事業用自動車の鍵の保管場所はどこにすべき?

公開日:2018年1月24日 / 更新日:2023年1月25日

トラック運送事業者には、事業用自動車の鍵を営業所で保管することが義務付けられていると言っている行政書士がいるけどホントか?というご相談を受けたので解説します。

そんなことは運行管理規程以外では聞いたことがなく、改めて調べましたがどこにも根拠は見つけられません。

少なくとも以下の法令通達には記載はありません。

・貨物自動車運送事業法
・貨物自動車運送事業法施行規則
・貨物自動車運送事業輸送安全規則
・貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈及び運用について
・【別表】(貨物)違反事項ごとの行政処分等の基準
・道路交通法
・道路運送車両法
・道路運送車両法施行規則

唯一、いくつかのトラック協会HPの運行管理規程サンプルには乗務後点呼の際に鍵を返却すること、とありますっが、それは各社で決める任意の規定なので、法令に決められているものではありませんし、ましてや行政処分などのペナルティはありません。

念のため、複数の運輸支局とトラック協会適正化実施期間に電話で確認を取りましたが、どちらもそのような指導もしないし、根拠となる法令・通達なども存在しない、ということでした。

従って、少なくとも「違法」ではありません。※法というのは法律のことです。各社で定める運行管理規程に違反することは法律に携わる専門家は「違法」とは言いません。

もちろんドライバーが鍵を持って帰って直行直帰などは許されないので、実際の運用としては鍵は営業所保管であることは通常のことではありますが・・・

おそらくその行政書士も、なにかの巡回指導の際に、よくいる”テキトーなことを言う適正化実施期間担当者”の指導を鵜呑みにして根拠を調べもせずにそのように思い込んでいるのでしょう。
もしくはサンプルの運行管理規程は変更できない絶対的なもので、法律と同じレベルのルールと思い込んでしまっている可能性もあります。

行政書士は誰かの言った言葉について「その根拠はなに?」と調べる人とそうでない人で、実力に天地の差がついてしまうので、しっかりした行政書士を選ぶことが大切です。

そうしなければ、自社のコンプライアンスを自称専門家のアドバイスによって一生懸命整えても、間違った方向に一生懸命進んでしまうことになってしまうので、注意しましょう。