書類、運輸支局への説明等、トレーラーハウスならではの様々なハードルがありますが、トラサポはトレーラーハウスデベロップメント様と一緒にそのところを構築してまいりましたので、豊富なノウハウにてサービスをご提供します。
まずはトラサポまでお気軽にご連絡ください。
受付時間:9時~19時(平日+土日祝)
トレーラーハウスの内覧
トレーラーハウスと言っても、しっかりしていて内装もキレイでとても使いやすいです。
提携サイト