違反点数12点以上事業者は増車が超大変!!(貨物自動車運送事業)
2019年11月1日より、増車が認可となる基準が新設されました。増車が認可になるなんて!それだけでも大変なのに想定外の落とし穴があります。いつまでその状態なの?自社は大丈夫?増車予定があって心配な方は必ずチェックしましょう。
運送業専門行政書士へのご依頼はトラサポ本部045-507-4081までお気軽に!!【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」
神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋13年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】
「信頼できる運送業専門行政書士に依頼したい方はご自身の地域のメンバーを頼ってください!!」
増車が認可となるケースのおさらい
まずは基本的な知識として、増車が認可となってしまうケースをおさらいしましょう。
今回の記事でのポイントは(5)のケースです。
増車が認可申請となる条件
-
-
- (1)変更に係る事業用自動車の数と申請日前3ヶ月以内において増加した事業用自動車の数との合計が、申請日から起算して3ヶ月前時点における当該営業所に配置する事業用自動車の数の30%以上の増加となるとき(増車する合計数が10両以下であるときを除く。10両以下の増車であれば30%以上でも届出で大丈夫。)
- (2)5両未満となる減車( 災害、事故、故障により車両が使用不能となり、代わりの車両が確保されるまでの間、「5両→4両」、「4両→3両」 等に減車する場合のみ申請可能)※経営上の都合によるものや、代わりの車両を確保する時期が未定のものはそもそも申請できません。
- (3)引き続き5両未満となる増車(「3両→4両」等で、最低車両台数5台になる具体的な計画がある場合のみ申請可能。※5台になる具体的な計画がなければ申請できません)
- (4)親会社、子会社、グループ会社が欠格要件(密接関係者が許可の取消しを受け5年を経過しない者である場合)に該当する場合
- (5)変更に係る営業所における行政処分の累積違反点数が12点以上である場合
- (6)変更に係る営業所について、申請日前1年間に、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う巡回指導による総合評価において、E判定の評価を受けている場合
-
そもそも違反点数というのは、運輸支局の監査を受けた場合、10日車につき1点がついてしまうものです。
従って、111日車以上(10日車未満は切り上げのため)の行政処分を受けると違反点数が12点付与されます。
そして、この違反点数は原則3年間は消えません。
増車が認可となる条件だけを単体で見るとまだ理解できるのですが、実際に行政処分を受けた事業者の実務ケースはかなり複雑なので以下にまとめます。
違反点数11点以下の場合
違反点数が12点未満なので増車が認可となりません。
従って、3か月前の台数からの増車率が30%未満であれば行政処分後すぐに増車届が可能です
※その他の理由で認可となってしまうケースは上記表で確認してください。
違反点数12点以上の場合
違反点数が12点以上なので、たった1台の増車でも認可申請となってしまいます。
従って、申請しても即日増車はできず1~3か月かかってしまいます。
それだけでは終わらず、認可申請は6カ月(重大違反は12カ月)申請できません。
つまり、行政処分後、6か月は増車を受け付けてもらうことすらできません。
11点と12点、行政処分後すぐのケースでは、たった1点の差で、増車できるまでに7~9カ月の差が出てしまうということになります。
しかも、認可申請(増車するのに1~3カ月かかる)が必要な状態は、行政処分終了からから3年間も続きます。
※行政処分の日から2年間行政処分を受けないでいると2年間で消滅します。
これはものすごいインパクトだと思います!!
運輸支局の監査が入った場合、行政処分111日車(=違反点数12点)というのはそんなに珍しくないのです。
2019年11月改正内容をもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
結論
監査に入られたとき、いかに行政処分を減らすということに毎日取り組むしかありません。
具体的に言えば以下のことを注意しましょう。
特に重要なコンプライアンス遵守
-
-
- ・拘束時間が13時間を超える仕事は引き受けない
・運行管理者または補助者がちゃんと毎回ドライバーを対面点呼する
・日報、点呼、日常点検記録簿を毎日ちゃんと作成する - ・健康診断を毎年ちゃんと受ける
- ・全員が社会保険に入る
- ・適性診断、特別指導をちゃんと実施して運転者台帳を作成しましょう。雇い入れ時の最初の一回だけなので頑張りましょう!
・法定3カ月点検をちゃんと整備業者に出す
・過積載は絶対NG
・車庫飛ばしは絶対NG
- ・拘束時間が13時間を超える仕事は引き受けない
-
もし監査が入ってしまって120日車以上やられそうだという場合にどうしたらよいか?
増車する計画があるのであれば、実際に行政処分の通知を受ける前に増車してしまうことです。
そんなことすると怒られるのではないか、と不安に思うお客様が多くいらっしゃいますが、そんなことはありません。不安な場合は早めに手を打ちましょう。
【参考】2020年1月末までの特別な運用
2019年10月31日までに行政処分を受けた事業者は3カ月間の法令順守違反期間がありますが、それは11月1日を過ぎた瞬間に6カ月に延びるとのことです。
8月1日以降の行政処分終了日の事業者はすべてこれにあたるということでしょう。(8月1日の3カ月後が11月1日のため)
(全国統一運用だと思いますが、個別に確認してください)
つまり、8月15日に行政処分が終わった事業者は、そのときのルールでは11月15日に喪が明けるはずが、結局8月15日から6カ月後の2月15日(日単位は誤差あるかもしれません)まで認可申請ができません。
違反点数が11点以下であれば増車が届出でできますが、12点以上であれば認可となってしまうので、ずいぶん長い間増車ができないということになります。
人気記事
-
【2020年】軽自動車の事業用黒ナンバー取得方法&書類まとめ 軽貨物
-
2024年4月1日から運送業界の残業時間年間960時間が上限に
-
緑ナンバーバイク便の始め方と8色のプレートを行政書士が解説
-
運行管理補助者の選任方法、点呼の権限(一般貨物自動車運送事業)
-
白ナンバーダンプと緑ナンバーの違い、メリットデメリットを行政書士が詳しく解説
-
運行管理者の資格要件、義務、選任届について行政書士が解説
-
事業用自動車等連絡書が必要なケースと書き方を行政書士が完全解説
-
運送業許可の整備管理者の資格要件、仕事、選任届について行政書士が解説
-
緑ナンバーとは?取得の条件と方法・費用・メリットを行政書士が解説!
-
自社、下請会社が緑ナンバー必要なのか?簡単詳細に行政書士が解説
カテゴリー
運送業者様訪問記 (1)貨物利用運送事業 (4)
運送事業者紹介 (2)
軽貨物 (1)
関連法令 (10)
自動車登録 (1)
霊柩車・寝台車 (2)
日記 (3)
緑ナンバー (36)
役員法令試験セミナー (20)
初めての緑ナンバー (1)
運送業界ニュース (8)
緑ナンバーの基本要件 (3)
一般貨物自動車運送事業 (117)
最新の法令 (7)
緑ナンバー実務ネタ (22)
過去の法令 (7)
新着
-
貨物運送業の監査・巡回指導コンプライアンスをトラサポ行政書士がサポート!2021年2月27日
-
一般貨物運送業許可の役員法令試験セミナー会場全国一覧2021年2月14日
-
11月27日より あおり運転(妨害運転)が監査行政処分対象に追加2020年12月6日
-
非正規社員と正規社員の待遇格差についてまとめ2020年10月11日
-
【2020年】軽自動車の事業用黒ナンバー取得方法&書類まとめ 軽貨物2020年10月10日
-
緑ナンバーバイク便の始め方と8色のプレートを行政書士が解説2020年6月21日
-
営業ナンバー新規許可取得見込み無料診断ツールプレゼント2020年5月5日
-
運行管理補助者の選任方法、点呼の権限(一般貨物自動車運送事業)2020年4月5日
-
緑ナンバーとは?取得の条件と方法・費用・メリットを行政書士が解説!2020年4月3日
-
2024年4月1日から運送業界の残業時間年間960時間が上限に2020年3月22日