自動車運転者の労働時間等の改善基準を運送業専門行政書士が解説

公開日:2019年8月11日 / 更新日:2019年8月12日

拘束時間1か月293時間など部分的には知っている運転者の労働時間ルール。意外と理解されていない連続運転時間の細かな休憩の取り方、長い待ち時間で拘束時間を避ける分割休息の使い方、休憩と休息の違いなど、詳しく解説します。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準を運送業専門行政書士が解説

運送業専門行政書士鈴木隆広■この記事を書いた人:運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋10年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【住所:神奈川県横浜市都筑区池辺町3620】

運転者の拘束時間と休息時間の内訳

労働時間のルールには拘束時間、運転時間、休息時間、休憩時間、荷積み荷卸し、待機時間、日常点検、点呼、事務連絡、休日など実に様々な時間が登場します。
まずは、改善基準告示を学ぶ前にこれらの基本をしっかり学びましょう。

1日24時間と拘束時間等の関係

拘束時間

出社時間から退社時間までを拘束時間と言います。
休憩時間も拘束時間に含まれます。

労働時間

拘束時間 - 休憩時間 = 労働時間

運転時間だけでなく、日常点検や点呼、事務連絡は当然ながら、待機時間も労働時間に含まれます
労働時間に対して会社は給料を支払います。

運転時間

車内で運転している時間です。車内にいても車が動いていなければ運転時間とはなりません。
※夏場に車内でエンジンをかけ、クーラーをつけて休んでいる場合、タイヤは動いていないのですが、エンジンがかかっているのでデジタコが反応してしまう場合があります。このような場合は微妙ですが、トラック協会に指摘されるので気を付けておきましょう。
荷積み荷卸しをしている時間は当然ながら、運転時間ではありません。
要するに連続運転時間は4時間以内で30分以上運転から離れないといけないとされていますが、その30分は休憩でなくとも車から降りていれば構わないのです。
4時間連続運転後、休憩を入れずに30分荷積み荷卸しをし、すぐに運転をしてもルール上は問題ありません。

休憩時間

休憩時間については、多くの社長が勘違いしているのでしっかりと認識しておきましょう。
超基本事項として、労働時間ごとに与えなければいけない休憩時間の基準について解説します。

何時間ごとに休憩時間を与えないといけないのか?

  • ・労働時間が6時間を超え、8時間以下の場合は少なくとも45分の休憩時間を取らせる必要があります。
    ・労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩時間を取らせる必要があります。
    ※休憩時間は仕事終わりに与えることはできません。何時間以内に与えなければいけないというルールはありませんが、必ず労働時間の合間に与えることが必要です。

また、事業場以外の休憩時間は、仮眠時間を除き3 時間以内とされています。

休憩時間とは拘束時間の中での、働いている時間以外の時間です。
休憩時間は労働者にとって完全に自由な時間です。車から離れても良いですし、昼寝をしても温泉に入っていても構いません。もし急な用事があった場合に会社が電話をしても出る義務も折り返し電話をする義務はありません。
「電話が鳴ったら取るのは当たり前!」
そんなことが許される時代ではありません。

ただ、オフィスワークでない運転者はいつ休憩を取るかはわかりませんから、自由に休憩を取ってその間に電話が通じないのは、会社も心配するでしょう。運転者は休憩に入るとき、会社に報告してあげるのが親切でしょう。

休憩時間は拘束時間には含まれますが、労働時間ではないので給料は発生しません。

厚生労働省HPより「休憩時間」についての解説抜粋

  • 休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
    昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。

待機時間

荷主都合の荷待ちや港湾での行列待ちでも、それは労働時間となります。「待っている」というのは立派な仕事なのです。
もし待機時間を給料発生しない時間にしたいのであれば、従業員の了承を得て完全に車から降りて電話の電源が切られても問題ない状態にした上で「休憩時間」とする必要があります。

たとえば「お客さんから電話連絡が来るまで休憩」というわけにはいかないということです。なぜならば、それはお客さんからの連絡を「待っている」必要があるからです。
もし待機時間を休憩時間としたいのであれば、事前に「1時間休憩します」とすることです。当然その1時間は確実になにもしなくてよい時間であることが必要です。
しかしそれは給料が発生しない休憩時間であっても拘束時間には変わりないので、労働者の理解が必要です。

休息時間・休日

拘束時間には入らない、いわゆるオフの時間です。
休日は休息期間に24 時間を加算した期間で、いかなる場合であっても30 時間を下回ってはなりません。

休日は24時間以上必要

改善基準告示の解説

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成13年国土交通省告示第1365号)」は厚生労働省にて詳しく説明しているホームページがあるので、もっと詳しい解説はそちらをご覧になると良いと思います。
ここでは運送業に関わる行政書士の立場から、わかりやすくコンパクトに解説します。

拘束時間

1カ月 原則293時間まで
労働協定があるときは、1年のうち6カ月までは、 1年間についての拘束時間が 3516 時間を超えない範囲において 320時間までの時間まで延長できます。
1日 原則13時間、最大16時間
15時間超えは1週間について2回以内までは可能
※ただし、13時間超~15時間の範囲について罰則はないので、13時間はあくまで目安です。実際の運用では15時間以内であればルール上は問題ありません。
しかし、次の運転時間の上限があるので15時間の拘束時間を週に何日もなされることは現実問題考えにくいでしょう。

もし、自社車庫に戻るのにあと1時間!というところで拘束時間が16時間超えてしまう!という場合にどうしたらよいでしょうか?
当然、16時間を超えて車庫まで運転して戻ってはいけません。
その場合、16時間以内にたどり着ける場所まで他の運転者が行き、そこで交替することが可能です。
その場合の終了時点呼は電話で大丈夫です。
また、日常点検は新しい運転者が実施し、乗務前点呼も電話点呼で大丈夫です。
これは対面点呼の例外の「やむを得ない場合」にあたります。

運転時間

2日を平均して1日当たり9 時間までが限界です。
※1日の拘束時間は15時間までは問題ないと説明しましたが、運転時間としては結局2日で合計18時間までしかできないので注意が必要です。
2週間平均で1週間当たり44時間までが限界です。
結局、瞬間的に1日10数時間運転ができたとしても、1週間あたり44時間です。
週5日勤務だとしたら1日あたりの限界運転時間は8時間48分となります。
週6日勤務だとしたら1日あたりの限界運転時間は7時間20分となります。

連続運転時間

連続して運転してよいのは4時間以内です。
(運転の中断は 1回連続 10分以上、かつ合計 30 分以上の運転離脱が必要)

運転離脱というのは、休憩時間はもちろんOKですが、荷積み荷卸し作業など仕事をしていても運転さえしていなければOKとなります。

車から一度も下りることなく4時間1秒経った時点で違反となります。
また、10分連続しない離脱時間は離脱とみなされません。4時間連続運転時間の考え方

休息時間

仕事が終了してから、次の仕事が始まるまでに、継続8時間以上の休息時間が必要です。
※運転者の住所地での休息期間が、それ以外の場所での休息期間より長くなるよう努めることとされています。
休息時間とは、拘束時間以外の時間です。
(拘束時間+休息時間)=24時間(=1日)なので、逆算すると24時間-拘束時間=休息時間となります。
つまり、24時間を拘束時間と休息時間で分け合って1日を構成しているわけです。

拘束時間の最長が16時間で、休息時間が8時間以上というのは16+8=24という表裏一体の関係から来ているということがわかりますね。

分割休息とは

遠隔地へ行ったときや、待ち時間が長い仕事でどうしても拘束時間が16時間に収まらない、、、という仕事もあると思います。
そんなとき、途中で4時間以上連続の休憩時間が取れるのであれば「分割休息」を適用することをぜひ検討してください。
分割休息は知らない方がたくさんいますが、適用することで16時間を超える拘束時間を合法化することができるようになります。

【分割休息とは】

  • 1日(始業から24時間)において1回が継続4時間以上、合計10時間以上に分割可(業務の都合上やむを得ない場合で、一定期間の勤務回数の2分の1以内(最高でも2カ月のうちの1か月))。

上記を満たせば、16時間拘束時間(つまり24時間から16時間を引いて8時間連続休息時間)のルールから除外されるわけです。

簡単に言えば、拘束時間途中4時間連続でまったく自由な時間(運転以外の仕事もなにもしない完全なる業務外。賃金も発生しない)が取れるのであれば、勤務後に6時間以上の休息(これも8時間は不要)が取れれば大丈夫ということです。

分割休息の解説

矢印の範囲が17時間で16時間を超えているのですが問題なしということになります。

拘束時間が長くて困っているというお客様に、この分割休息のことをお伝えして何回も喜ばれたことがあります。

ご検討ください。

運行時間

一の運行における時間は144 時間=6日間まで可能です。
一の運行というのは、最初の勤務を開始してから最後の勤務を終了するまでの時間です。
(ただし、フェリーに乗船した場合における休息期間を除く。)

具体的なイメージとしては、関東から近畿~中国~九州と立ち寄りながら集配し、また同じようなルートで何日もかけて集配するような業務形態です。
このような場合、自社車庫を出発してから、6日以内にまた自社車庫に戻ってくればよいこととなります。

この場合、当然対面点呼はできませんので、運行指示書を作成した上で、毎日の点呼は電話点呼となります。

拘束時間・休息期間の特例

2人乗務の場合

2人乗務(ベット付き車両であることが必要)にすることで、最大拘束時間を20 時間まで延長可、休息期間は 4 時間まで短縮することができます。
もちろん、2人分の運賃がもらえないと赤字になってしまいますが、長距離運転を安全に受注するために運賃交渉をすることも考えていってください。

フェリー乗船の場合

勤務の中途においてフェリーに乗船する場合 、乗船時間は原則として休息期間として取り扱 い、 休息期間8時間から減ずることができます。
ただし、減算後の休息期間は 、二人乗務の場合を除き、 フェリー下船時刻から勤務終了時刻までの時間の1/2を下回ってはなりません。

休日労働

休日労働は、2週間に1回以内 、かつ1箇月の拘束時間及び最大拘束時間の範囲内で可能です。

隔日勤務の場合

これはタクシー勤務ではよく使われる方式で、トラックではほとんど使われないでしょうが、掲載しておきます。
2暦日における拘束時間は21時間を超えないこと。
※2暦日というのは、深夜0時をまたぐ勤務のことです。
夜間4時間以上の仮眠を与える場合は、2週間について3回 を限度に2暦日における拘束時間を24時間まで延長可( 2 週間の拘束時間は 126時間( 21時間× 6 勤務)まで)
勤務終了後、継続20時間以上の休息期間が必要。

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