運転者について
はじめに
ドライバーを雇うのに気を付けることはありますか?
ドライバーさんも、免許を持っていれば誰でも良いというわけではないのです。
そうなんですか。なにを気にしなければいけないのですか?
普通に雇うのであれば大抵大丈夫ですが、一応ルールがあるのです。
常時選任運転者とは
常時選任運転者の要件は貨物自動車運送事業輸送安全規則にこうあります。
これ以上でもこれ以下でもありません。
- (過労運転の防止)
- 第三条 一般貨物自動車運送事業者等は、事業計画に従い業務を行うに必要な員数の事業用自動車の運転者(以下「運転者」という。)を常時選任しておかなければならない。
- 2 前項の規定により選任する運転者は、日々雇い入れられる者、二月以内の期間を定めて使用される者又は試みの使用期間中の者(十四日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)であってはならない。
ダメな場合
- ・日雇いの人
- ・二か月以内の契約社員
- ・試用期間の人(14日を超えたらOK)
です。
要するに、これにあたらなければなんでもOKということです。(実際は試用期間の人がダメってのは「え?」と思いますが。。。)「14日の間は同乗指導したりしなさい」ということなのでしょう。細かく言うと、初日から仕事させたいのであれば試用期間の設定はナシということになります。(う~む、納得はいきませんが。。。)
常勤の可否
では、逆にいろいろなことを考えてみましょう。ここにフルタイム要件は書いてありません。たまに行政書士でも「ドライバーは常勤でなくてはいけない」と書いている人がいますがそれは誤りです。週1日勤務でもルール上は構いません。ということは、その人は当然、社会保険、雇用保険も加入義務なし、ということになります。・・・ということは、運輸開始前確認の際に運転者5人の社会保険が必須ということもひっくり返って来るわけですね。これからは副業もどんどん増えてくるでしょうし、ドライバー不足はきっと当分解決しないでしょう。週1,2日ドライバーを集めて事業を遂行するという形態もこれから多くなっていってもおかしくはありません。トラックも自動運転技術がどんどん入ってくるので、それはもっと顕著になってくるかもしれませんね。
車持ち込みの償却制ドライバーについて
一般にそういう形態の人は外注費で支払うと思うので「名義貸し」になってしまうのでNGです。「なんかいい方法はない?」と聞かれますがありません。ただ、償却制で給料を計算し、外注費ではなく「給料」として直接雇用従業員として雇うのであれば問題ありません。ただし、その場合も最低賃金を割ってはいけません。
日雇いドライバーについて
直接雇用していればいいのか、というとそういうわけでもありません。直接雇用でも日雇いはダメです。それは上記のルールにも書いてあります。では日給月給の人はどうでしょうか。それは別に給与体系の話なのでOKです。もちろん上記の条件は満たす必要あります。派遣で日雇いはもちろん2か月更新などはNGです。社労士の話なので細かくはよくわかりませんが、週2日のシフト制日給月給をうまくやれば、良い具合に実質日雇いのように見えても違反しない形で雇えるのではないかと考えます。
派遣社員や出向について
派遣社員や出向は意外とOKです。もちろん、初任適性診断・特別指導をやって運転者台帳は備えなければなりません。常時選任運転者のルールで、2カ月以内はダメですが、3カ月更新の契約社員はいいということになります。
その他雇入れる前に気にすること
免許区分の確認
免許資格は実際、意外と忘れてしまうこともあるので採用時に必ず確認が必要です。大型トラックに乗るためには大型免許は必要ですし、トレーラでは牽引免許が必要です。実際、「お客様で大型免許を持っていないのに採用してしまい、大型自動車を運転させていてしばらく経ってから気づいた」という話もあります。
運転免許の区分については「運転免許区分の解説ページ」で詳しく解説しております。
運転記録証明書の取得
自動車安全運転センターから運転記録証明書も取り寄せてもらっておいた方がいいですね。その他、実際に仕事が始まると初任運転者としてやるべきことがなかなかできなくなるので、
- ・初任運転者適性診断の受診
(NASVA自動車事故対策機構にて受診)
- ・健康診断の受診
- ・運転者台帳貼り付け用の写真も撮影してもらう
- ・雇用契約書の締結 / 秘密保持の誓約書、など
くらいはやっておいた方がいいでしょう。