【インタビュー】自動車運送事業者に対する行政の監査について聞きました
公開日:2022年12月14日 / 更新日:2024年2月21日
事故が起きると必ず監査って来るのですか?
軽い物損事故で監査が来ることはまずないでしょう。
死亡事故を起してしまうとかなりの確率で監査が来ます。基本的には第一当事者となる死亡事故を起したら監査は来ると思った方がいいと思います。
3年に一度監査が来ると聞きましたが?
数年に一度来るのは監査ではなく、トラック協会適正化実施機関による巡回指導です。
多くの人が監査と言ってますが、正確には巡回指導です。巡回指導から即行政処分という流れはありません。
監査ってなにをするのですか?
基本的にはトラック協会の巡回指導と同じものを見ます。でも巡回指導と異なり、1~2時間という限られた時間で抜粋して見るのではなく、全部穴が開くほど見ます。だから巡回指導でAとかB判定を「うまく」やってる会社は要注意です。それはご自身が一番よくわかってるはずです。監査では書類の上だけでうまく見えてもごまかせません。
運輸支局も長年の経験をマル秘文書で共有して、運送会社をパトロールもしてますから甘く見ているとほんとに痛い目に会いますからね。
監査が来ると営業停止になってしまいますか?
営業停止になるのはかなり重い処分です。普通は車両停止で済みます。
監査が来ると必ず行政処分を受けますか?
理論的には全てのルールを守っていれば行政処分は受けません。実際監査が入っても警告一つという会社もあります。
しかしほとんどの場合はなにかしら違反を指摘されて車を問得られてしまいます。
いつ監査が来ても大丈夫なようにするためにどんな対策をすればいいですか?
簡単な対策というものはありません。毎日の日報・点呼・日常点検記録。新入社員が入ってきたら健康診断・初任運転者適性指導と適性診断。労働時間遵守、運行管理者・整備管理者の2年後との講習…etc事業計画の方では車庫飛ばししない、事業報告書・事業実績報告書すべて提出、もう借りていない車庫の廃止認可…etcすべてをキレイにしていれば監査がいつきても怖くありません。
トラック協会の巡回指導の成績が悪いのを放置していたら監査は来てしまいますか?
放置していてはいけません。特にD・E判定の場合は、全項目を改善しないと運輸支局の監査が来る可能性が格段に高くなります。
監査が来て許可取消しになりそうになったら廃業して新たな会社を作れば防げますか?
法改正によりその流れは完全に防がれました。廃業しても経営者や株主の欠格要件は生じてしまうので、同じ経営者や株主では新会社は作れません。
まったく関係ない人で会社を作ったり、仲間の運送会社に車両とドライバーを引き取ってもらえばいいですが、急激な増車も認可扱いになったので大きな会社が許可取消しになるとそれを存続させるのはかなり大変なことになります。
監査が入りそうになったらその営業所を廃止すれば監査を逃れられますか?
監査は営業所を廃止しても隣の営業所にされます。都道府県をまたいでも追いかけてきます。会社全体を廃業しない限り逃げられません。
どうにかして行政処分を避ける方法はありませんか?
行政処分を逃れる方法は毎日完璧にルールを果たすことです。そうすればいつ監査が入っても行政処分はゼロです。簡単に逃れる方法は存在しません。
監査が来たら運行管理者の資格ははく奪されてしまいますか?
指定された違反項目の合計が一定の処分日数になると運行管理者資格ははく奪されますが、必ずはく奪されるわけではありません。
だから運行管理者の資格を取ったからと言って全員選任すると資格はく奪のリスクが生じますし、選任すると2年ごとの研修義務が発生するので、なんでもかんでも選任するのは考えた方がいいと思います。
補助者で済むのであれば補助者のままの方が義務は圧倒的に少ないです。
最後に
貨物自動車運送事業者への運輸支局による監査は、経験したことがある人が少ないせいか、過剰に怖がられている気がします。
もちろんトラックを止められたり、営業停止や最悪許可取消しがされるのだから無理もありません。
しかし、日頃のコンプライアンスをしっかり守り、日報などの帳簿を正しく記録しておけば、監査が来ても怖くありません。
毎日の安全運転・安全作業を心がけるのはもちろんですが、万が一事故を起こしてしまったときに監査で会社が傾かないように、コンプライアンスを守るコストをしっかりかけていきましょう。
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