2024年改正の標準貨物自動車運送約款、告示標準運賃の解説、背景、注意点

公開日:2024年3月29日 / 更新日:2024年6月1日

令和6年3月22日にトラック運送業の標準運賃が告示され令和6年6月1日からは新しい標準貨物自動車運送約款となります。標準運賃は令和2年4月に告示されたものから約8%UPされたものとなります。新しい標準約款と告示標準運賃について背景、経緯、新内容、必要な手続きを解説します。

運送業専門行政書士鈴木隆広【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】

目次

標準約款と標準運賃告示までの流れ

今般の見直しにあたっては、国土交通省において、2023年8月より、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、2023年12月、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表しています。当該提言を踏まえた告示の見直し案について、2024年1月10日付けで運輸審議会へ諮問しました。

令和5年 8月30日 第1回検討会(論点整理)

令和5年 10月27日 第2回検討会(提言素案の整理)

令和5年 12月7日 第3回検討会(提言取りまとめ)

同審議会における審理及び令和6年2月29日付けの同審議会からの答申を踏まえ、令和6年3月22日、新たな運賃を告示したところです。

このページでは、国土交通省の審議資料を解釈し、経緯の詳細がわかるようのまとめ、私の解説を加えました。

これにより、2024年問題や働き方改革、物流輸送能力の維持について国がどう考え、今後どのような方向に持っていこうとしているのかがわかるようになります。

令和6年6月1日から新しい標準貨物自動車運送約款の変更内容

2024年問題で物流インフラが破綻する懸念もある中で、ドライバーの労働時間縮小と賃金上昇を実現するために大きく5つの点で変更となりました。

(1)荷待ち・荷役作業等の運送以外のサービスの内容の明確化等

「積込み」「取卸し」等の運送以外の業務について「第2章 運送業務等」から分離し、第3章として「積込み又は取卸し等」に改めて改訂されました。

現行の「標準運送約款」「軽運送約款」では、適正な運賃・料金の収受を目的として、待機時間、附帯業務等が具体的に規定されている一方、「積込み」「取卸し」等の業務は、「第2章 運送業務等」において規定されているため、運送業務と荷待ち・荷役作業等の運送以外の業務の区切りが不明確でした。このため、「積込み」「取卸し」等の運送以外の業務については、「第2章 運送業務等の第三節 積付け、積込み又は取卸しに過ぎなかった「積付け、積込み」」から分離し、第3章を「積込み又は取卸し等」に改めた上で、当該章において付帯業務から積込み又は取卸し等と名称変更をして規定することとしました。

また、これらの運送以外の業務が契約にないものであった場合、当該業務の対価を負担する主体についても不明確であることから、トラック運送事業者が運送以外の業務を引き受けた場合、契約にないものを含め、対価を収受する旨を規定することとしました。

章として独立させたところに、「運送」と「付帯業務」を別建てで対価をもらう強い意思が感じられます。

第三章 積込み又は取卸し等

  • (積込み又は取卸し及び積込料又は取卸料)第六十一条 当店は、貨物の積込み又は取卸しを引き受けた場合には、当店が別に定める料金又は実際に要した費用を収受し、当店の責任においてこれを行います。
  • (附帯業務及び附帯業務料)第六十二条 当店は、品代金の取立て、荷掛金の立替え、貨物の荷造り、仕分、保管、検収及び検品、横持ち及び縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業その他の貨物自動車運送事業に附帯して一定の時間、技能、機器等を必要とする業務(以下「附帯業務」という。)を引き受けた場合には、当店が別に定める料金又は実際に要した費用を収受し、当店の責任においてこれを行います。

(2)運賃・料金、附帯業務等を記載した書面の交付

運送を申込む荷送人、運送を引受けるトラック運送事業者は、それぞれ運賃、料金、附帯業務等を記載した書面(電磁的方法を含む。)を相互に交付する旨が規定されました。

現行の「標準運送約款」「軽運送約款」では、荷送人による運送の申込みやトラック運送事業者による運送の引受けについては、明確な規定がありません。このため、運送を申込む荷送人、運送を引受けるトラック運送事業者は、それぞれ運賃、料金、附帯業務等を記載した書面(電磁的方法を含む。)を相互に交付する旨を規定することとしました。

電磁的方法というのは電子契約やPDF等でクラウドや会社パソコン等に保存することです。

運送を依頼する側は、第1項第6号で規定されている付帯業務、燃料サーチャージ、高速料金などを運賃とは別で、しかも支払い方法まで書いた運送申込書を提出しなければなりません。あなたの会社が下請事業者に依頼するときも同様です。

運送申込書、運送引受書とは

次に記載する第6条に細かく書いてありますが、運送を依頼する会社は仕事の内容をことこまかに記載した運送申込書という文書を発行し、また引き受ける運送会社は運送引受書という文書を返さなければなりません。これにより契約に無い追加作業を断ることができるようになり、また追加の作業があれば追加請求できるようになることが期待されます。

 

第二節 運送の申込み及び引受け

  • (運送の申込み)第六条 当店に貨物の運送を申込む者(以下「申込者」という。)は、次の事項を記載した運送申込書を提出しなければなりません。
    一 申込者の氏名又は商号並びに住所及び電話番号
    二 貨物の品名、品質及び重量又は容積並びにその荷造りの種類及び個数
    三 集貨及び配達又は発送及び到着の希望日時
    四 集貨先及び配達先又は発送地及び到着地(団地、アパートその他高層建築物にあっては、その名称及び電話番号を含む。)
    五 運送の扱種別
    六 運賃、料金(第十七条第二項に規定する利用運送手数料、第三十四条に規定する待機時間料、第六十一条に規定する積込料又は取卸料及び第六十二条第一項に規定する附帯業務料等をいう。)、燃料サーチャージ、有料道路利用料、立替金その他の費用(以下「運賃、料金等」という。)の支払方法
    七 荷受人の氏名又は商号並びに住所及び電話番号
    八 高価品については、貨物の種類及び価額
    九 第六十一条に規定する貨物の積込み又は取卸しを委託するときは、その旨
    十 第六十二条第一項に規定する附帯業務を委託するときは、その旨
    十一 運送保険に付することを委託するときは、その旨
    十二 特約事項があるときは、その内容十三 本約款の内容について承諾する旨十四 その他その貨物の運送に関し必要な事項2 前項において、当店が電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって当店で定めるものをいう。以下同じ。)による運送の申込み方法を定めているときは、前項の運送申込書の出に代えて、当該運送申込書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができます。この場合において、申込者は、当該運送申込書を提出したものとみなします。
  • (運送の引受け)第七条 当店は、前条第一項の運送申込書の提出があった場合において、申込者との協議により、当該運送を引き受けることとするときは、次に掲げる事項を記載した運送引受書を交付します。一 集貨及び配達又は発送及び到着の予定日時二 運賃、料金等の額2 当店は、あらかじめ申込者の承諾を得て、前項の運送引受書の交付に代えて、当該運送引受書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することがあります。この場合において、当店は、当該運送引受書を交付したものとみなします。

(3)利用運送を行う場合における実運送事業者の商号・名称等の荷送人への通知等

実運送事業者が受け取る運賃は運送業界の多重下請け構造が大きな問題とされ、多重下請け構造を無くすためにも利用運送の階層構造を把握するための施策が盛り込まれました。

利用運送が行われた場合に荷送人が実運送事業者を把握することは困難であるため、利用運送を行う元請運送事業者は、実運送事業者の商号・名称等を荷送人に通知する旨が規定されました。また、利用運送に係る費用は「利用運送手数料」として収受する旨が規定されました。

これにより多重下請けが軽減されることが期待され、また利用運送手数料が別建てで請求することとなりました。理論的には実際に運ぶ実運送事業者が受領する運賃が標準運賃の価格になるということです。

現行の「標準運送約款」「軽運送約款」では、利用運送を行う場合がある旨は規定されていますが、利用運送が行われた場合でも荷送人が実運送事業者を把握することは困難です。このため、利用運送を行う元請運送事業者は、当該運送の全部又は一部について運送を行う実運送事業者の商号・名称等を荷送人に通知する旨を規定することとします。また、利用運送に係る費用は「利用運送手数料」として収受する旨を規定することとします。

何次下請け事業者まで通知すればいいの?

これは元請け事業者は3次請け4次請けになったとしても最終的な実運送事業者を荷主に通知しなければならないとされています。

利用運送手数料とは

先ほど触れましたが、利用運送で下請会社に仕事を振った場合、元請け・荷主には運賃とは別に「利用運送手数料」を明確に収受することが求められています。

下請手数料は10%と規定されています。

(利用運送及び利用運送手数料)

  • 第十七条 当店は、荷送人の利益を害しない限り、引き受けた貨物を他の貨物自動車運送事業者の行う運送を利用して運送することがあります。この場合において、当店は、あらかじめ、荷送人に当該貨物自動車運送事業者の商号又は名称等を通知します。
    2 当店は、前項の利用運送を行うときは、第三十二条第一項の運賃料金表に定める利用運送に係る手数料を収受します。
    3 特別な手配を要する利用運送を行う場合は、前項の規定にかかわらず、別途見積もった手数料を収受します。
    4 第一項の通知を行わなかった運送について、当店の責により利用運送を行う場合があります。この場合において、利用運送に係る手数料は収受しません。

(4)中止手数料の金額等の見直し

実勢に応じて、当該中止手数料の金額等を見直しました。

今まではキャンセル時に一律、一台3500円、小型車2500円となっていたものが、前々日は運賃総額の20%以内、当日は50%以内とパーセントで規定されるようになりました。

(5)運賃・料金等の店頭掲示事項のオンライン化

現行の「標準運送約款」等では、「受付日時」「個人を対象とした運賃・料金等」「保険率等」については、店頭に掲示することとされているところ、これらの事項を既にインターネットで掲載しているトラック運送事業者も多く存在する状況等を踏まえ、店頭での掲示に代えてインターネットによる公表のみを行うことも認める旨を規定することとしました。

なお、常時使用する従業員の数が20人を超える場合は、原則として、自社のウェブサイトにも加えて掲載する必要があります。

新しい標準約款を使うために必要な手続き・義務

改正された標準約款を使うということであれば運輸支局への届出等は必要なく、自動的に新標準約款を使うこととなります。することと言えば、新標準約款を営業所等に掲示もしくは自社ウェブサイト掲載することです。

逆に、2024年新標準約款を使わないというのであれば、独自約款の認可申請を受けなければなりません。

たとえば運送依頼書や運送引受書に縛られるのがイヤだ、とか、利用運送を行う場合における実運送事業者の商号・名称等の荷送人への通知をするのは実務上どうしても大変だ、という場合、その部分を除いた独自約款を運輸局に認めてもらう必要があります。

国土交通省の標準貨物自動車運送約款(最終改正:R6国交省告示第210号)PDFダウンロードページ

令和6年3月22日告示の標準運賃

2024年2月29日付けの同審議会からの答申を踏まえ、令和6年3月22日、新たな運賃が告示されました。

具体的には次のような改訂がありました。

・燃料サーチャージ、積込料・取卸料、待機料、有料道路利用料について明記されました

運賃表の算定根拠となる原価のうちの燃料費を120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定現行の待機時間料に加え、公共工事設計労務単価表を参考に、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割を加算

「有料道路利用料」を個別に明記するとともに、「運送申込書/引受書」の雛形にも明記

「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)を設定共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」を設定

標準運賃の個別具体的な変更内容

荷主等への適正な転嫁、多重下請構造の是正、多様な運賃・料金設定等の観点から変更がされました。先の「燃料サーチャージ、積込料・取卸料、待機料、有料道路利用料」などについて細かく解説します。

荷主等への適正な転嫁

燃料費が高騰した場合の転嫁、高速道路代、待機料、積み込み・荷下ろし等の付帯業務は運賃とは別に荷主から収受するように規定されました。

トラック運送業については、間近に迫る「2024年問題」も踏まえ、ドライバーの賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備が急務であり、こうした中、昨年6月にとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」において、トラックの標準的運賃について、荷主等への周知・徹底を強化するとともに、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて、荷主等に適正に転嫁できるよう、所要の見直しを図ることとされました。

原価調査結果や、直近の統計資料を踏まえて改定がされ、30 分ごとの待機時間料は、小型車は 1,670 円、中型車は 1,760 円、大型車は 1,890 円、トレーラーは 2,220 円となりました。

積込料・取卸料(中型車30分あたり)、機械荷役の場合2180円、手荷役の場合2100円となりました。

荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割加算となりました。

燃料サーチャージについてはサーチャージテーブルが提示されています。

荷待ちや荷役作業等の輸送以外のサービスの対価について、標準的な水準を示す場合は、その前提となる考え方や計算方法等の根拠が重要であることから、「標準的な運賃」の解釈通達等において、その考え方等を明記すべきです。加えて、トラック運送事業者が、荷主に対し、荷役作業等の対価を標準的な形で請求できるようにしてほしいとの意見を踏まえ、「標準運送約款」に積込みまたは取卸しを引き受けた場合にはその対価を収受することを明記すべきです。なお、荷待ちや荷役作業の対価を転嫁する場合には、倉庫事業者等ではなく、適切に荷主に転嫁するよう留意する必要があります。
なお、荷待ち・荷役作業等に係る適正な対価が収受できる環境整備を行うと同時に、荷主・物流事業者が連携して、荷待ちをさせないための取組や、荷役作業に係る負担を軽減する取組等を推進し、サプライチェーン全体における物流負荷の軽減を図るべきであります。

多重下請構造の是正

現状の実運送の運賃低下は利用運送業者(水屋)が入ることにより2次請け3次請け、ひどいときには5次請けになることもあります。その過程で当然、水屋事業者が手数料を取るので、実運送会社にいくまでには元々運賃の半分になっていてもおかしくありません。

元請けの運賃を末端の実運送事業者がもらえれば運送業界は健全に経営できるのでしょうが、業界の下請け構造が蔓延化多重化していることが原因で実運送事業者が収受する運賃が低いのが現状です。

もちろん間に入っている利用運送事業者が車両を手配しているおかげで、今の日本の物流は支えられているので完全な悪というわけではありませんが、多重構造になるほど実運送事業者の取り分が少なくなるのは事実です。

その多重下請構造を軽減させるために「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)が設定されました。

(利用運送及び利用運送手数料)

  • 第十七条 当店は、荷送人の利益を害しない限り、引き受けた貨物を他の貨物自動車運送事業者の行う運送を利用して運送することがあります。この場合において、当店は、あらかじめ、荷送人に当該貨物自動車運送事業者の商号又は名称等を通知します。
    2 当店は、前項の利用運送を行うときは、第三十二条第一項の運賃料金表に定める利用運送に係る手数料を収受します。
    3 特別な手配を要する利用運送を行う場合は、前項の規定にかかわらず、別途見積もった手数料を収受します。4 第一項の通知を行わなかった運送について、当店の責により利用運送を行う場合があります。この場合において、利用運送に係る手数料は収受しません。

多様な運賃・料金設定等

運送事業ではモノをトラックで運ぶ以外にも様々な金銭的・労働的コストがかかります。それをすべて運賃の中でまかなうようでは運送会社はたまったものではありません。

運賃とは別のものは運賃以外で別にもらおう、という内容が厚くされました。

共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」が設定されました。これにより混載・共同輸配送で利益率を上げることができます。

リードタイムが短い運送の際の「速達割増」(逆にリードタイムを長く設定した場合の割引)や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増が設定されました。高速料金を支払わないのであれば労働コストを負担してもらおうということなどが求められています。

現行の冷蔵・冷凍車に加え、海上コンテナ輸送車、ダンプ車等5車種の特殊車両割増を追加され、時代と共に多様になっている車種における割増にも対応しています。

中止手数料の金額等の見直しについて

  • 現行の「標準運送約款」「軽運送約款」では、荷送人が、貨物の積込みの行われるべきであった日の前日までに運送の中止をしたときは、中止手数料を請求しないこととされているところ、実勢に応じて、当該中止手数料の金額等を見直すこととします。
  • (中止手数料)
    第三十八条 当店は、運送の中止の指図に応じた場合には、荷送人が責任を負わない事由によるときを除いて、中止手数料を請求することがあります。ただし、荷送人が、運送引受書に記載した集貨予定日時の三日前までに運送の中止をしたときは、この限りではありません。
    2 前項の中止手数料は、次の各号のとおりとします。(当該運送引受書に記載した運賃、料金等基準の割合)
    一 運送引受書に記載した集貨予定日時の前々日に中止の指図をしたとき 20%以内
    二 運送引受書に記載した集貨予定日時の前日に中止の指図をしたとき 30%以内
    三 運送引受書に記載した集貨予定日時の当日に中止の指図をしたとき 50%以内
  • 旧の中止手数料
    貸切り貨物の運送にあっては、使用予定車両が普通車である場合は一両につき3500円、小型車である場合は一両につき2500円と運賃に関わらず一律でした

運賃・料金等は時代にあわせてインターネットでの公開も認めることが明記されました。

運賃、料金等の見直し

  • 新(運賃、料金等)
    第三十二条 運賃、料金等(燃料サーチャージを除く。)及びその適用方法は、当店が別に定める運賃料金表によります。
    2 前項の運賃、料金等について、調達する燃料の市場価格に応じ別に定めるところにより、燃料サーチャージを収受します。
    3 第一項の運賃、料金等について、荷送人又は当店の一方は、賃金水準又は物価水準の変動により運賃、料金等の額が不適当となったと認めるときは、他の一方に対し、額の変更の協議を求めることができます。
    4 個人(事業として又は事業のために運送契約の当事者となる場合におけるものを除く。)を対象とした運賃、料金等及びその適用方法は、営業所その他の事業所の店頭に掲示し、又は当店のウェブサイトに掲載します。
  • 旧(運賃及び料金)
    第三十条 運賃及び料金並びにその適用方法は、当店が別に定める運賃料金表によります。
    2 個人を対象とした運賃及び料金並びにその適用方法は、営業所その他の事業所の店頭に掲示します。

新しい標準運賃を使うための手続き

なにもしなければ新しい標準運賃が自動で適用されます。

逆に、元の運賃など標準運賃と異なる運賃を使う場合は、改めて運賃届出を提出しなければならないので注意が必要です。

全ト協一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃(令和6年3月告示)ダウンロードページ

トラックGメンについて

悪質な荷主・元請事業者への監視・指導の強化(トラックGメン)

「物流革新に向けた政策パッケージ」(令和5年6月)に基づき、全国162名体制の 「トラックGメン」が設置されました(令和5年7月)。

トラック事業者へのプッシュ型情報収集や、適正取引を阻害する疑いのある荷主・元請事業者への是正措置(貨物自動車運送事業法に基づく「働きかけ」「要請」「勧告・公表」)により、悪質な荷主・元請事業者を監視・指導。

令和5年11月・12月を 「集中監視月間」 と位置づけ、関係省庁と連携して、悪質な荷主・元請事業者に対する 「要請」「勧告・公表」 を徹底。これにより、ドライバーの労働条件改善や取引適正化の加速化を図ることとなりました。

公正取引委員会は令和5年12月27日に下請け企業などとの間で原燃料費や人件費といったコスト上昇分を取引価格に反映する協議をしなかったとして佐川急便や全国農業協同組合連合会(JA全農)、デンソーなど13社・団体の名前を公表しました。(13社・団体はほかに三協立山、大和物流、東急コミュニティー、豊田自動織機、トランコム、ドン・キホーテ、日本アクセス、丸和運輸機関、三菱食品、三菱電機ロジスティクスです。公取委は法令違反を認定したわけではないと説明してます)

トラックGメンは、令和6年1月26日、国土交通省はヤマトと王子マテリアの2社に貨物自動車運送事業法に基づく「勧告」を初めて行ったこともあり、少しずつ成果は出ているということになるのでしょうか。

告示標準運賃が改定された背景

審議会でとりおこなわれた議論についてまとめました。審議会ではこのような運送業界の実態を調査し、検討した上で今回の標準約款、標準運賃を定めたということです。

日本の人口は今後ますます減少し、働き手は少なくなる、若者の車離れ、働き方改革は加速、物価上昇、トラック価格上昇、運送品質向上へのあくなき要求など、コロナによる経営悪化からの立ち直り困難な状況、運送業界にはなかなか良条件は付与されません。自動運転トラック、トラック荷台の大型化による輸送能力向上などは好条件かもしれませんが、なかなか進んでいないのが現状です。

〇 トラックドライバーを全産業を比較すると、年間労働時間は約2割長く、年間所得額は約1割低く、有効求人倍率は約2倍とドライバー不足が深刻
〇 トラックドライバーの長時間労働の主な要因としては、長時間の運転時間、荷待ち時間、荷役作業等が挙げらています
○ 具体的な対応を行わなかった場合、2024年度には輸送能力が約14%(4億トン相当)不足する可能性が見込まれています
○ その後も対応を行わなかった場合、2030年度には輸送能力が約34%(9億トン相当)不足する可能性が見込まれています
〇 一般消費者については、現状、宅配貨物の再配達は12%発生する可能性が見込まれています
〇 事業者については、物流危機に対して問題意識を持っているのは8割である一方、取組を実施しているのは約5割にとどまっており、実際の取り組みがされていない実情があります

• 荷主、事業者、一般消費者が一体となって我が国の物流を支える環境整備について、総合的な検討を行うため、令和5年3月31日に「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を設置されました
• 令和5年6月2日に第2回を実施し、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策をまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定しました。

● 物流は国民生活や経済を支える社会インフラであるが、担い手不足、カーボンニュートラルへの対応など様々な課題。さらに、物流産業を魅力ある職場とするため、「トラックドライバーの働き方改革に関する法律」が2024年4月から適用される一方、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面。
● 何も対策を講じなければ、2024年度には14%、2030年度には34%の輸送力不足の可能性。
● 荷主企業、物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、(1)商慣行の見直し、(2)物流の効率化、(3)荷主・消費者の行動変容について、抜本的・総合的な対策を「政策パッケージ」として策定。
中長期的に継続して取り組むための枠組みを、次期通常国会での法制化(※)も含め確実に整備。
●「標準的な運賃」は、トラック事業の能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものが基準。適正な原価の算定に当たっては、標準的なトラック事業者の原価を参考としつつ、ドライバーの賃金を全産業の標準的水準に是正すること、コンプライアンス(労働時間・法定福利費等)を確保できることを前提。

(1)標準的な運賃について、関係省庁や関係団体と連携して、一般貨物自動車運送事業者、荷主及び一般消費者に対して周知・徹底を図るとともに、荷主や一般消費者に理解と協力を求めること。また、荷主等との運賃交渉を実施していない一般貨物自動車運送事業者も少なくない現状を踏まえ、標準的な運賃の見直しの趣旨や活用方法等について、業界団体と連携して、一般貨物自動車運送事業者にして必要な指導及び助言を行うこと。
(2)標準的な運賃の活用状況についての監視を強化し、関係省庁や業界団体と連携して、適正な取引を阻害する疑いがある荷主等に対し働きかけや要請等を行うことにより、その実効性の確保を図ること。また、今般の標準的な運賃の見直しが、他の関連施策と相まって、一般貨物自動車運送事業者が適正な運賃を収受し、持続可能な事業運営ができる環境の整備に寄与するよう、関係省庁や関係団体と連携して、必要な取組を行うこと。
(3)関係省庁と連携して、多重下請構造を含む商慣行の実態や物価動向等を把握するとともに、一般貨物自動車運送事業者による標準的な運賃の活用状況及び実際の契約額や事業用自動車の運転者の賃上げへの反映状況を定期的に評価・分析した上で、標準的な運賃について継続的に必要な改善・見直しを図ること。

告示案は、車両を貸し切る場合の貸切運賃について車種別、地方ブロック別に運賃表(距離制・時間制)を設定しています。また、複数の荷主からの貨物を混載する場合等を念頭においた個建運賃、運送契約の条件や車両の特殊性等を踏まえた運賃割増率、待機時間料、積込料・取卸料、附帯業務料、利用運送手数料、有料道路利用料及びフェリー利用料等の運送以外の役務の対価等に係る料金並びに燃料サーチャージを設定しています。
これらにつき、個別に①~⑨のとおり順次確認しました。

①運賃表

運賃表(距離制・時間制)については、能率的な経営を行っていると認められる一般貨物運送事業者の直近の原価調査結果、足下の燃料価格、全産業平均の人件費単価等を用いて算出した原価に利潤を足し合わせて設定している。

②個建運賃

個建運賃については、複数の荷主からの貨物を混載する場合等を念頭におき、運賃表を基に貨物の最大積載可能個数又は重量に各一般貨物運送事業者が定める基準積載率を加味して単価を算定する考え方を設定している。

③運賃割増率

運賃割増率については、運送契約の条件に応じた速達割増等の考え方を設定するとともに、車両の特殊性を踏まえた特殊車両割増率等を設定している。

④待機時間料

待機時間料については、全産業平均の基準外人件費に利益率を加味して設定しており、荷待ち・荷役作業等に係る時間が合計2時間を超えた場合の待機時間料については、労働基準法に基づく割増率を適用した基準外人件費に利益率を加味して設定している。

⑤積込料・取卸料

積込料・取卸料については、待機時間料の単価を基準として公共工事設計労務単価を参考に機械荷役及び手荷役に大別して対価の水準を設定しており、附帯業務料については、運賃とは別に実費として収受する旨設定している。

⑥利用運送手数料

利用運送手数料については、1回の傭車にあたり収受する手数料として原価調査結果における平均的な水準を運賃とは別に収受する旨設定している。

⑦有料道路利用料

有料道路利用料については、有料道路を利用した区間の料金を別に定めるところにより収受する旨設定している。

⑧フェリー利用料、特殊車両通行関係費用、中継輸送における施設使用料

フェリー利用料、特殊車両通行関係費用、中継輸送における施設使用料その他の費用が発生した場合については、運賃とは別に実費として収受する旨設定している。

⑨燃料サーチャージ

燃料サーチャージについては、燃料価格の高騰を踏まえた基準価格を設定している。

告示標準運賃が発表されるまでの検討の経緯

一般貨物自動車運送事業に係る標準的な運賃の告示に関する審議が令和6年1月11日(木)の1回目から令和6年2月27日(火)まで6回開催されました。順番にその内容をまとめました。

これを読めば、今回の標準約款や標準運賃について、国土交通省がどんな意図でなにを目的で設定し、また今後がどうなるのかを予想できるようになります。

1回目 令和6年1月11日(木) 10:30~12:05

○ 運輸審議会委員からは、

① 待機時間料等について、2時間を超過した場合については運送事業者側が計測して荷主に請求することになるが、この計測時間の客観性はどのように担保されるのか。

② 標準的な運賃は、今後も定期的に見直しを予定しているのか。

③ 標準的な運賃の見直しにより、小規模運送事業者は経営が難しくなるのではないか。

④ 今後、新たにマッチングアプリやシステムを提供する事業者が出てきて初めて2次・3次・4次等の下請運送事業者が直接仕事を受注することが可能になると考えられるが、そのような動きは出ているか。

⑤ 労働時間規制等による物流への影響として、具体的な対応を行わなかった場合、2024 年度には輸送能力が 14%(4億トン相当)、2030 年度には約 34%不足(9億トン相当)と記載があるが、これはどのようにして算出したのか。

⑥ 「標準的な運賃」と契約額の乖離状況について、十分な契約額を収受できていない運送事業者が多い一方、標準的な運賃の 10 割以上の契約額を収受している運送事業者も5~6%いるが、これはどのような理由か。等の意見・質問があった。

○ これに対し、物流・自動車局からは、

① 現在、荷待ちがある場合は、法令により運送事業者に記録を義務付けており、今後、デジタル化も含めて更に客観性を高めていく方向で検討している。

② 環境の変化や社会的要請を踏まえ、見直しをしていく必要があると考えているが、見直しをする時期までは現時点において決まっていない。

③ 自社の特殊性を活かして事業を継続している運送事業者もいる。最も問題なのは、ほとんど原価を賄なえないような運賃でも輸送する運送事業者であり、是正しなければならない。こうした運送事業者は、安全コストや労働者の賃金を削減している可能性があり、そのようなことがないよう適正な取引と安全の確保が大事だと考えている。

④ 徐々にマッチングを行うシステムを提供する事業者が出てきており、当局でもシステムへの支援を実施している。

⑤ 輸送の需要量と供給量から算出している。トラックドライバーの人口や労働時間が減少していく中で輸送能力が不足していく見込みである。

⑥ 大型の建設機械を特殊な輸送で行っていたり、特殊なスキルを持った運送事業者が輸送を行ったりしたものについて上乗せ料金を収受している。

等の回答があった。

2回目 令和6年1月18日(木) 10:30~11:20

○ 運輸審議会委員からは、

① 原価等データ調査対象事業者について、保有車両数で4つに区分し調査を行ったとのことであるが、それぞれの区分から満遍なく回答があったのか。

② 距離制運賃と時間制運賃は、どの程度の割合で適用されているのか。また、距離制運賃か時間制運賃かを選択するのは、運送事業者側か。

③ 各車種の燃費は悪化している。数値が改善した項目は、実勢数値を使うのは理解できるが、悪化している項目については、燃費が良かった時の数値を使うという考え方はないのか。

④ 標準的な運賃が引き上げられたとして、運送事業者側がトラックドライバーの待遇改善につなげられるのか。

⑤ 契約額が標準的な運賃の5割や1割以下となっている運送事業者がいる。トラック G メンの活動はこうした状況の改善に繋がるのか。

等の意見・質問があった。

○ これに対し、物流・自動車局からは、

① それぞれの区分で約50%の運送事業者から回答を回収している。

② 過去の統計だと、距離制運賃を適用している運送事業者は概ね5割、時間制運賃は約1割、残りは個建運賃やその他運賃である。また、距離制運賃か時間制運賃かは、運送事業者が荷主との交渉の中で決めていく形になる。

③ 社会的な情勢により悪化している部分もあり、その客観的な判断は難しい。

④ 標準的な運賃の引き上げが、直ちに賃上げに結びつくものではないが、全体のコストのうち人件費が一定程度を占めている状況を踏まえ、運送事業者には、ある程度賃上げもして頂く必要があると考えている。当局も働きかけていきたい。

⑤ トラックGメンは発注する荷主・元請事業者側に対して監視・指導強化をするものであり、もし荷主・元請事業者側に何か問題があればトラックGメンがしっかり対応していく。また、悪質な運送事業者等については、適正化事業実施機関と連携して、しっかり対応していく。1つの施策だけではなく、総合的に取り組んでいきたい。

等の回答があった。

【特殊車両割増】 <一部追加>

(冷蔵・冷凍車)

  • 冷凍・冷蔵車を使用する場合の原価(固定費及び変動費。以下同じ。)は、車両の特殊性による固定費及び燃料費の上昇分等を踏まえ、通常のバン型車両を使用する場合の原価よりも約2割高い水準であることから、割増率は2割に設定(海上コンテナ輸送車)
  • 海上コンテナ輸送車を使用する場合の原価は、追加シャーシの保有に伴う固定費及び車両の特殊性による燃料費の上昇分等を踏まえ、通常のバン型車両を使用する場合の 原価よりも約4割高い水準であることから、割増率は4割に設定

(セメントバルク車)

  • セメントバルク車を使用する場合の原価は、車両の特殊性による固定費の上昇分等を踏まえ、通常のバン型車両を使用する場合の 原価よりも約2割高い水準であることから、割増率は2割に設定

(ダンプ車又はコンクリートミキサー車)

  • ダンプ車又はコンクリートミキサー車を使用する場合の原価は、車両の特殊性による燃料費の上昇分等を踏まえ、通常のバン型車両を使用する場合の原価よりも約2割高い水準であることから、割増率は2割に設定

(タンク車)

  • タンク車を使用する場合の原価は、車両の特殊性による固定費及び燃料費の上昇分等を踏まえ、通常のバン型車両を使用する場合の原価よりも約3~5割高い水準であることから、割増率は3~5割に設定

 

様々な統計を取り運賃原価計算をした上で算出した中型車の8時間制運賃は42130円となりました。

人件費率が42%だとしたらドライバーの給料は以下の計算となります。

42130 × 0.42 × 21日 × 12カ月 = 約445万円

これに多少の残業代がつけば年収500万円になり、全産業平均年収と遜色ない数字になります。

3回目 令和6年1月25日(木) 10:30~11:25

○ 運輸審議会委員からは、

① 標準的な運賃の活用促進に向けて、荷主向けのリーフレットを約 46,000 者に送付したとのことであるが、具体的にどのような事業者に送付したのか。小規模事業者にも送付したのか。

② 多重下請構造の是正に関して、

・ 例えば元請け・下請け・孫請けとあった場合、標準的な運賃は、元請けと下請けの間、下請けと孫請けの間、それぞれの契約関係の中で適応する想定と理解してよいか。

・ 多重下請構造を想定し、その下流での運送行為が適正に行われたかをチェックする仕組みはあるのか。

③ 倉庫事業者の関係団体が自主行動計画を作成しているが、倉庫事業者にも問題意識はあるのか。

④ トラックGメンの活動実積が公表されているが、悪質な荷主事業者は具体的にどのような違反行為をしているのか。悪質であることを自ら認識していないのではないか。

等の意見・質問があった。

○ これに対し、物流・自動車局からは、

① 経団連や日本商工会議所を通して事業者に送付している。団体の中には大規模事業者、中小事業者も含まれているため、荷主に広く展開することができる。

② 多重下請構造の是正に関して

・ 利用運送行為、下請けに出す行為は、ご指摘のとおり元請けと下請け、下請けと孫請けの間で共通するものである。標準的な運賃の利用運送手数料は、下請けに出す行為全てについて適用しようと考えている。

・ 下請けに順次情報を流し、最後の実運送事業者が元請運送事業者や荷主に「これだけの下請けがあり、自社が運送しています」と通知する仕組みを検討している。

③ 荷待ちの原因としては、荷主側の問題もあるが、倉庫事業者側にも対応できることはあり、例えば自動化、機械化を進め、予約システムを導入することで効率化が図れることを「自主行動計画」として回答して頂いている。

④ 荷主等が、長時間の荷待ち、依頼がなかった附帯業務等をさせている、運賃・料金の交渉をしても全く受け入れてくれない、「悪天候や大雪の時も運んでほしい」といった無理な配送依頼をするといったケースがある。このような情報が入ってきた場合に、違反原因行為を荷主等がしていれば是正指導を行う形となる。等の回答があった。

令和2年答申の要望事項への回答について

(2)標準的な運賃による効果が、下請事業者やドライバーに対しても還元されるよう、事業者の取組を定期的に評価・分析し、その結果を踏まえて必要な措置を講じること。

【回答】

標準的な運賃の浸透状況や実際の契約額との乖離状況について、調査を実施している。

最新の調査においては、標準的な運賃の8割以上の額を収受できた契約の数は、1年前に比べて、35%から45%に増加。このため、標準的な運賃の引上げ、トラックGメンによる悪質荷主の監視・指導強化等を図るとともに、賃上げ原資である適正運賃の収受を図る措置の法制化に取り組んでいる。

(3)関係省庁とも連携し持続可能な物流の実現のために、荷主の理解と協力が得られるよう、あらゆる手段を講じて直接働きかけるとともに、トラック運送業の取組に対する国民の理解促進に努める等、トラック運送業における労働条件の改善に資する必要な取組を行うこと。

【回答】

これまで、トラックドライバーの処遇改善を図る観点から、標準的な運賃を創設し、その周知・浸透を図るとともに、荷主に対する要請等を継続して行ってきた。

こうした取組を加速化するため、昨年6月に、「物流革新に向けた政策パッケージ」を策定し、このうち、特に緊急的に取り組む対策については、「物流革新緊急パッケージ」として取りまとめたところ。その中で、標準的な運賃の引上げ、トラックGメンによる悪質荷主・指導強化等を図るとともに、構造的な対策として以下のように、労働時間縮減と賃上げ原資確保を同時に図る措置の法制化にも取り組んでいる。

・荷主への荷待ち時間削減等の取組の義務付け

・元請事業者への多重下請構造是正に向けた運送体制可視化の義務付け

以下の項目が法制化検討事項となっています。

・荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減

・物流産業における多重下請構造の是正

・担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等

・地域物流等における共同輸配送の促進

・軽トラック事業の適正運営や安全確保

。荷主の経営者層の意識改革・行動変容

4回目 令和6年2月15日(木) 10:35~10:50

○ 運輸審議会委員からは、

① 元請運送事業者のみならず、2次・3次の下請運送事業者についても法令遵守がされているか等引き続き監視をしていただければと考えている。

等の意見・質問があった。

○ これに対し、物流・自動車局からは、

① 労働時間規制により働き方改革を実現していくとともに、トラックGメンによる監視・指導などにしっかり取り組んでいきたい。

等の回答があった。

5回目 令和6年2月22日(木) 10:30~12:30

相互確認のみ

議論がまとまりつつある

6回目 令和6年2月27日(火) 10:30~11:30

相互確認のみ

まとめ

平成29年に標準約款が改正され、運送状の記載事項として、「積込料」「取卸料」「待機時間料」等の料金の具体例を規定、料金として積込み又は取卸しに対する対価を「積込料」及び「取卸料」とし、荷待ちに対する対価を「待機時間料」と規定、付帯業務の内容として「横持ち」等が明確化されました。

令和元年11月には貨物自動車運送事業法が改訂され、参入のハードルが上がりました。これは平成2年の物流2法の大幅な規制緩和により運送会社が激増し、また、平成2年に運賃が認可制(タリフ)から事前届け出制になったために運賃の低下が起きたと批判されたことも大きいです。

令和2年4月には標準運賃が告示され、運送業界の健全な経営に必要な運賃が示されました。もちろん告示されたからといってすぐに運賃がアップするわけでなく、ほとんどの運送会社にとっては形骸なだけの国土交通省のポーズにしか映っていませんが、全ト協と国土交通省としてはかなり力を入れた取り組みでした。

その後も荷主勧告が厳しくなったり、トラックGメンが発足して実際の元請けの社名が公表され、またメディアでも岸田総理が2024年問題の物流危機について発言する場面も多くみられるようになっています。

地味に社会保険未加入事業者への罰則も強化されてたりしますし、健康診断未受診事業者に対しても同様厳しくなっています。

2024年問題という時間外労働960時間、また1月の拘束時間が293時間から284時間と減ることで、普通に考えれば運送会社の売上は下がり、それに伴いドライバー賃金も下がります。労働時間が短くなることで、モノを運べる量は減少します。

中継輸送、共同配送、モーダルシフトなど、大手企業を中心に輸送能力の維持を懸命に実施していますが、中小零細運送会社ではそのようなことはできません。その上、二酸化炭素排出についてもどんどん厳しい規制が課せられています。若者の車離れもドライバー供給不足に拍車をかけますし、若者の仕事に対する考え方の変化もドライバー希望者の減少に影響しているでしょう。

そのような時代背景を踏まえて、国も全ト協も様々考え、今回の標準約款改訂と新告示運賃を出しています。

ただし、標準約款はこのまま使わなければならないわけではなく、下請け実運送事業者通知や運送依頼書・運送引受書を除く変更認可申請という手段もあります。これはまだ運輸支局で認められるかどうかはわかりませんが、あまりに負担が大きいのであれば一考の価値はあるでしょう。

この内容を他人事と思わず自分事にし、健全に生き残れる運送会社として体質改善していきましょう。

【参考資料・引用元】

https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000294.html
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=155240902&Mode=1
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=145210228&Mode=1
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001712730.pdf
https://www.soumu.go.jp/main_content/000931189.pdf
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/unso_moushikomi_hikiuke.pdf
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000021.html

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