本社住所?主たる事務所?営業所?微妙な違いを行政書士が解説
本社住所、主たる事務所、営業所、休憩睡眠施設。一般貨物自動車運送事業に係る施設はいくつかありますが、その区別を理解していない方は意外と多いです。それらの区別と、どんなときに、どのような手続きが必要かについて解説します。
【トラサポ主宰】運送業専門行政書士「行政書士鈴木隆広」 神奈川運輸支局前、一般貨物自動車運送事業一筋16年の行政書士。平成30年1月には業界初の本格的運送業手続き専門書籍「貨物自動車運送事業 書式全書」が日本法令から出版される。【本部:神奈川県横浜市都筑区池辺町3573-2-301】本社住所とは?
法人謄本や印鑑証明に記載される住所です。文字通り、「法人の住所」が「本社住所」になります。
書類で書かれているところを見ると、わかりやすいですね。
本社住所の変更のキッカケと必要な手続き
本社住所が変更するというのは、会社が引っ越しするということです。運送業だけをやっている会社であれば、本社を引っ越すということは、本社営業所も主たる事務所も休憩睡眠施設も引っ越しするということになります。
- 【変更のキッカケ】
- 法務局で住所変更登記をしたとき(本社を移転したら、法務局にて本社住所移転登記をします)
- 【必要な手続き】
- (手続き内容)住所変更届 ※一般貨物自動車運送事業としての手続き
(提出先)主たる事務所を管轄する運輸支局
(手続き内容)車検証の住所変更登録 ※住所変更から15日以内に手続きが必要
(提出先)当該営業所管轄の登録事務所
主たる事務所とは?
ほとんどの場合、主たる事務所の位置は、本社住所と同じで良いです。
主たる事務所の住所は、車検証には一切出てきません。
本社住所と主たる事務所が異なる場合は、以下のように広く事業を行っている場合でしょう。
例えば、一つの会社で「製造業」「倉庫業」「運送業」を行っている会社があるとします。このような場合、本社機能がある場所を「主たる事務所」とすることもできますし、運送事業としての“本社営業所”を主たる事務所の本拠とすることもできます。
要するに、”決め”だけの問題なのです。
主たる事務所の変更のキッカケと必要な手続き
主たる事務所だけを移転するという場合はありえないでしょう。本社住所を移転するか、主たる事務所と同じ場所の運送事業本社営業所を移転するか、どちらかのタイミングで、主たる事務所の移転が発生します。
- 【変更のキッカケ】
- 本店移転または、運送事業の本部を移転したとき
- 【必要な手続き】
- (手続き内容)主たる事務所の変更届 ※一般貨物自動車運送事業としての手続き
(提出先)主たる事務所を管轄する運輸支局
※車検証の書き換えは発生しません。
本社営業所とは?
一般貨物自動車運送事業者にとって一番大切なのは、この“営業所”です。営業所は運送事業の全てを管理する場所であり、契約関係実務、配車実務、日報や点呼記録簿の保存など、すべてを行う場所です。
本社営業所の変更のキッカケと必要な手続き
運送事業の本社営業所を移転するというのは、運送事業の全機能を別の場所に移すということなので、大変な作業となります。全ての手続きを綿密に計画立てて実行しましょう。
- 【変更のキッカケ】
- 実際の運送事業事務所を移転するとき
- 【必要な手続き】
- (手続き内容)営業所の移転認可申請 ※一般貨物自動車運送事業としての手続き
(提出先)営業所の新しい住所を管轄する運輸支局 - (手続き内容)車検証の本拠の位置変更登録 ※認可から15日以内に手続きが必要
(提出先)新しい営業所住所管轄の登録事務所
休憩・睡眠施設とは?
文字通り、休憩場所です。営業所に併設している場合が多いでしょうが、営業所併設でなく、車庫に併設でも構いません。(北海道と関東においては、複数の車庫がある場合、休憩施設と各車庫の距離制限があります。)
休憩・睡眠施設の変更のキッカケと必要な手続き
- 【変更のキッカケ】
- 営業所のキッカケと同じく、休憩・睡眠施設を、移転する場合です
- 【必要な手続き】
- (手続き内容)休憩・睡眠施設の移転の認可申請
(提出先)本休憩睡眠施設が所属する営業所所在地を管轄する運輸支局
※車検証の書き換えは発生しません。
まとめ
「本社住所=法人謄本記載の住所=車検証上の住所」
「営業所の住所=車検証上の本拠の位置」
「主たる事務所、休憩睡眠施設と車庫の住所は車検証には記載されない」
の3つを軸に考えると、素直に理解できるのではないでしょうか。
あとは、車検証の記載場所と結び付けて考えれば、「なにを変更したら、どのような手続きをしなければならないのか」が簡単にわかります。
”本社住所”と”営業所”の変更は、一般貨物自動車運送事業としての変更手続きだけでなく、車検証書換えもしなければなりません。一方、”主たる事務所””休憩睡眠施設”、また”車庫”についての変更があっても、車検証の書換えは必要ないのです。
特に、多くの車両をお持ちの事業者は、車検証書換の際、自社の委任状だけでなく、リース会社の委任状の手配も必要になってきます。余裕をもって、リース会社に委任状を依頼しておく必要があります。
これを参考にして、モレの無い変更手続きプランを立てましょう。
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