事業用自動車等連絡書が必要なケースを行政書士が完全解説

公開日:2024年8月30日

緑ナンバーの車検証を書き換えるときに必要な書類が事業用自動車連絡書です。増車する、減車する、営業所間を移転する、といったケースで準備する必要があります。について解説します。様式のダウンロードリンクも。

運送業専門行政書士鈴木隆広【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】

事業用自動車等連絡書とは

運輸支局の輸送担当が「この車は緑ナンバーの車だよ」ということを、登録部門に連絡するための書類が「事業用自動車等連絡書」というものになります。

登録の窓口にOCR用紙等と一緒に事業用自動車等連絡書を提出して、初めて自社名義の事業用車検証が発行されるわけです。
緑ナンバーの車を登録する際は、警察署で発行される車庫証明は不要です。車庫証明の代わりになるものが連絡書と考えてよいです。

事業用自動車等連絡書が必要なケースと事案発生理由

新規許可を取得した場合

一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、初めて自社名義の緑ナンバー車検証に書き換えるとき、生まれて初めて連絡書に出会うことになります。
たった一枚の紙ですが、許可証よりこっちの方が大切と言っても過言ではありません。

この場合、連絡書で選択すべき事案発生理由は「新規許可」となります。

自社名義の緑ナンバー車両を増やす場合

俗に「増車」と言い、以下の契機によって緑ナンバーは増えます。

増車の契機

  • ・新車トラックを増やすとき
  • ・中古トラック業者から購入したとき
  • ・知り合いの運送事業者から中古トラックを購入、譲り受けたとき
  • ・自社名義の白ナンバーで使っていたトラックを緑ナンバーにするとき

この場合、連絡書で選択すべき事案発生理由は「増車」となります。

所有権解除の場合は、自社の緑ナンバー車両が増えるわけではないので増車とはならず、連絡書は不要です。

他社の事業用車両を譲り受け、自社事業用車両として増車する場合

知り合いの運送会社からトラックを購入する場合もあるでしょう。
その場合は、自社で増車をするだけでは足りません。
相手の”減車の連絡書”も必要になるので、印鑑証明・譲渡証明・委任状だけでなく、必ず”減車の連絡書”ももらうようにしてください。

自社名義の緑ナンバー車両を減らす場合

俗に「減車」と言い、以下の契機によって緑ナンバーは減ります。

減車の契機

  • ・中古トラック業者にトラックを買い取ってもらったとき
  • ・しばらく使わないのでナンバーを返納(一時抹消)するとき
  • ・事故や古くなったという理由で解体業者に出すとき
  • ・運送の用途に使わなくなったので自社名義の白ナンバーにするとき

この場合、連絡書で選択すべき事案発生理由は「減車」となります。

代替え(車両入れ替え)をする場合

同じ種別(種別とは普通、小型、けん引、被けん引の区別です)の車両を同数入れ替えることを”代替え”といいます。
4ナンバートラックを減らして、1ナンバートラックを増やすのは、代替えではなく、減車と増車となるので要注意です。

連絡書で選択すべき事案発生理由は「代替」となります。

代替えというのは結局、トラックを入れ替えるので本質的には「増車+減車」なのですが、「増車+減車」個別に手続きするのに比べて、以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • ・台数変更届が不要なので、台数変更届の会社押印が不要という点で手続きが簡単

デメリット

  • ・減らす車の車検証手続きと増やす車の車検証手続きを、同時にやらなければいけないので、動きに制約が生じる
行政書士

車検証のコピーさえあればできるので楽チンなのですが、デメリットに書いてあるように、動きがかなり制約され、ちゃんと知っておかないと痛い目に遭います。

注意すべき具体例を見てましょう!!

「代替」で連絡書を発行してもらうと、「今日は増車の方を登録して、減車して売る方は後日相手に名義変更してもらおう」ということはできない、ということです。
たとえばこのようなケースを想定しましょう。
・福島運輸支局で「900番」を減車し、「800番」を増車
・減車した「900番」を大阪で増車
この場合、福島で代替えの連絡書を返してもらって、その日にその足で大阪まで行かなくてはなりません。
それを理解して計画しているのであればよいですが、知らずにそれをやってしまうと、当日かなり困りますよね。

この場合の正解はコレ!!

  • この場合の正解は”代替え”ではなく”台数変更届を提出し、増車で1枚連絡書発行、減車で1枚連絡書発行”と1台につき1枚ずつ連絡書を発行することです。

営業所間を移動する場合

同一の会社にて、A営業所からB営業所に車両を移動するようなケースです。
この場合、A営業所で「減車」の手続きをし、B営業所で「増車」の手続きをします。

関東運輸局だけの特例

  • 関東運輸局管内で営業所の配置換えを行う場合は「営配」を選びます。
    たとえば千葉営業所から横浜営業所に「営配」するというような形です。
    この場合、「千葉で減車、神奈川で増車」とする必要はなく、神奈川運輸支局(配置換え先の営業所管轄運輸支局)だけで営配の台数変更届を2部提出するだけで済みます。
    そのような場合には非常に便利な手続きです。
    ※営配はあくまで関東運輸局内での営業所配置換えのケースのみで行えます。中部運輸局管轄である長野営業所から、横浜営業所への営業所配置換えの場合は「長野で減車、神奈川で増車」としなければなりません。

事業廃止・休止をする場合

やむなく事業廃止をする場合や、しばらく一般貨物自動車運送事業を休んで白ナンバーに変えよう、という場合もあるでしょう。
その場合は減車ではなく、それぞれ”廃止”、”休止”を選びます。

その連絡書があれば、他社にトラックを譲渡したり、自社名義の白ナンバーに変えるということが可能になります。

事業用自動車等連絡書の提出窓口

連絡書を提出するのは、営業所を管轄する運輸支局の輸送担当窓口になります。

増車をするのであれば、その営業所のある都道府県の運輸支局です。
減車をするのも同様、その営業所のある都道府県の運輸支局です。

例えば、本社営業所が北海道にあり、福島県にも営業所がある事業者がいるとします。
福島営業所にトラックを増やすとしたら、増車の連絡書を発行してもらうのは、北海道運輸支局ではなく、トラックを増やす営業所を管轄する福島運輸支局となります。

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事業用自動車等連絡書の有効期限と期限の延長方法

輸送担当で経由印を押してもらってから1か月間が有効期限です。
もし、車両の整備が整わないという理由などで予想より納車が遅れて、有効期限が切れてしまっても慌てることはありません。
実際に車検証を書き換えできる状態になったら、発行してもらったのと同じ運輸支局輸送担当窓口に「事業用自動車等連絡書」と「手数料納付書」の原本を持っていけば、簡単に”延長”がしてもらえます。

増車の連絡書については、車検証の手続きをするのと同じ都道府県なのでそれほど大変ではないと思います。
しかし、たとえば福島県の営業所で減車したトラックを静岡県の営業所に増車するといったケースを想定しましょう。
その場合、福島運輸支局で発行してもらった減車連絡書は、福島運輸支局でしか期限延長をしてもらえないので要注意です。

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