合併する場合、登記と運輸局への合併認可申請のタイミングで注意しなければならない点はあるでしょうか

会社の合併自体の全体的な流れは弁護士の先生や会計士の先生がメインで進めていくと思います。その中で意外と忘れられるのが、営業許可のことです。2か月後に合併登記かけます、と言って営業ナンバーの合併はどうすればいいか、とそのタイミングでご相談が来ることも少なくありません。登記の前に合併認可が下りていなければならないのです。よく、合併登記のあとに一般貨物自動車運送事業許可の合併認可をすると思っている人がいますが、全然逆なのです。事業許可の認可が完了しないと登記ができないのです。合併認可は申請してから3か月はかかると思います。従って、2か月前から合併認可申請をかけても認可はおりないでしょう。合併登記の日付自体を移すという選択肢もあると思いますが、もう動かせないという場合もあるでしょう。その場合は特別な手続きがあるのでご相談ください。

新規許可申請と譲渡譲受のメリットとデメリットを教えて下さい

最終的に新会社にて一般貨物自動車運送事業の許可が持てるというゴールは一緒です。そもそも事業許可の譲渡というのは法律で本来は禁止されています。運送事業はその中でも珍しく「譲渡」という手続きが存在します。ふつうは分割をしたりするわけです。譲渡譲受の方が、「審査期間は少し短いかもしれません」、「登録免許税12万円が不要です」、「社会保険未加入だとしても新会社で緑ナンバーがつけられます」、「古い(もともとの)許可番号が引き継がれます」。大きくはそういうところの違いがあります。しかし、申請書類は譲渡譲受の方がかなりボリュームが多くなります。旧会社の債務を新会社で引き継がないためには、官報への公告等が必要かもしれません。

車庫や建物の賃貸借契約書が転貸契約書の場合でも問題はないでしょうか

転貸借契約自体は構いません。しかし、運輸局からは元契約(もともとの大家さんとまんなかの転貸者)は求められます。そこに、「転貸禁止」と書いてあったら認められません。その場合は、大家さんから一般貨物自動車運送事業車庫としての使用承諾書などをもらわなくてはいけません。

車庫の中で、警察に車庫証明を申請している自家用自動車スペースがあるが、そこも一般貨物の車庫として申請して構わないのでしょうか

一般貨物自動車運送事業の車庫の要件として「他の用途と明確に分けられていること」が求められています。従って、警察の車庫証明用のスペースは一般貨物自動車運送事業の車庫として認められません。それとは別に、従業員の自家用車がトラックと入れ替えで止めることは完全にOKかと言われると明確な判断は難しいですが、現実問題は特になにも言われないと思います。

役員法令試験は2か月に1度実施されているので、一般貨物自動車運送事業の新規許可申請前に受験することも可能なのでしょうか

役員法令試験は確かに奇数月に開催していますが、あくまで一般貨物自動車運送事業の新規許可申請をした事業者の役員だけが受ける試験です。事前に受かってから安心して新規許可申請したい、という気持ちはわかりますが、そういうことは残念ながらできないのです。

リース車両で登録する場合の必要書類はなですか?

所有者をリース会社にする場合、リース会社の印鑑証明、委任状が必要です。事業者としての書類は委任状と事業用自動車等連絡書です。事業者は使用者としてのみ車検証に載る場合、印鑑証明・法人謄本は不要です。リース会社へはある程度余裕を持ったタイミングで委任状等を依頼しておくのがよいでしょう。

整備管理者の実務経験はトラックを整備点検した実務経験が必要なのでしょうか

本来はそうあるべきかもしれませんが、そのルールが少し緩みました。今は「バイク以外」と「バイク」にわかれているだけです。乗用車専門の整備工場で働いていたとしても、整備管理者選任前研修さえ修了していればトラック運送事業の整備管理者として選任可能です。(参考:関東運輸局「整備管理者制度の解説」

霊柩事業のドライバーは2種運転免許が必要でしょうか

これもよくある勘違いです。ご遺体はもうお亡くなりになっているので、法的にはあくまでモノです。だから一般貨物自動車運送事業の許可、すなわち”貨物”という扱いになるのですね。だから2種免許は旅客すなわち生きている人間を乗せるための資格なので霊柩事業では不要です。

申請会社の社長が他の会社の役員に登記されている場合、その会社の役員から抜けなければ専業とみなされないのでしょうか

別にそう決まっているわけではありません。一人の人間が複数の会社役員になっていることもあるでしょう。運輸局と相談して、一般貨物の申請会社の選任であることを証する書面を添付して申請すればいいでしょう。両方の会社の代表取締役の場合は難しいかもしれませんね。

役員が運行管理者とドライバーを兼任するということであれば、総勢最低5人でも許可は下りるでしょうか

これは難しい問題ですね。法律で運行管理者と運転者の兼任を明確に禁止しているわけではありませんが、じゃぁ実際その運転者の対面点呼は誰がやるんだ、という話になります。たとえば、別の運転者が運行管理者補助者であり、その運行管理者兼任運転者の対面点呼をする、ということであれば、理論的にはルールは守れます。しかし、毎日、その二人は同じ時間に営業所にいて、お互いを点呼しなければならないわけです。それをずっと続けられるのかどうかという問題もあるでしょう。運輸局に相談してみてください。

定款の目的が「一般区域貨物自動車運送事業」だと目的変更しなければ許可とならないのでしょうか

これは難しい問題ですね。たまに、昔の運送会社の定款目的をそのまま「これと同じにして」と注文を受けた行政書士や司法書士が本当にそのままお客様の言う通りに定款を作るとこのような事態に陥ります。最終的には運輸局と相談になるでしょうが、今は「一般貨物自動車運送事業」が正式な名称です。修正させられる場合もあるでしょう。その場合は当然、法務局の登録免許税がかかってしまいます。法人設立もトラサポにご依頼いただければ安心して一般貨物自動車運送事業許可が取れる法人が設立できます。

1つの敷地を複数の事業者で車庫に分割利用できるのでしょうか

別に構いません。ただ、駐車場から出るまでの通路を確保しなければならないので、もし手前と奥に使用区域が分かれるのであれば、奥の事業者の分の通路を手前側の区域に確保しなければなりません。手前側の事業者は手前すべての面積を車庫としては利用できないということになりますね。

金融機関の残高証明では必要資金が足りないのですが方法はありませんか

運輸局によってですが、流動資産を加算できる場合があります。売掛金などが認められることもありますので、相談してみてください。ただ、この方法は新規法人では売掛金がないので使えない方法ですね。すでになにかしらの事業で売り上げが立っている事業者さんは検討してみてください。

第一種貨物利用運送事業をもっている事業者が、一般貨物自動車運送事業を新規許可申請すると、もともと持っている第一種貨物利用運送事業許可が消えてしまうと聞きましたが本当でしょうか

本当です。しかし、利用運送専業事業者を利用する(外注する)事業者として、運輸支局に届けている場合は残ります。要するに、実運送事業者を外注として利用する場合は、一般貨物自動車運送事業許可の範囲でやるべきなので、第一種貨物利用運送事業はいらないでしょ、という理屈で消されてしまうということです。

許可が下りたらすぐに増車できるのでしょうか

許可下りて、「運行管理者と整備管理者の選任届」を出して、「運輸開始前確認」出して、「申請時の車両すべてに緑ナンバーをつけ」て、「運輸開始届」を出して、はじめて増車などができます。

運輸開始届は許可から1年以内に提出しなければせっかく取った許可も条件の通りに自動で無効となってしまうのでしょうか

実際はそんなことはありません。でも1年以内に運輸開始届を出せない場合は、事前に運輸支局に連絡を入れておくべきでしょう。許可条件には、1年以内に運輸開始届を出すことが明記されているので、本当であれば自動でなくなってもおかしくないのかもしれないわけですから。